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事業計画を作る際に最初に考えるべきこと

 「事業計画を作る際に、どこから手をつけて何を考えればよいかわからない」そういった声をよく聞きます。今回は、事業計画を作る際に最初に何を考えるべきか、についてお伝えしていきます。

「これから自社はどうありたいのか」を考える

 「事業計画を作る」となると、「事業戦略を立てる」あるいは「将来の計画数値を作る」等、定性・定量含めて様々な計画を作らなければならない、というイメージを持っているかもしれません。では、その中でも最も重要で最初に考えるべきことは何でしょうか。それは「自社はいったいどんな会社なのか」「これからの自社はどうありたいのか」という問いとしっかりと向き合い、その考えをはっきりと言語化することです。いわゆる「経営理念」(ビジョン・ミッション等)と呼ばれているものを改めて考え直すことに他なりません。
 普段から、自社の経営について考えている経営者の方からすると「そんなことは今更言われなくても・・・」と思うかもしれません。しかし、頭の中でなんとなく考えていても、いざ「自社の存在意義や強み」や「将来の目指すべき姿」を改めて言葉で表そうとするとなかなか難しい、そう感じる方も多いのではないでしょうか。

なぜ事業計画を作る上で「経営理念」は重要か

 事業計画の策定を進めていくと、市場・競合分析等をしながら様々な事業ごとの戦略を作っていくことになります。そしてその分析や事業戦略を元に、計画数値に落とし込んでいきます。その事業戦略や計画数値を作る上で、最も重要となるのが、「経営理念」(ビジョン・ミッション等)なのです。すなわち、全ての事業戦略や計画数値の基本となるのが「経営理念」(ビジョン・ミッション等)であり、「自社はどんな会社なのか」「これからの自社はどうありたいのか」というポリシーがあって初めて、「自社はどの領域で戦うのか」「どの事業(商品)にどれだけ投資をして成長させるのか」「その結果、計画数値は○○にしよう」と事業計画を作ることが出来るのです。
 この基本がぐらついてしまうと、全ての事業戦略や計画数値が固められない状態に陥ってしまいます。だからこそ、まず「自社はどんな会社なのか」「これからの自社はどうありたいのか」という問いに対して、明確な答えを言語化しておく必要があります。なんとなくのイメージで計画数値だけ適当に作ってしまう、そんな事業計画の作り方から脱却するためにも、まずは今一度「経営理念」と向き合うことから始めてみてはどうでしょうか。

ディスカッションで「経営理念」への考えを深める

 では、どのようにしたら「経営理念」(ビジョン・ミッション等)への考えを深めることができるでしょうか。もちろん常日頃から自社の経営についてしっかりと向き合っている経営者の方からすると簡単なことかもしれません。しかし、もしなかなか考えがまとまらない時は、「自分自身が好きな企業」を取り上げてみることから始めてみるとよいと思います。そして「その企業をなぜ取り上げたのか?どんなところに魅かれるのか?」を考えてみましょう。何社かピックアップしていくうちに、「では、もし自社にあてはめたらどんな会社にしていけるだろうか」と引き寄せることで、自社の将来のあり姿のイメージをより具体化できると思います。
 また1人で思い悩むのではなく、自社の経営層のメンバーと(例えば合宿形式等で)あれこれ自由なディスカッション形式で考えを出し合っていく、というのもよい方法だと思います。あるいはパートナーCFOのようなディスカッションパートナーに壁打ち相手となってもらうことで、自分自身の考えが深まったり、新たな考えが浮かんだりするかもしれません。様々なディスカッションを通じて、是非自社に対する考えを深めた上で、有意義な事業計画になるように策定を進めていただきたいと思います。
 事業計画とは、単なる数値遊びではないですし、「絵にかいた餅」とならない様に、実行をして成果を出すことで初めて意義があるものとなります。そして成果を出し続けた先にたどり着くであろう「自社のありたい姿」を、事業計画を作ることで予め明確にしておくことこそが重要なのです。

一般社団法人日本パートナーCFO協会 編集部

この記事を書いたのは、 
水野靖彦さん (株式会社プレアス代表取締役、協会認定パートナーCFO®)
https://www.preas.co.jp/



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