新型肺炎

【SARS比較】新型肺炎4月ピーク、感染者数10万人以上、死亡者数2000人以上の見通し。 病気脅威はSARS以下、ビジネス影響はSARS6倍以上。

新型肺炎の影響で旧正月が延長され、中国武漢含む湖北省の交通規制はじめとして、各省が対策を練っています。また米国をはじめ各国も中国との移動を制限し始めました。

今回は高校数学を使って、新型肺炎とSARSを比較することで、新型肺炎の影響範囲を整理していきたいと思っています。

--------------
①感染者数規模:SARS比較
②感染拡大スピード:SARS比較
③死亡者数規模:SARS比較
④ビジネス影響:SARS比較
--------------

①感染者数規模:SARS比較

・「中国湖北省」「中国湖北省以外」「その他国と地域」の全てにおいて、感染者数は増加
・SARS同時期比較で、約10倍の感染者数規模

2020年2月2日報道時点で、全世界で約14600名(中国湖北省9074名、中国湖北省以外5306名、その他の国と地域約220名)と、全ての地域、特に中国湖北省で増加し続けています。グラフを見る限りまだまだ感染者数は増えていきそうです。

新型肺炎 感染者数累積

では新型肺炎の規模をSARSと比較してみましょう。第2期(初回WHO報道初回から10日後)の同時期で比較すると、SARSは1408名(2003年3月27日時点)に対して、新型肺炎は約14600名(2020年2月2日時点)と約10倍の規模の違いがあります。

SARS新型肺炎 感染者数累積

※WHOに報告された国(地域)別患者数、死亡者数推移(1期を10日間とし、WHO初回報告をベースに第N期を設定) https://jomf.or.jp/osirase/sars_chart.html

また、SARSは感染者57%が中国大陸で、残り43%が中国大陸以外まで拡大した一方で、新型肺炎は世界の感染者62%が中国湖北省(武漢含む)、99%が中国大陸となっています。

今後も武漢の封鎖や、各省・各国の対応により、全世界へ拡大しないことを祈るばかりです。

②感染拡大スピード:SARS比較

・感染拡大スピードは、「中国湖北省」では増加しているが、「中国湖北省以外」では増加がストップしている
・新型肺炎の感染者は4月ピーク、最終10万人以上の見通し

新型肺炎の特に恐ろしいのは、2020年2月2日報道時点で毎日の感染者増加数が増加している点です。拡大スピードが停滞するどころか、拡大スピードが増している、といえます。ただし、中国湖北省は引き続き増加している一方で、中国湖北省以外は増加数が減少に転じており、拡大スピードが停滞しているという点は良い点だと思います。(今後SARSのように再度増加する可能性有り)

新型肺炎 感染者増加数

では、新型肺炎のピークはいつ頃になるのか、高校数学を使って試算してみましょう。

まず、下記の表でSARSの例を見ると、10日間を1期とした時に毎期の「SARS②感染者増加数」は徐々に増加し、第5期をピークにして徐々に減少していくと分かります。

SARS新型肺炎 感染拡大率表

この「SARS②感染者増加数」の拡大率(前期比)を「SARS③感染拡大率」と設定し、新型肺炎がSARSと同様のスピードで抑え込むことができた(「感染拡大率」がSARSと新型肺炎でがほぼ同じ)として「新型肺炎⑥感染拡大率」を試算(「SARS③感染拡大率」同時期三期平均)します。すると、「感染拡大率」は下記のグラフのようになります。

SARS新型肺炎 感染拡大率

この「新型肺炎⑥感染拡大率」から逆算して「新型肺炎⑤感染者数増加数」と「新型肺炎④感染者数累積」を試算します。すると、「感染者数累積」は下記のグラフのようになります。

SARS新型肺炎 感染者数累積

※スケールが違うため2軸で表示(左軸:SARS、右軸:新型肺炎)

この試算によると、「新型肺炎④感染者数累積」は第5期(50日、約2か月)後の4月をピークにして、10万人を越える(約13万人)程度まで拡大すると見立てられます。

もちろんSARSの時と異なり、武漢の封鎖や専門病院設立はじめ、各省や各国が早期対策を講じておりますので、結果としてここまで拡大しないことを望むばかりです。

③死亡者数規模:SARS比較

・毎日死亡者数は増加
・SARS同時期比較で約6倍の死亡者数規模、最終2000人以上の見通し

2020年2月2日報道時点で、全世界で304名(中国湖北省293名、中国湖北省以外11名、その他の国と地域0名)。グラフを見る限り、中国湖北省ではまだまだ感染者数は増えていきそうです。

新型肺炎 死亡者数累積

また、第2期(初回WHO報道初回から10日後)で比較すると、SARSは53名(2003年3月27日時点)、新型肺炎は304名(2020年2月2日時点)と約6倍の規模の違いがあります。

SARS新型肺炎 死亡者数累積

上記「②感染拡大スピード:SARS比較」で見立てた感染者数累積(約13万人)に対して、2020年2月2日時点での死亡率(約2.1%)を掛け合わせて、死亡者数は2000万人以上(約2800人)に達すると見立てられます。

この死亡率はSARS約9%とインフルエンザ約0.01%と比較するとちょうど間くらいになります。

死亡率表

※2020年2月2日報道時点

すなわち
・中国以外の国と地域の感染者は、全体の0.2%程度のシェア
・中国湖北省以外の死亡率は0.2%程度
を考慮すると病気脅威の観点で、全世界に与える影響はインフルエンザ以上だが、SARSほどではない、と言えると思います。

しかしながら既に300人以上がなくなっていることも事実で、我々はどのように個人として身を守ればいいのか。私も中国在住のため詳しく調べましたが、できることは限られているようです。外出時のマスク、日々の手洗い、うがいといった基本的なインフルエンザ、風邪予防を徹底することで感染を未然に防いでいきましょう。

④ビジネス影響:SARS比較

・封鎖・移動規制によるビジネス影響は大きくなりそう
・特に、インバウンドビジネス影響はSARSの約6倍以上

上記の通り、病気脅威の観点でSARSほどでもないからビジネス上問題ないかというと、そうではありません。感染拡大を防ぐために、武漢封鎖や、その他各省や各国の移動規制の結果、ビジネスへの影響は無視できない程度に大きくなりそうです。

特にインバウンド市場において、SARSが流行した2003年当時の訪日外国人は約521万人、2019年の訪日外国人は3188万人と約6倍に拡大しているため、損失額も相応に増加すると考えられます。

今回は以上です。反響が良ければ、ビジネス影響も少し詳しく試算してみようと思います!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?