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[ベトナム930日目]個人所得税法改正案、2025年国会提出へ

個人所得税法の改正案

ベトナム財務省は、2025年10月の国会で個人所得税法の改正案を提出しました。2026年5月の国会で承認を目指しています。

改正案では、個人所得税の累進税率の階層を2つ削除し、人的控除を増加させることが主な改正点となっています。

改正案①累進税率の2つ階層の削除案

現行法では、7つの累進税率があり、税率は5%から35%まで段階的に上がります。

所得額によって適用税率が異なります。

しかし、税率が高く、階層が多すぎるため、不合理な部分が多く指摘されています。

そのため、累進税率の改正が求められており、高所得者からの税収の確保や貧富格差の縮小が目的であるにもかかわらず、その目的を果たせていないことが懸念されています。

そこで、今回の改正案では、PIT課税所得の水準の調整と累進税率の階層の削除が検討されています。この改正により、納税者の負担が軽減されることが期待されています。

法務省は、PIT累進税率の修正において、以下の点を重視しています。

  • 社会経済的状況・国民の所得と生活水準と比較して適切な水準

  • 国際情勢と比較して適切な水準

  • 労働者の権利を確保

  • 外国の専門家や熟練労働者の雇用を促進

改正案②人的控除(基礎控除、扶養控除)の増加案

2020年7月1日から、PIT計算時の人的控除の基礎控除は11,000,000VND/人/月、扶養控除は4,400,000VND/人/月となっています。

しかし、専門家や納税者からは、この人的控除はインフレに追いついていないため、最低生活水準に比べて低すぎるという意見が多く聞かれます。

人的控除を増やす場合には、子供の学費や医療費などの合理的な費用も考慮する必要があります。

また、地域の最低賃金に基づいて、人的控除の計算を変更する提案(地域最低賃金の約3.4倍)もあります。

個人所得税(PIT)の要点

PITは、ベトナムで労働に従事する居住者が、自己の課税対象所得に基づいて個人所得税を納める必要があります。

課税対象所得は、給与、賞与、ボーナス、報奨金、退職金、年金、一時所得、借入金等の所得です。

個人所得税の税率は、年間純所得額に基づいて段階的に設定されます。

税率は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%となっています。

月収40万円で35%、40万円未満で30%もの課税があります。

所得税を納めるためには、源泉徴収制度が採用されており、雇用主が給与から直接税金を差し引いて納付します。

所得税申告書を提出する必要がある場合は、3月1日から3月31日までの期間に申告書を提出する必要があります。

個人事業主は、個人所得税を納める義務があります。この場合、納税者は所得税を自己申告する必要があります。

所得税の免除は、高齢者、傷病者、身体障害者、寡婦、退役軍人、独立起業家等が対象となります。

外国人労働者の場合、課税所得は、在留期間中のベトナム国内での所得のみが課税対象となります。

参考

https://www.i-glocal.com/service/write/pdf/igl_tax_2022_02_07.pdf


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