Wコロンボ

ご存知の方も多いかと思うが、現在僕は3人兄妹の1番下の妹と一緒に暮らしている。
地元は千葉で、都内からそこまで離れてるわけではないが、なにも知らない人からしたら、東京で力を合わせて一緒に暮らしている兄妹に少しだけほっこりしたりする方もいらっしゃるかもしれない。

だがしかし、僕はもう、なんなら胸を張って言える境地まで来た。
僕は明らかにひもお兄さんなのである。

まずは家賃の割合として、僕は4万円を担当していて、妹は12万円を担当している。
世間一般の兄妹の関係性を考えたら信じられないだろうが、僕は境地に立っている為、収入のバランスも考慮し、今こうして改めてこの割合が現在の黄金比率だなあと関心してしまっている。とても美しい割合であると思う。
ちなみに、なぜ僕が4万円という数字を担当しているかと言うと、自分の中で、4万円という数字が、ギリギリお兄ちゃんでいられる最後のラインだとジャッジしたからである。このラインを超えた場合、僕は妹へのタメ口を終了させることから始めなければならないと感じたのだ。

ふと家の中を見渡すことがある。すると毎回あることに気づく。事実として何度も確認したが、家の中に、自分の衣類以外で僕が用意したものは1つもないことに。
そんな事実を確認したあと、僕は妹の用意したヨギボに座り、妹の用意したTVを見て、妹が沸かした風呂に入り、妹の用意したベッドに横たわりこう思うのだ。

WI-FIも用意して欲しい、と。
願いは叶い、先日WI-FIが設置されたことをここに報告させて頂く。

もちろんこれからは一人立ちする気満々であったが、見事にこの状況。そりゃ4万円のボーダーを守るために、狂ったようにnoteも書くのである。

ただこれだけは信じて欲しいのだが、僕も最初からひも街道一直線だったわけではなかった。今はもう形から色まで全く思い出せないが、まだ兄としてのPRIDEを持ってた頃もあったのだ。

もう何年も前の話になるが、あの頃は妹が女優であることさえ隠していた。芸歴に10年近く差があるとはいえ、今からこのマラソンにのぞみにまたがり参加しても追いつけない差をつけられていた僕は、妹の名前を出すのが逆の意味で恥ずかしくて仕方なかった。ましてや一緒に暮らすなんて選択肢は全くなかったのだ。
これに関してはなかなか特殊な立ち位置であるから、同じ気持ちになれる人はやはり周りにはいなかったが、ラブリさんというモデルさんが、白濱亜嵐さんというアーティストを弟に持ち、売れるまでの間劣等感で押し潰されそうだったという話をTVで見たとき、ラブリが困ったら俺が絶対に助けてやろうと思った。ラブリが財布を落としたら寝ずに探し、ラブリがテトリスの滅多に来ない形を待っていたら、別のとこから消してこ?と言ってあげ、ラブリがもう香車しかないくらい追い込まれた時は、そっと飛車角を差し入れようと思ったのだ。
それくらいめっちゃ気持ちわかった。今考えればあんないいもんではないと気づくんだけども。

というわけで、僕は妹に対する劣等感と、兄としての小さなPRIDEから妹のことをひた隠しにしていた。
ではなぜそんな僕が、妹のことを公言し、更には一緒に住むまでに至ったのか。
それを決定づけたのは、ある2つの出来事であった。

1つはハマカーン神田さんとの出会いである。
当時、今でもレギュラーライブとして参加させて頂いている漫才ヒーローズというライブに入りたての頃、ゲストでハマカーンさんが出演してくれて、その時の神田さんからの言葉で僕は妹のことを公言することを決めたのだ。
神田さんは、もうあまりにも有名な話だが、あの神田うのさんの弟である。姉と弟と立場は違えど、僕なんかとは比べものにならないくらいの気持ちであったと思う。そんな神田さんが、僕の妹との関係性、僕の抱えているわだかまりを察しかけてくれた言葉がある。

気持ちはわかるけど、芸人なら乗っかるもん乗っかった方が面白いよ。妹の名前が先行しても、君が面白かったら問題ないんだから

神田さんはあの神田うのの弟であり、THEMANZAI チャンピオン。ひっくり返るくらいの説得力は一気に染み渡った。本当にその通りである。僕が面白かったらなんの問題もないのだ。
そこからはもうとんでもなく開き直り、今までの分取り戻すかのように公言しまくった。なんならライブ来てくれたら妹のサインあげますとかツイートしたこともあるくらいの暴れっぷりだった。僕の中で完全に弾けたのだ。兄のPRIDEの形は、その辺りからぼやけ始めた。
あの神田さんの言葉がなかったら、僕はまだ、お門違いの劣等感を抱えたままだったかもしれない。

そして、妹に感じていた劣等感が完全になくなった僕が、最終的に妹と一緒に暮らすきっかけになったもう1つの出来事。
池袋で一人暮らしをしてる時に起こった警察沙汰である。

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