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まほうがとけるまで/イントロダクション

本エピソードは、これまでのP-PingOZで取りあげた主人公が巻き込まれた事件を覗き見しています。下記エピソードを読んでおくと、より楽しめます。


P-PingOZ『まほうがとけるまで』 Introduction

 少し昔、第02特区に、グレイ社、という家事代行サービス会社がありました。
 ところがある日、創業者のグレイ氏が亡くなくなり会社が窮地に陥りました。
 それを救ったのが、グレイ夫人。彼女は社名を「ヘイゼル」にあらため、亡くなった旦那さんの事業を引き継ぎ、拡大し、大きな自社ビルを建てるまでになりました。
 その手腕からグレイ夫人は「西の魔女」と呼ばれるようになりますが、これはお話の本筋ではないので、機会があればお話ししますね。

 さて。

 そのヘイゼル社が普及させたのが、清掃人形の「サンドリヨン」。
 後ろが膨らんだスカートのような下半身に掃除機とモップが付いていて、腕のないシンプルな上半身がついてます。大きさは、だいたい大人の腰高ぐらい。顔部分にはモニタがあり、簡単な顔文字で感情表現のようなこともできます。簡単な会話機能も搭載されていて、「三十分後に掃除して」など掃除の日時を設定したり、人形の位置情報をもとに地域ごとのごみの日を答えてくれたりします。時間レンタル、月額レンタル、買い切りなど様々な形で導入でき、お値段もお手頃。第02特区で爆発的に普及しました。
 現在では、公共施設、オフィスビル、病院、飲食店などで広く導入され、人を雇うほどではないけれど余裕のあるお家や、ガジェット好きな方のお家にもサンドリヨンは配備されています。
 花のシーズンが終わり、街のフェイク植物が若い緑に植え変わる頃。
 第02特区で、後に市民から「3時間舞踏会」と呼ばれる事件がありました。ある時間を境に、サンドリヨンたちが一斉に言うことを聞かなくなってしまったんです。

 その180分を過ごしたこれまでの主人公たちの実際の様子を、覗いていきましょう。

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