How to DOGEZA

昨日は我が家のラスボスである母についてのnoteを書いたのだが、信じられない速度で見つかり破門になるくらい怒られたので、不本意ながら昨日の記事は削除させて頂いた。
なにをそんなに怒るかねと思っていたが、内容を振り返ると、なるほどなるほど、これは名字奪われるくらい怒られても不思議じゃないなと思った。
根本的には、芸人ならば面白かったらなに言ってもいいじゃないか、母さんそんなこと言ったって仕方ないじゃないかと、少しだけ幸楽の孝行息子の気持ちにもなったのだが、冷静に考えると芸人は僕だけであって母は芸人ではないのである。そりゃ勘弁して欲しいのも頷ける。
正直な話、こちら側の言ってもいいこと悪いことの分別のハードルは完全に撤去されている為、次からは本人に確認してからあげることにする。もしくは別アカ作ることにする。
母には今度会った時に正式に謝罪しようと思う。

心配はいらない。僕は謝罪のプロフェッショナルである。
というか、ある謝罪の形式において僕は10年の研究により一流になったと言っても過言ではない。
吉本の公式プロフィールの特技欄にも記載されているのだが、その形式というのは『土下座』である。

なにを隠そう、この芸人大特技時代に特技欄に書けるような内容が1つもなかった僕は、一時期は目隠しをして数あるキムチの中からキスだけで国産のキムチを当てるといった、血迷っていたとしか言いようがない妙技を特技と言い張っていた程に困っていた。しかも国産だけ冷蔵庫でキンキンに冷やしたものを用意していた。ただのインチキキムチ詐欺である。特技でもなんでない。辛いだけのキスなんて見てらんないよ。キス大事にしようよ。

そんなこんなで、なにか特技といえるものはないかと模索していたある日、僕はふと今までの人生を振り返る。

そういえば死ぬほど土下座したな

僕はキャバクラのバイトを10年間やっていて、その10年の間でデコ凹むくらいの土下座を繰り返してきた。
どんな人間でも10年やったら大体のことは出来るようになる。芸人として全く胸を張って言えたことではないのだが、僕もそのうちの1人で、キャバクラのバイトにおいてはなかなかのポジションに就かせて頂いていた。
最初は物を運んだりするだけだった仕事が、延長確認や会計確認、女の子のメンタルケアや飲み要員などを経て、最終的にはトラブルシューターとして『ゴタ消しの伊藤』と呼ばれるまでに至った。
そこから僕は、なにかお客さんとのトラブルが起こる度に対応する役割を担い始めることになる。
料金の揉め事や指名した女の子がなかなか席に着かないなど、こういったトラブル対応をする時のルールとしては、店長には究極の状態まで対応させないということ。
最初から店長が対応してしまうと、そこで解決しなかった場合もう後がない。なので、最初に噛ませとして僕が対応し、解決したならそれはそれでいいし、ダメなら店長が対応に来るという二段構えがトラブル対応の鉄則であった。
基本的なアルバイトの役割としては、ここで解決するというよりは、ある程度お客さんの怒りを引き出してから店長にバトンタッチというのが通例になるのだが、僕の場合はこの時点で話を終わらせることが多かった。
それが土下座による効果であり、最も話が早い方法であったのだ。
そうして、僕はことあるごとに一切の迷いなく土下座を炸裂させる日々を送ったのである。

だからといって、こんなもん特技と言っていいわけがないのだが、僕の土下座に関しての知識と経験と捉え方は、どうやら他の人のそれとは異なることに気づき、もうこれは特技と言っても差し支えないだろうと、特技欄に『いつでもどこでも土下座が出来る』と記入させて頂いた次第なのである。
これのおかげでTVに出れたことなんてのはもちろん1度もないのだが、これをTVでやらせて頂いたことは何度もある。しかも今田さんや東野さん、フットボールアワーさんや中川家さん、終いにはタモリさんの前でも土下座をさせて頂いた。これはもう、僕の芸人としての仕事の一部に、土下座が正式に組み込まれたと言っても過言ではない。

まずなぜ僕が、たかだか土下座くらいのものを特技として認識し始めたかというと、世間一般との土下座に対しての認識のずれを感じたからである。
世間一般にとっては、たかだか土下座くらいではななかったのだ。
どうやら、土下座をするという行為は日本人の間でとても恥ずかしいことだというのが世間一般の感覚であるらしい。
だかしかし、10年間もデコ無くなるくらい土下座を繰り返してきた僕は完全に心が壊れちゃっていて、もはや土下座に対して恥ずかしいだとか、情けないだとかいう感情は一切感じなくなっていた。
だって話が早いんだもん。土下座で済む場面なら早くやっちゃった方が話が早いんだもん。
この差を知った時、僕はこの土下座をするという行為が、もしや特技にも成り代わるものなのではと認識したのである。

これがどこまでの特技として認めてもらえるかはさっぱりであるし、この特技からそこまで多くのことも望めないのは百も承知なのだが、この機会に是非みなさんにも冷静に考えてみて欲しい。

土下座がなんだっていうの?

一旦こう考えてみて欲しいのである。
そもそも土下座なんていうのはただのポーズであり、例えばこのポーズの意味がわからない人にやったところで、なんだか小さく体をすぼめたぞくらいの感覚である。
これを特技と言い張っている僕が言うのもなんであるが、つまりは土下座などなんの意味もないのだ。
ただ、世の中にはこんな無意味なポーズに満足する訳のわからない人が、恐らく僕やみなさんが想像するよりも多く存在する。
だとしたら、本来は意味を成さないこんなポーズに、プライドを奪われることなど皆無だと思えてこないだろうか。
むしろ、こんなに意味のないポーズを見せるだけで、どうにも脱しにくい窮地を乗り越える可能性があるのならば、こんなに早くて楽なことはない。
我々の真の目的はその先にあるのではないだろうか。
土下座の先に、土下座を出さなかった場合よりも明るい未来が待っているのであれば、それをすることは最も効率が良く、得るものも大きいと思えてならないのである。

というわけで、ここまで読んで頂いたみなさんの中にも、もしかしたらこの土下座詐欺みたいな熱弁を信じてみてもいいのかもしれないといった人もいるかもしれないが、とは言え素人の方が土下座に関しての知識や作戦なしで発動させてしまうと、より大きな問題を発生させてしまう可能性もあるので、本日はプロの土下ザーである僕の知識や経験や独断や偏見からなる、『土下座についての3STEP』について書き記したいと思う。
きっといつかみなさんのピンチを救ってくれると信じて疑わないので、是非読んでみて欲しい。そして是非実践してみて欲しい。
もちろん一切の責任は負わないと断言する。

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