2019/08/27 Jim O'Rourke - Eureka

僕が「好きな映画」を聞かれた時に挙げる作品には必ず、青山真治監督の『EUREKA』がありまして、公開当時に半田くんの勧めで確か観て、もうどっぷりハマって、当時のBOX東中野でのたむらまさきさんのオールナイトでかかってたのも観に行って、いわゆるオールタイムベスト級な映画なんですけども(すごい、映画のことを書いてるよ、ここで。音楽のことばっかり書いてるのに、普段は)、その中で象徴的に使われるのがこのジム・オルークの楽曲でして、もちろんそれもすっかり好きになってしまったわけです。
9分強ある長尺ですけども、4分過ぎた辺りの展開と入ってくるブラスの音、それがもたらす広がりが、あの映画の閉塞感と解放にすごくマッチしていて、この曲を聴くだけであの映画を観たような感覚になるというか、あのシーンでの役所広司の、宮崎あおいの、あの表情が思い出されて、いつだってその世界に入っていけるような感覚に陥るわけです。あの世界、あの地獄のような世界に。
と、書きながら思ったんですが、『Helpless』という同じく青山真治監督の映画がありまして(青山さんの劇場映画デビュー作、ですね)、これはその後の『EUREKA』と繋がっている作品なんですが、その繋がりを担保する人物を斉藤陽一郎さんが演じてらっしゃいまして、その斉藤さん、学生との映画製作プロジェクト「トリウッドスタジオプロジェクト」の最新作にして最終作(になるかもしれないですなぁ)の『ぐちゃぐちゃ』にご出演頂きまして、僕がプロデューサーとして現場にも参加してましたので、お会いしてるんですよね。『EUREKA』を観ていたのがそれこそ学生の頃ですから、そこから十数年後に、自分が学生達と作る映画に出て頂けるとは。感慨深いとはまさにこの事でございます。
ちなみに、斉藤さんの役は、「人の自慰行為を見るのが好きで、とうとうマジックミラー号を自分で借りちゃう男」の役でした。本物のマジックミラー号と共演して頂きました。