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私がビデオゲームで味方のキャラクターに嫌いな上司の名前をつけてわざと死んでいると、雨が降ってきた。
「雨だ」
雨はどこまでも冷たく私たちを濡らした。
「濡れちゃった」
「濡れちゃったんですね」
「はい」
私たちは雨宿りをするためにジャスコに行った。
「うわぁ〜!たくさんの商品が売っている!」
「まるで休日の家族の博覧会みたいだね!」
「そうだね」
中身のない会話は、時に私たちの時間を優しく削り取っていく。
そこに、太陽みたいな刺激の強すぎるものがあったとして、それを直視しなくてもいいようなシステムとして存在しているのだ。
「ロールケーキ食べたい」
「いいね」
「食品売り場に行こう」
「はい」
寿司を食べた後の満足感と、そして過剰カロリーを摂取してしまった時の背徳感。
「行くならやっぱりジャスコだね」
「それな」
こうして私たちの夏休みが終わった。
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