【パーマカルチャーデザイナーvol.70 Elli Tomizawa】
これはパーマカルチャーデザインコース(以下、PDC)を修了したパーマカルチャーデザイナーたちのリレーコラムです。
※パーマカルチャーとは
"Permaculture is a dance with nature, in which nature leads."
パーマカルチャーとは自然に導かれる自然とのダンスのようなもの。
Bill Mollison
ビル・モリソン
#70 Elli Tomizawa
えりちゃんとのはじめましてはちょうど7年前の2月。
鴨川で開催された房総パーマカルチャー・コンバージェンスでした。
艶やかな美しさ
ユニークで興味をそそる会話
場を収めてくれる落ち着いたトーン
たくさんの魅力に加えてチャーミングな人柄に親しみと信頼を深く感じる人。
そんなえりちゃんの本質に触れられた今回。
心をひろげてくれたことに感謝を込めて。
Q1.あなたについておしえてください
PDC2017で同期のくりちゃん、思い出してくれてありがとう!
北海道での生活のアップデートを楽しみつつ陰ながら応援していますよ。
同じく同期のごうしくんや翔太くんに倣い、ちょっぴりシリアスでディープにいかせていただきます!
人生が「本当の自分を探す旅」であるとしたら
私は今ようやくスタート地点に立ったところだと思います。
私には兄と妹がいます。
3人兄弟の真ん中の子供にありがちな放任主義で育てられました。
「恵里ちゃんはしっかりしているから一人でも大丈夫。」
母の言葉がいつしかマントラとなり、できるだけ親に面倒をかけないように自分のことは自分で対処する子どもでした。
「もっと愛情をかけて欲しかった。」
「もっと子どもでいたかった。」
そう感じていた私は
「自分を誰よりも愛してくれる家族を見つけたい。」
そう切に願っていました。
そして
「ありのままの自分では愛されるには値しないから、愛されるためには相手のニーズに自分を合わせないといけない。」
という誤った固定観念をもって生きるようになりました。
子供の頃に最初に抱いた夢は「歌手」になること。
高校時代はロックバンドのボーカル、大学ではミュージカルに出演し、大学卒業後イギリスの演劇学校に入りプロのミュージカル俳優を目指しました。
20代をミュージカルに捧げたものの挫折の連続。
トラウマを受け、ミュージカル俳優への道を断念。
30代で結婚しヨガや瞑想と出会いベリーダンスを踊り始めスピリチュアルな世界と内なる女性性に目覚めました。
同じ頃20代から抱えていた体の症状が悪化。
それに向き合っているうちに社会のあらゆる問題点に気づきました。
2010年に東京から千葉の鴨川市に移住し、米・野菜作り、梅干し・味噌・醤油作り、家のDIYリノベーションなど可能な限り自給自足を目指す農的な暮らしを実践。
田舎生活では基本的な生活インフラを整えるためにやらないといけないことに時間を費やすことが多く、好きなことがあまりできないジレンマもありました。
その中でベリーダンス講師となり、共通の興味を持った女性たちのコミュニティーを築く喜びを味わいました。
一方で「愛されるためには相手のニーズに自分を合わせないといけない。」という固定観念のせいで本来の自分らしさを見失っていきました。
10年間の結婚生活の末にパートナーとの学びのサイクルが終わったことを悟って離婚し、7年間築いた鴨川での暮らし全てを手放し東京に戻りました。
Q2.パーマカルチャー デザインコースを通して
PDCを受講した2017年。
当時は東京で仕事をしながら生活を立て直していました。
自然や自然の中で生きる人たちのエネルギーが恋しくなり受講したPDCは私にとっては癒し。
「共通の意識を持った仲間って良いな。」
「コミュニティーって良いな。」
と改めて実感させてくれました。
ただ離婚と東京へのUターンという過程の中で、
「自分が本当は何をしたいのか。」
「そのためにはどこに住んでどういう暮らしをするのが良いのか。」
は全く見えていない状態。
なのでパーマカルチャー手法を用いてゾーニングをする以前に、まずはデザインの前提となる内面的なゾーン・ゼロのお掃除(固定観念の手放しやトラウマの解消)をする必要があることに気付きました。
Q3.あなたにとってパーマカルチャー って
2020年に再び鴨川に拠点を移しました。
現在はパートナーと共にパーマカルチャー手法に基づいた「食べられる森」で暮らしています。敷地の掃除とメンテナンスで忙しくて、正直なところ米・野菜作りは一切やっていません。
とは言え
季節毎に実る果実の恵み
薪ストーブの温かさ
飼っているカモの卵や地元で獲れるジビエ肉の美味しさ
身近な自然に感謝しながら生活しています。
この数年間はパートナーのお掃除や事業をサポートすることに時間とエネルギーを使い果たし自分らしく生きる事ができていませんでした。
去年の3月にまたもや自分を見失ってどん底に落ちた時パートナーシップに於いて再び同じ過ちを繰り返している自分に気付きました。
自分を変えないと一生幸せになれないと悟り「愛されるためには相手のニーズに自分を合わせないといけない」という固定観念を手放し、まずは自分のニーズを優先することを決意しました。
相手に愛を求める以前に自分自身を愛で満たすという内面的な自給自足に目覚めたのです。
これからは「自分自身を愛で満たすと逆説的に人からも愛されるようになる。」、そして「自分自身を愛で満たすことで本当の意味で人を愛する事ができる。」ことを体現していきたいものです。
自分のニーズを満たす一環で去年からは音楽と触れ合う機会を増やし、これまで蓋をしてきた「歌」にまつわるトラウマと向き合い始めています。
「あなたは何をするために生まれてきたと思いますか?」
と今聞かれたら
農的生活でも、
踊りでもなく、
「歌」と即答します。
これまでの人生を振り返ると随分と遠回りをしたけれど、ようやく自分の原点に戻って本来の自分の人生を生きているような感覚があります。
これも自然豊かな環境でパーマカルチャー的な暮らしをしている事の恩恵の一つなのかも知れません。
Q4.PDCの中で次にバトンをつなぎたい人
PDC1期生の翠くん。
翠くんは私が出会った中で最も自然に近く森の中に住む知恵やサバイバル能力を持つ、良い意味で野生的な人。
どんな人のこともポジティブに受け止めるけれど、自分の軸をしっかりと持っていて無理に相手に合わせることはせず自分のペースとスペースを保つところが素晴らしいと思います。
今もきっと翠くんらしく自然体で暮らしているのだろうな。
2024/2/4 立春