巨大数(1) 演算の拡張
足し算、かけ算、指数ときてそれを発展したらどうなるのかって考えてみましょう
考えたこともないことを考えるのはちょっとわくわくしませんか
かけ算 $${\underbrace{a+a+a+\cdots +a}_{b個}=a\times b}$$
指数 $${\underbrace{a\times a\times a\times \cdots \times a}_{b個}=a^b}$$
これを $${a↑b}$$ と表すことにします
これは指数の形では演算記号が見えないからです
クヌースの拡張
↑演算の拡張(指数計算の拡張)
$${a↑↑b=\underbrace{a↑a↑a↑\cdots ↑a}_{b個}=\underbrace{ a^{a^{\cdot^{\cdot^{\cdot^a}}}}}_{b個の指数タワー}}$$ と定義します
$${a\times b=\underbrace{a+a+a+\cdots +a}_{b個}}$$
$${a↑b=\underbrace{a\times a\times a\times \cdots \times a}_{b個}}$$
と構造が同じですね
クヌースによってテトレーションと名づけられています
例 $${\displaystyle 2↑↑3=2^{2^2}=2^4=16}$$
$${\displaystyle 2↑↑4=2^{2^{2^2}}=2^{2^4}=2^{16}=65536}$$
$${\displaystyle 3↑↑2=3^3=27}$$
$${\displaystyle 3↑↑3=3^{3^3}=3^{27}=7625597484987}$$
$${\displaystyle 4↑↑3=4^{4^4}=4^{256}}$$
$${=13407\ \ 8079299425\ \ 9709957402\ \ 4998205846\ \ 1274793658\ \ 2059239337}$$
$${\ 7723561443\ \ 7217640300\ \ 7354697680\ \ 1874298166\ \ 9034276900}$$
$${\ 3185818648\ \ 6050853753\ \ 8828119465\ \ 6994643364\ \ 9006084096}$$
↑↑演算の拡張
$${a↑↑↑b=\underbrace{a↑↑a↑↑a↑↑\cdots ↑↑a}_{b個}}$$ (ペンテーション)
例 $${\displaystyle 2↑↑↑4=2↑↑2↑↑2↑↑2}$$
$${\displaystyle =2↑↑2↑↑2^2}$$
$${\displaystyle =2↑↑2↑↑4}$$
$${\displaystyle =2↑↑2^{2^{2^2}}}$$
$${\displaystyle =2↑↑65536}$$
$${\displaystyle =\underbrace{ 2^{2^{\cdot^{\cdot^{\cdot^2}}}}}_{65536個の指数タワー}}$$
$${4↑↑3}$$もとても大きな数でしたが、$${2↑↑↑4}$$は桁違いの大きさの数ですね
さすが指数の拡張の拡張といったところです
なおこの矢印表記は以下の形で矢印はいくらでも増やして定義できます
$${\displaystyle a\ \underbrace{ ↑↑↑↑\cdots\ \cdots↑}_{n本の矢印} \ b}$$
$${=\displaystyle \underbrace{a\ \underbrace{ ↑↑↑↑\cdots\ \cdots↑}_{n-1本の矢印} \ a\ \underbrace{ ↑↑↑↑\cdots\ \cdots↑}_{n-1本の矢印} \ a\ \cdots\ \cdots \ a\ \underbrace{ ↑↑↑↑\cdots\ \cdots↑}_{n-1本の矢印} \ a}_{b個のa} }$$
コンウェイの拡張
チェーン表記(↑演算の拡張)
コンウェイは $${↑}$$ の本数を$${c}$$として
$${a↑^c b =a\ \underbrace{↑ \cdots ↑}_{c個}\ b}$$ と表しました
そしてチェーンを次のように定義します
① $${a→b→c=a↑^c b}$$
② $${X→1=X}$$
③ $${X→1→Y=X}$$
④ $${X→(p+1)→(q+1)=X→\{X→p→(q+1)\}→q}$$
※$${X,\ Yはいくらかの長さのチェーンを表し、}$$
$${a,\ b,\ c,\ p,\ qは自然数を表す}$$
※④の{ }はそれが一かたまりで演算はその中で完結される
また、
$${(空のチェーン)=1}$$
$${p=p}$$
$${p→q=p^q}$$
$${p→q→0=pq}$$
となります
例1 $${ 2→3→3}$$
$${= 2 → (2 → 2 → 3) → 2}$$
$${= 2 → (2 → (2 → 1 → 3) → 2) → 2}$$
$${= 2 → (2 → 2 → 2) → 2}$$
$${= 2 → (2 → (2 → 1 → 2) → 1) → 2}$$
$${= 2 → (2 → 2) → 2}$$
$${= 2 → 4 → 2}$$
$${=2→(2→3→2)→1}$$
$${=2→(2→3→2)}$$
$${=2→(2→(2→2→2)→1)}$$
$${=2→(2→(2→2→2))}$$
$${=2→(2→(2→(2→1→2)→1)}$$
$${=2→(2→(2→(2)))}$$
$${= 2^{2^{2^2}}}$$
$${= 2^{16}}$$
$${= 65536}$$
例2 $${ 3→3→2→2}$$
$${= 3 → 3 → (3 → 3 → 1 → 2) → 1}$$
$${= 3 → 3 → (3 → 3)}$$
$${= 3 → 3 → 3^3}$$
$${= 3 ↑^{27} 3}$$
$${\displaystyle =\underbrace{ 3^{3^{\cdot^{\cdot^{\cdot^3}}}}}_{27個の指数タワー}}$$
例3 $${ 3→3→3→2}$$
$${= 3 → 3 → (3 → 3 → 2 → 2) → 1}$$
$${= 3 → 3 → (3 → 3→ 2 → 2)}$$
$${= 3 → 3 →(3 ↑^{27} 3)}$$
$${= 3\ \underbrace {↑↑↑\cdots\ \cdots ↑↑}_{3 \ ↑^{27}\ 3\ 本}\ 3}$$
クヌースの矢印表記もあっという間に大きな数を作れましたが、コンウェイのチェーン表記はそれを遙かに超える大きな数を得られました
というか例2は式として表現できる大きさの数ですが、例3は具体的にどのくらい大きな数なのか分からないくらいの大きな数ですね
こんな感じで日頃見慣れている計算も拡張することで驚くような結果が得られました
色々なことで、当たり前で止まらずに世界を広げてみると楽しい世界が待っているかもしれませんね
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