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強烈な思いが現状維持を変える

「現状維持ではいけない」、よく言われる言葉です。
もしかすると「現状維持ではいけない」と言い続ける現状を維持したいかのように思える瞬間さえあります。

しかし、なぜ現状維持ではいけないのでしょう?
今日はこのことについて考え、整理しておきます。


■ 現状維持では時間とともに価値が目減りしてしまう


現状維持とは、去年100だったものが今年も100であり、来年も100であるということです。

「落ちていないのなら良いじゃないか」というのはデフレ的発想です。
世の中デフレで、インフレ率がゼロなら、去年100だったものが今年も100であり、来年も100であっても大きな問題は無いでしょう。

しかし、日本もインフレに入りました。(というかインフレ時代=当たり前の時代が戻ってきました)

仮にインフレ率が3%の場合、去年100だったものは、今年103になり、来年は106.09になります。このような状況下で100のものがずっと100だと、相対的に価値が下がって行ってしまいます。

ここで忘れてはいけないのが複利効果です。
毎年3%のインフレとは、元が100とすると、毎年3ずつ増えるというものではありません。(毎年3ずつ増えることを単利といいます)
毎年1.03を掛け算していくということなのです。これが複利です。

つまり、最初の数年こそ「毎年3ずつ増える」単利と「毎年1.03を掛け算していく」複利とであまり数値に差はないのですが、時間が経つにつれて差が開いていきます。

単利の場合、100が2倍になるまでに約33年かかりますが、複利の場合には約24年です。9年の差は非常に大きいと言わざるを得ません。

つまり、インフレ下となったこれからは、現状維持の選択は、自らの価値を目減りさせる選択だと言えます。

■ 大きな転換点での現状維持は大きな転落と同じ


たった3%のインフレでも長期に渡ると前述のように大きく変わってしまいます。

これに加えて、日本は今大きな転換点にあります。言わずと知れた労働人口の急激な減少です。

これまでも労働人口は減少すると言われながらも、最大の人口規模のある団塊世代が労働市場に残っていました。しかし、その団塊世代が75歳に到達したので、今後は減少スピードが劇的に上がっていきます。

このような状況下で、今までのように人手はどこかから湧いてくるという現状維持の考え方では、企業は存続できません。
大きな落とし穴に自らハマりに行っているのと同じです。

■ 流行り言葉で変化を偽装しない


こうした中で、現状維持ではなく、さも変化しているかのように装う組織も多いように感じます。

DX、ティール組織、SDGs、ゼブラ企業、パーパス…何でも良いのですが、こうした流行り言葉を並べた作文で、「私たちは変化していますよ」と偽装するわけです。

もしかすると積極的に偽装しようなどと考えてはいないのかもしれませんが、そこに強い思いは感じられません。本当に変わる気は無いのです。

これは、比較的大きな組織、官僚主義的な組織、サラリーマン的で当事者意識の薄い人たちが頭から尻尾まで占めている組織に多いですね。賢いのだとは思います。

■ 「今のままではダメだ」「だからこうなりたい」という強烈な思い


必要なのは、スマートな表現ではなく、「今のままではダメだ」「だからこうなりたい」という強烈な思いです。

前述のように本音では変化を欲しないのは比較的大きな組織です。そんな彼らは、THE BLUE HEARTSの言葉を借りれば、支配者たちはいびきをかいているのです。

であれば、私たちのような取るに足らない虫けらにだって、強烈な思いがあれば勝機もあるはずなのです。

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