テンキュウ、ABCお笑いグランプリ

こうして久方ぶりにnoteを書き始めてまず最初に思うことは、約2ヶ月とはいえど、こんなにも気が狂いそうになる作業をよくもまあほぼ毎日続けれたもんだなということ。
いろんなことを器用に満遍なくこなせる人間に、憧れることしか出来ない自分ですから、案の定、劇場再開に伴い嘘みたいに更新がストップしたことを差し引いても、やはりnoteとは夢中になれるコンテンツの1つであったのだということを思い出すばかりである。

さてさて、あの激動のnote期間から約2ヶ月あまりが経ちましたもんですから、あれからの身の回りで起きた出来事なんてのはとても1回では書ききれない程でございやす。
劇場再開、引っ越し、山梨のてててTVゴールデンなどなど。反動も反動で、緊急事態宣言を乗り越えてからというもの、あれよあれよと流れ出す貯まっていた時間に、嘘みたいに噛みまくるなどのブランクを感じながらも、ああ最高最高これこれといった幸せを噛み締める毎日でなのである。
まあまあ色々ありまして、最近ついてねえななんて思う瞬間もありはするものの、そんなもんは気合いでどうにでも出来ると信じて疑わないし、ウルトラどでかい成果への布石であると感じている。
感じているというか、そうに決まっている。というかそう連絡が来ている。むしろそう言われた。そう決定したと言われた。えっ?そうだよね?違う?あっ、ごめんごめんよかったわやっぱりそうだよね。すいませんみなさん、そうで確定みたいですわ。安心しました。

というわけで、なんにも書くことがない日なんてのを思い出すとなんて贅沢な悩みなんだろうとは思うのだが、色々と書きたいことがある中でも、今日は約1週間前のABCお笑いグランプリについて書いていこうと思う。時期も時期ですしね。

緊急事態宣言から明けて、さあやっとこさと立ち上がったものの、この歴史の教科書見開きフルカラー確定案件の影響により、我々お笑い芸人は活動の場や形式をかなり制限されることとなった。
そりゃあんた、絶対に出来ないよりは出来た方がいいし、お笑い芸人たるもの、どんな状況でも笑いに変えられるスーパーマンであるべきだとは、さすがの伊藤ちゃんも重々承知の上なのよ。いやコロナ以前にそうなれていたかどうかは今はいいじゃない。最後まで聞いておくれよ。聞いたら抱き締めてよ。
様々なこと、わかっちゃいるけど、それでも、わかっちゃいても、やっぱりどうしても歯がゆい。
無論、僕や芸人だけではない。一緒にお笑いを作るスタッフさんやお客さんもそうだったはず。
めちゃめちゃ悔しかったはずなのだみんな。
だからこそ、そもそも開催出来るかどうかさえ危ぶまれた中で、ABCお笑いグランプリを開催し、更にはネタ中のソーシャルディスタンスの撤廃、この4分だけは、全身全霊のネタをやってもいいと判断してくれたABC関係者の方々に、まずは心から感謝したい。
本当にありがとうございました。最高の大会でした。

ただ強いて言うなら。可能な限り強いさせて頂けるなら。
まじで優勝したかった。

本番数日前、自分達がAグループからスタートすることを知り、最初に目に入ったのは同グループにいた1組だった。

からし蓮根か

もちろん、同じく同グループにいた世間知らズ、チェリー大作戦のことも強敵であるとは思っていた。
2組共ハマったらどこまでもハマるだろうし、世間知らズは東京でずっと一緒にやってきたし、西田はお菓子くれるし、椎木はやっぱりずっとキモいなと思ってたし。チェリー大作戦に関しても、宗安は共通の友人がいるし、キテレツは、なるほどなるほどキモいじゃんキモいじゃんと思ってたし。
なんせそもそも全員面白いのは周知の事実であったが、それでもやはり、僕の中ではからし蓮根には特別な思いがあった。

もはやコロナにより、世間や吉本からも記憶を抹消されている可能性があるが、執念で勝ち取った昨年のM-1グランプリに我々オズワルドもファイナリストとして出場していた。
M-1を皮切りに芸能界へのスタートダッシュを決めれると信じていたが、ギアがPのまま固められたマシンに乗り込み、やっとこさ動いたと思ったらRのままコロナにバックで突っ込んだ感覚を受ける現在。この遅れに関しては必ず取り戻すとして、からし蓮根とはこの命をかけた大会で戦った仲なのである。
全員優勝だけを狙いに来ている中で、それ以外の順位に対して興味がある変態の方が少ないと思うが、僕は紛れもなく変態の部類に入る。
明確に覚えている。なぜならば勝負事で負けるのが大嫌いなのだから。
からし蓮根は、1点差で僕らより上の順位だった。
繰り返すが優勝争いの1点差ではない。
6位と7位の1点差である。
ここの順位によって今後の人生が変わるなんてことは、もしかしたら皆無であるのかもしれない。
が、僕は目の前の背中が憎たらしくて仕方なかった。
まずはここを越えないと、5位も4位も、3位も2位も優勝も見えてこない。
必ずやっつけると誓っていた。

