2023年6月例会

PA会囲碁同好会幹事のKUです。
 2023年5月度例会から金曜夜の開催を復活させましたが、日曜の昼間の方が参加しやすい方もいらっしゃるため、しばらくは、金曜夜の開催と日曜昼間の開催とを隔月で実行することとなりました。
 というわけで、2023年6月度例会は日曜の昼間に日本棋院の市ヶ谷本院で開催しました。
 例会では活発な対局が繰り広げられましたが、その中から、囲碁の実力が著しく伸びてきているH会員とKUとの対局をご紹介します。手合いはH会員が黒番の2子局です。

<第1譜(1-37)>

白から右上と左上の2つの置石にカカリを打ちました。

 左下では、カカリに対して黒が手を抜いたので、両ガカリとなりました。黒16は手厚い一手ですが、白21と黒22との交換で左下の黒の眼形が少し乏しくなりました。

 さらに、黒34以降の数手で白が右辺に石を並べる格好になったため、左下の黒が弱体化した感じがします。

 とはいえ黒40まで伸びきったことによって、上辺での戦いは黒に有利に進みそうです。

 白は、上辺でまともに戦うのはよくないので、白41のツケからサバキを図ります。
それに対する黒42のブツカリが非常に力強く、黒48のところを切って戦おうという手なのですが、黒48のところをすぐに切ると参考図1のようにうまくいかなさそうです。

 そこで、黒44と下からハネたのですが、これでしたら黒42のブツカリを打たない方がよかったようにも見えます。実戦は白53までシチョウに抱えて上辺は一段落です。

ここで、黒は右辺の黒54に展開しました。

<参考図1>
<第2譜(54-60)>

 黒54は、右辺の進行次第では上辺の黒(□)を逃げ出してやろうという意図です。

 白としては、真ん中の黒4子(△)を切り離して攻める狙いを残すために、白55と守りました。

 そうすると、黒は右辺で黒56と連打することになります。

 白はなんとかサバキたいので、白57、白59とハネて様子を見ました。

 白59に対して参考図2の黒1のように黒が右上を固くつないだ場合、白2とカケツギを打って弾力がありそうな形にできると思っていました。

 しかし、実戦の黒は、白がカケツギの形に打ちたい場所に黒60と先着しました。

<参考図2>
<第3譜(60-100)>

 黒60は、白の狙いを外す意味ではよかったのですが、結果として白63で1子をかみ取られて右辺の白が楽に生きることになりました。その上、白75の切りが入ったことで外周も鉄壁とはいい難い感じです。

ここで、黒は、かねてから狙っていた、左辺の黒88の切りを実現するために黒84に先着したのですが、白85と黒86の交換で損をしたように見えます。黒84では、参考図3のように左上にしっかりと手を入れておいた方がよかったように思います。

<参考図3>

 さて、黒が待望していた黒88の切りなのですが、実戦のように白に受けられてみると逆に絞られてしまって凝り形になってしまいました。おまけに後手を引いてしまい、白99の詰めまで許しています。黒88の切りにこだわりすぎたことによって、下辺の白87、白99の連打を許した格好になりました。
 黒は形勢不利と見て下辺に黒100と打ち込みました。

<第4譜(101-135)>

白は下辺の白が全滅したり、右下に巨大な黒地ができたりすることに気を付けて打ち進めていきます。
 白129の下がりは妥協したように見えますが、参考図4の白1のように押さえますと、黒2のノゾキが利かされてワタリを止められてしまい、下辺の白の眼が怪しくなります。つまり、実戦の白129は下辺の白にワタリの保険を掛けた手です。
 黒134までで下辺の白は閉じ込められましたが、ワタリの保険もあることから死ぬ心配がほとんど無くなりました。
 そこで、白は、右下の黒模様の削減のために白135から手を付けました。

<参考図4>
<第5譜(135-163)>

 白137までズカズカと黒模様に踏み込まれると、黒も反発するのが当然です。
 しかし、下辺の黒の一団や、左辺の黒の一団の連絡に弱みがあります。
 その結果、絡み攻めの形になってしまい、最終的には白161までで下辺の黒が飲み込まれてしまいました。
 ここで黒はやむなく投了となりました。
 大場よりも急場という格言がありますが、第3譜の黒84はまさに急場を逃した感じになってしまい、本局の黒はそこで形勢を損ねたように見えます。このあたりの見極めができるようになると、碁がより一層面白くなると思います。


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