私たちの障害者雇用を経済価値として算出してレポートしました
私たち持続未来グループは、他社さんと比較して積極的に障害者雇用を推進しています。ということはこれまでに何度も書いてきました。
私たちが障害者雇用を積極的に進めたのは、今後の人手不足対応という実利からでした。
であるにも関わらず一方では、倫理的に良いことをしているとも思われたりします。あまりそういう自覚はありませんが、そう思っていただくことに悪い気はしません。
しかし、「障害福祉サービスという社会保障を民間企業が使って障害者雇用を進めるのっておかしくない?」というご意見もいただくことがあります。
なるほど、私たち持続未来グループでは、就労継続支援という障害福祉サービスを利用しています。そこには皆さんの支払われた社会保障費が投入されています。
では、私たちが障害福祉サービスを通して障害者雇用を進めることが妥当かどうか計測してみようと考えたわけです。
■ どうやって計測するの?
社会的な活動によってもたらされる結果(アウトカム)を社会的インパクトと呼ぶこと、その算出・評価方法としてSROIという指標があることは、ビジネススクールで学んで知っていました。授業の演習でやっただけですけど…
SROI(Social Return on Investment)とは社会的投資収益率です。
経営で扱う指標にROI(Return on Investment)があります。平たく言うと、「いくら投資して、いくら儲かったか」を表す数値です。
100万円投資して、リターンが150万円なら、150万円÷100万円=1.5。ROIは1.5です。つまり、ROIは1を上回っていないと「元本割れ」であり、数値は大きいほど良いというものです。
これを社会的な活動の成果計測に持ち込んだのがSROIです。比較的普及しているモノサシなのでこれを計測方法としました。
■ 計測するとは、定量化=貨幣価値に換算すること
では次に何を計測するか決める必要があります。
私たちが計測すべき対象としたのは次のとおりです。
・投資として測定すべきなのは、私たちが国や自治体を通して頂いた障害福祉サービス費
・リターンとして測定すべきなのは、働く障害者が得た給与、障害者が働くことによって納付した所得税や社会保険料
ここまでは決めましたが、実際に計測するためには貨幣価値にしていくらなのかを詳しく調べる必要があります。
ということで、グループ各社、各部署に協力してもらい、2023年の数値を洗い出してもらいました。皆さん、いろいろと動いてくれてありがとうございます。
■ 計測してどうだったか
数字が出揃い、計測しました。
正直、これまでにやったことがないのでドキドキします。「1を下回っていたらどうしよう」とも思いました。
結果は、障害福祉サービス費として4,332万円を投資して頂き、7,070万円の社会的価値を創出できていました。
差し引き2,738万円の利益であり、SROIは1.63です。
利回り63%とも言えます。
「優良投資案件じゃん」ちょっと誇らしく思いました。
■ 「雇用」以外にもやってることあるよね
またその一方で、私たちは「雇用」ではない形式でも障害者に多様な働き方を提供しています。
これも貨幣価値に換算してみました。結果は1,145万円。
「けっこう大きいな」自分たちのことながら、はじめて測定して、はじめて気づくことができました。
■ 自分たちのやっていることが妥当なのか毎年測って公表しないとね
こうして測定、評価した結果、私たちの障害者雇用は倫理的に良いというだけではなく、経済的にも価値があることがわかりました。
このことを皆さまにも知っていただき、ご理解いただきたいと考えて公表しました。
でも、これって1回だけやってお終いじゃダメなんですよね。
今回は2023年について評価しました。
がしかし、毎年測定・評価して、妥当性を確認して公表する必要があると考えます。
じゃないと、こういう取り組みの必要性、社会保障費を使っていただいている妥当性って忘れられる=切り捨てられてしまう可能性がありますからね。
■ 最後に、忘れてはいけないこと
ですから、私たちは今後も障害者雇用を進めますし、来年も評価してレポートします。
ただし、忘れてはいけないことがあるとも考えています。
障害者に働く機会を提供することには、意味も価値も実利だってあります。働く機会を増やし、広げることも重要です。
でも「働かざる者食うべからず」ではないのです。
ですから最後に、大切なこと、忘れてはいけないことを明確にしておきます。
私たちは「障害者が働くことには価値がある」と考えますが、「働かない(働けない)障害者には価値がない」という価値観は否定します。
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