創作「A,B,C の問題」⑥

1.今
B「Cさん...そうだったの?」
A「お前は罪な女だよ。俺とCが好きになる位だから、もしかしたらそれ以上に好かれてるんだろうな」
B「なんか、申し訳ないな。私も、もうCさんと会えないの?」
A「おそらくそうだろうな。会えて、あと一回だ」
B「え、どういうこと?」


2.一週間前
C「なんだよ、お前のけじめって」
A「二年前。Cが俺のことを好きだって、お前が教えてくれた日のことだよ」
C「なんだか懐かしいな。まだお前に、別の彼女がいたときのことか」
A「あの日に借りた一万円、まだ返してないだろ」
C「ああ、そうだな。確かに、返してもらってないな」
A「はい、これ」
C「いや、全然足りねえじゃん」
A「残りの八千円は、また今度返す。絶交するのは、その後にしてくれないか?」
C「絶交はちょっと言いすぎだけど。まあ、そうだな。返してもらってから、絶交しよう」


3.今
B「それで、八千円貸してくれ、って言ってたのか」
A「そういうことだ」
B「なんか想像以上に回り道した気がする」
A「それは、いいだろ」
B「そういうことなら、全然貸すよ」
A「ありがとう」
B「ちなみに、いつ渡すの?」
A「今から。さながら最後の晩餐ってとこだ」
B「あ、だから」
A「そう。Bも来るか?」
B「行きたい。Cに会いたい」
A「わかった。じゃあ、行こうか」
B「あ。ちょっと待って」
A「何?」
B「Aは、絶交したい?」
A「そんなわけないだろ。できるなら、毎日会いたいし、毎日遊びたいくらいだよ。叶うわけないけど」
B「毎日遊ぶのは神様に頼っても無理だけど、絶交しない方法ならあるよ」


4.今
C「やあ、お二人そろってか」
A「どうも」
B「お久しぶりです。どう?勝ちました?」
C「もちろん。今日は三千円だけだけど」
A「さすが、聡い奴は違うな」
C「賭博に聡いなんてないよ。やる奴は全員馬鹿だ」
A「ほい、これ」
C「おお、わざわざ茶封筒に。ありがとな」
B「中、確認しなくていいんですか?」
C「野暮だろ」
A「いやいや。不備があったら嫌なのはこっちだからさ」
C「分かったよ。...あれ、おいこれ何も入ってないぞ」
A「あれ?...あ、すまん。持ってくるの忘れたっぽい」
C「おい。何してんだよ。じゃあ何のために集まったんだよ」
B「これじゃあ、一緒にご飯食べる為だけに集まったみたいですね」
A「いや、しょうがないな。おい、C。飯行くぞ」
C「......何だよ、俺より聡いじゃねえかよ」













三年六か月前
C「俺と付き合ってほしい?」
B「オウム返ししなくていいんですよ、ドラマみたいに」
C「いやいや、無理無理。まず俺、彼女いるし」
B「浮気でもいいです。遊びでもいいんで」
C「高校生が大人ぶってそういうこと言うもんじゃないよ。それに、遊びでも本気でも無理だよ。不純異性交遊になっちまう」
B「じゃあ、高校卒業したら、付き合ってくれますか?」
C「いや、でも、俺彼女いるからな」
B「じゃあ、高校卒業して、Cさんがもう別れてたら、付き合ってくれるってことですよね?」
C「......」
B「無理です、ごめんなさい、ってすぐに言わないってことは、そういうことですよね?」
C「いや、そんないい男じゃないだろ俺。Aにしなよ。あいつ今彼女いないし。お似合いだと思うよ」
B「いえ。もう今は誰とも付き合う気ないです。不純異性交遊になっちゃうんで」
C「いやあ、参ったなあ」
B「答えは今じゃなくていいです。私が卒業した時に教えてください」

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