しょうわくせい
静かな静かな夜に、むくりとあの子は目を覚ました。 目をこしこしこすり、そろそろと階段をおりる。 いすに座って、ぽけっと5秒。 寝る前に使ったマグカップをさっと水でゆすいだ。 カフェオレをそそいで、レンジでチンする。 まだ真夜中。 だんだんだんだん眠くなって チン!の音で、いすをガタリとさせた。 できたてのカフェオレはとってもあちちで。 すこし冷めてほしくて、冷たい牛乳をちょろりと入れる。 白い丸がぽわっと広がる。 スプーンをいれると、丸にしゅっとしっぽができた。 まるで
きょうも ごはんが おいしいです テレビにでている ヒーローは かっこいいです こんにちは!ぼくは きゃろる です! ぼくのごしゅじんは すこしまえに いなくなってしまいました あいするひとを まもるために! なんて すばらしいのでしょうか! でも みんなは ごしゅじんに いかないでといっていました なぜでしょう ぼくにはわかりません でも ごしゅじんは いっていました 「ぼくの あいするひとは とってもぼくを あいしているから ぼくがいかないと むこうから とんで
大きな木をかきわけて。 小さな湖に穴をあけないように。 山がしぼまない力加減で。 ひとはり。ひとはり。 赤と、黄色と、白と、青と、灰色と。 まん丸く縫い合わせた、いろんな色のつぎはぎ。 気に入ってもらえるかな。 好きと言ってくれるかな。 どんな物語がはじまって、どんな夢をみるのかな。 ぼくはそれを知ることはできないけど。 最後の仕上げにシュッと空気をうるおして。 ゆっくりゆっくり宙に浮かべた。 もしこわれちゃったら、いつでもおいでね。
ある日、地面がまっぷたつに割れた。 あまりに突然の出来事だった。 のぞくと、空が見えた。 星がまっぷたつに割れた。 人々は騒然、途方にくれて。 研究者達は日夜頭を抱えた。 ぼくの頭に浮かんだのは 向こう側にいる、かけがえのない人。 もう会えない? そんなことないよと、何度言い聞かせても。 きっともう会えない。 ぼくの頭はかなしみでうもれた。 ある日、若者が飛行機にのりこんだ。 恐れ悲しむ人々の懸け橋になろうと、飛び立った。 後少しでたどり着くとこだった。確かに見えた