代表的日本人/内村鑑三(鈴木範久訳)/1908/★★★★★

新渡戸稲造の「武士道」、岡倉天心の「茶の本」に並ぶ、日本人が英語で日本の文化・思想を西洋社会に紹介した代表的な作品。内村氏が、諸外国との戦争、欧米文化の到来を肌で感じながら、日本人としてどう生きるかに迫った本。各時代でピックアップされた日本の様々なリーダーの方々は、各々に深みがあり、味があります。正解を探すというよりは、自分自身のリーダーシップの在り方と近いもの、遠いものはなにか、考えながら読むことをお勧めします。

▼おすすめのヒト
・リーダーを志す方

▼印象的なコト
・西郷なくして革命が可能であったかとなると疑問であります。木戸や三条を欠いたとしても、革命は、それほど上首尾ではないにせよ、たぶん実現をみたでありましょう。
・正道を歩み、正義のためなら国家のために倒れる精神がなければ、外国と満足できる交際は期待できない。
・西郷には純粋な意志力との関係が深く、道徳的な偉大さがあります。
・鷹山の「能力に応じた人の配置」という民主的な考えは、封建制時の世襲的な政治に反するものですが、鷹山はあらゆる手段をつくして人材を登用しようとしました。
・ゆえに賢者は木を考えて実をえる。小人は身を考えて実をえない。
・道徳力を経済改革の要素として重視する
・流刑が日蓮に与えたものは、肉体に対する心の、力に対する霊の勝利であったのです。
・母国語で書かれたものでなければ、だれによろうと立派な文学作品はつくられない
・日清戦争の終結ころから、内村はその戦争がまったく期待を裏切り「義戦」ではなかったことを知り、本書をはじめとしておおいに世に「義戦」を訴えたことを激しく恥じた。

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