2023年8月例会

PA会囲碁同好会幹事のKUです。
 例年8月の例会はお盆期間に重なるので開催を見送ってきたのですが、本年は事前に参加希望を調査したところ、10名もの方に参加していただいて開催できました。
 また、今回の例会には、N会員が初参加してくださりました。
 N会員の参加のきっかけは、7月にPA会が主催した弁理士新規登録祝賀会です。
 祝賀会でプレゼン資料を使って囲碁同好会を説明した甲斐がありました。

 さて、例会ではいつものように活発に対局が繰り広げられましたが、その中から、初参加のN会員とKUとの対局をご紹介します。
 N会員は、基本ルールや基本的な打ち方まではご存じでしたので、N会員が黒番の9子局で打ってみました。

<第1譜(1-30)>

9子局では、辺の黒石に対して白がボウシを打って試すことが多いのですが、黒は、右辺のボウシ(白5)や左辺のボウシ(白17)に対してしっかりと応対しています。
 ここで、左辺の黒石への攻めをにらんで、白19と下辺に打ち込みました。
 この手に対して、黒20の上ツケで応対したのですが、白21ハネ出しに対して、黒22ノビ、白23ツギと進むと、黒がサカレ形になってしまった感じがあります。
 黒24は、左下隅の黒を守るために必要な手で冷静です。
 黒30は、白29の一路左にキリを打つとアキ三角の愚形になるので、それを避けた手であり、中央を重視した筋のよい手だと思いました。

<参考図1>

 第1譜の黒20ツケと打ったときは、下辺をしっかりと黒地(緑の範囲)として確保する打ち方が分かりやすいです。
 この後、左辺の黒石2個(△)が攻められるのですが、無理に逃げずに左辺を白地にさせて(赤い範囲)、その代わりに上辺から中央にかけての範囲(青い範囲)を黒の勢力圏にする打ち方もあります。

<第2譜(31-60)>

 本譜において、白39まで、下辺の黒が絞られる形になってしまいました。また、下辺を白に破られたことによって、右下の黒は、白43から黒46までで小さく生きる形になってしまいました。
 この形を避けるための黒の打ち方の一例を<参考図2>として紹介しています。なお、実戦で、白39アテに対して黒3子をつながずに黒40で下辺の守りを優先したのは、被害を最小限に抑える好判断だったと思います。
 その後、白47から左下の黒地を削ります。ここで、黒54で右上に打って、左下の手を抜いたことで、白55から黒58まで先手で白地を稼がれてしまいました。
 黒54で左下を手抜きせずに打った場合の一例を<参考図3>として紹介しています。
 実戦は、左下白がしっかりして左辺の黒が弱体化しました。
 ここで、黒60から左辺を動きましたが、上述した<参考図1>のように、左辺を白地にさせて上辺の黒地を広げる方針でもよかったと思います。

<参考図2>

 第2譜の黒34では、黒1のように手を入れておけば、実戦のように絞られる心配はありませんでした。中央の黒石は、天元の黒石につながれば、すぐに攻められる心配はありません。

<参考図3>

 第2譜の黒54では、黒1ツギを打つのがよいです。これに対して白が手抜きすると全滅するので、白6までのように小さく生きるくらいです。ここで黒番になりましたから、ここから第2譜の黒54に回ってもよかったです。

<第3譜(61-100)>

 黒が左辺を動いたので、白は左辺の黒石を攻撃しながら局面を動かしていきます。
 左辺の黒石は十分に中央に脱出可能でしたが、黒76が失着で、白79までで中央との連絡を断たれました。黒76での正着を<参考図4>として紹介しています。
 また、黒92は<参考図5>として紹介するように、一路左に打つ方が良かったです。
 黒94ノゾキは、白が<参考図6>として紹介するように、黒96の地点をしっかりとつないで受ければ中央に大きい黒地を囲えるという狙いで打たれましたが、白はその狙いを外すために、ノゾキに対してつながずに白95と反発します。
 黒としては、勢いで、ノゾキに続けて黒96と白石を分断する手を打ちました。
 しかし、黒96では、白95の一路上に押さえるのが妥当な手であったようです。
 黒96で白95の一路上に押さえた場合の変化の例を<参考図7>、<参考図8>及び<参考図9>として紹介しています。
 なお、結果論ですが、黒94では、ノゾキではなく、単純に中央を囲うように、黒100の地点やその一路左に打った方がよかったようです。
 一方で、白も、白93のときに、黒100の地点のあたりに先着しておくべきでした。


<参考図4>

 第3譜の黒76では、黒1ノビと打つ一手でした。
 これでしたら、黒9までで中央に頭を出して捕まる心配はありませんでした。


<参考図5>
<参考図6>

 第3譜の黒94は、白1としっかりとつないで受けることを期待した手です。白1に対して黒2と打てば中央の黒地(緑の範囲)が大きくまとまるという狙いの手です。
 実戦では、第3譜の白95のように反発しています。

<参考図7>

 第3譜の黒96で、黒1のように押さえた場合、白2キリから、なかなか難しい変化になりそうです。
 この図は黒の失敗例です。

<参考図8>

 参考図7の黒9で変化すれば、なんとか中央は止まりそうです。
 しかし、難しい変化で間違えやすいので避けた方がよさそうです。

<参考図9>

 黒1の押さえに白2ワリコミと打つと、素直に黒3に押さえて大丈夫そうです。
 そうすると、黒1に対して白4キリ(参考図7,8の白2キリ)の場合は、黒5ブツカリで何事も無さそうです。

<第4譜(101-214;表記は1-114)>

 結局、黒112(14の8の位置、表記は黒12)までで白がかなり侵入し、中央の黒地が削減された上に、黒が後手を引いてしまいました。
 その後、白からだいぶんヨセを打たれて、白8目勝ちという結果になりました。
 N先生は、しばらく囲碁を打っていなかったとのことでしたが、全体としてはしっかりと形になっていましたし、黒30(第1譜)のように愚形を避ける手や、黒94(第3譜)のように狙いを込めた手を打っているところに筋の良さを感じました。
 対局を重ねてしっかりと検討していけば、すぐに上達すると思いますので、ぜひ今後も例会に参加していただき、囲碁に触れ続けてください。

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