SUNAO

「あぁ疲れた-、今日も1日頑張ったな自分!」
そう言いながらプシュッと缶チューハイを開ける。
「…っん---!うんま-い」
風呂を出たばかりの火照った体に冷えたアルコールが染み渡り、1日の疲れが抜けていくような感覚になる。
「さ、て、と…連絡は…と…あ!きてる!!」
手にしたスマホのラインに1件の通知がきていた。
ドキドキしながらそれをタップする。

-夏の新商品!ねばねばパワーで夏を…

「…ちがった」
それはわたしが期待していたものではなかった。

-はあ…
持っていたスマホを握りしめて思わずため息が出る。
「…全然既読つかないなあ」

" おはよう、行ってくるね "
" ただいま、明日休みだよ "
" おやすみ、もう寝るね。明日も頑張ってね "
一方的に送る一向に既読にならないメッセージ。

-最後にラインきたのいつだっけ?ってゆ-か、電話したのっていつ??
そんな事を考えながら水滴で濡れた缶を手にする。

〜♪
「わっ!?」
いきなり鳴ったスマホの音と振動に驚いて思わず缶を落としてしまった。
「あ-、もう最悪だよ〜…誰…」
画面に表示されるずっとずっと待っていた人の名前。
慌てて電話に出る。

「…お…お疲れさま…久しぶり…」
『あ〜、うん、久しぶり。ごめん、返信しなくて』
「ほんとだよ!何かあったのかって心配したよ」
『そっか、ごめん。大丈夫だよ』
「うん、それなら良かった。でも、電話なんてどうしたの?珍しいね」
『…』
「ひろ?」
『…き…た…』
「ん?何?聞こえな…」
『ごめん、俺、好きな人ができた』
「…え?何、え?ひろ?」
『ごめん、本当にごめん』

夏も間近のこの日、わたしは6年付き合った彼にふられました。

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