決勝当日。
我々の出番はからし蓮根の直後だった。

めっっっちゃ緊張してまじそういう問題じゃなかった。

正直世間知らズもチェリー大作戦も全く頭に入ってこなかった。チンコ出してても気づかなかったと思う。
というかなんかもう畠中も顔真っ白だった。
彼の瞳に映る僕も、顔がへその高さと同じくらい猫背だった。
からし蓮根のネタが始まってから終わるまでも、膀胱爆発するくらい水飲む時間に費やしてしまった。
誰がウケてんのかなんてさっぱりだった。

それから僕らのネタが始まり、畠中が冒頭でなんだかネチョネチョ噛んで、審査タイムに突入し、噛んでないと言い張るだけの時間を過ごした後、最初に思ったことは『恥ずかしい』であった。
普段滅多に緊張することがないだけに、こんなにも慌てふためいた自分が恥ずかしくてたまらなかった。
ちなみに大会終了後に知ったのだが、この世でニューヨーク屋敷さんと金属バット友保さんのみが楽しみにしていたらしい、M-1グランプリで歴史的滑りを見せた『細稲垣』は、まずABCには稲垣選手がいないという点、また、背骨抜けるくらい滑ったくだりを別の大会で被せるのは畜生の仕業だという2点において、堂々と胸を張って自粛させて頂いた。
一応、審査員の方々の顔ぶれを見て、りんご師匠がいらっしゃったことから、当日の朝に『髭桃子』というものを思いついたのだが、一体全体これよりもハイリスクノーリターンなことがあるかと目が覚め、当然の如く卵ごと埋めさせて頂いた。

審査が終了し、我々はどうにか命からがら最終決戦を迎えたわけだが、からし蓮根をやっつけたという実感はまだわかなかった。
同じお笑いといえど、そこは全くの別の大会。
M-1でやられた傷はM-1で返せということなのだろう。覚えてろよ。倍返しだ。いやべい返しだ。

そこからは不思議と落ち着いていた。
こんなにもかと思うほどに普段の自分を取り戻していた。
その上で、限りなく冷静な観点から、Bグループからコウテイが上がった瞬間に、シンプルに嫌な予感しかしなかった。
コウテイと、Cブロックからはビスケットブラザーズさんが上がって来るのが1番嫌だった。
各々あるだろうが、我々にとっての組み合わせの悪さを考えるとぶっちぎりでこの2組がやっかいだと思った。
またもや余談だが、この日を境にビスブラ原田さんと親友になったので、この人についてもいずれ書かせて頂きます。

と、思っていたのだが、同じ東京勢のフタリシズカがとんでもなくキモろい(キモ面白い)ネタでCブロックを勝ち上がる。結局全員面白いわけだから、予想なんて出来たもんじゃないよ賞レースは。最高ですよ本当。

そして最終決戦。
いや全員そうなんだけども。
優勝する気満々だった。
出順だのなんだのは全く関係ない。
優勝するやつは結局優勝するもんである。

選んだのは1回目の単独の時に出来た想像妊娠のネタ。このネタが大好きで、いつか大きな舞台で絶対にやりたいと思っていた。全く迷わなかった。

ネタを終えたあとも、やっと出せた喜びと共に優勝出来ると確信していた。
コウテイのネタが始まり、先に終えた我々は袖でその様子を見ていた。
その時に嫌な予感は的中。
現場のウケ方は間違いなくその日1番であった。

柔は剛を制す

この言葉考えた奴殺すと思った。
いや柔が剛にタコ殴りにされたんですけど。
TVで見ていた方がどのような見え方をしていたかはわからないが、実際の現場にいた温度から、あれだけの爆発起こされたら天晴れ以外の言葉は出なかった。
負けてるとは思わなかった。ただ、あの日あの瞬間に限り、こいつらの方が優勝が似合うなあと思ってしまった。情けないが完敗である。
おめでとうコウテイ。

優勝の発表が終わり番組自体も終了してから、恐ろしくダサく、目も当てられない程哀れであったと思うが、悔しくて気が狂いそうになり発狂してしまった。
とにもかくにも、ABCお笑いグランプリ最高でした。

賞レースに出る度に、予選で負けたり決勝で負けたり、最終決戦で負けたり。
着実に進歩はしていると信じているが、その時の悔しさはそれらを簡単に凌駕してくる。
つまるところすべてを解決するのは優勝のみ。
次だ次。
今回の完敗も、全てM-1の肥やしとなれ。

最後に、我々お笑い芸人ですから、めちゃめちゃTV出たいです。
優勝のコウテイは当然TVの仕事も増えただろう。
3位のフタリシズカもアベマなどで露出が増える予定だという。

TV関係者のみなさま。

いや2位わい!

一旦やめさせて頂きます。

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