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白石沢スラブ 〜奥只見・南会津の秘境を訪ねて〜

奥只見湖、延いては只見川の源流にあたる尾瀬ヶ原に至るまで、新潟県魚沼市と福島県南会津郡檜枝岐村の県境となっている。

この県境エリア一帯は酷道352号線が並行し、尾瀬御池~銀山平までの区間は約50kmある。その間、店も民家もほとんど見当たらず、ひたすら自然林が続く事から樹海ラインと呼ばれている。

この事からも分かる通り、国内屈指の秘境エリアとして知られ、水資源の豊富な只見川から幾重にも伸びる支流は、釣り人や沢ヤの遊び場となっている。

数ある沢が開拓され尽くした今、ここ数年で知名度を急上昇させている場所があるという。

それが今回向かった白石沢スラブ(雪食地形)

ネット上に初めて登場したのは2013年の童人 トマの風の記事だと言われる。

これ以降、マニアックな山屋が少しずつ訪れ、南沢ルートを頼りに行く事になるが、奥只見湖畔の民宿六方でボートのチャーターができるという事が広まり、アプローチが簡単になり人気が急上昇した。

その人気を決定的にしたのが、ポムチムの紅葉時期にドローンで撮影した迫力の映像だったと思う。

凄い迫力。日本にこんなところがあったのか。
たぶん、山が好きな人なら誰もがそう思うだろう。行きたい。

ボートのチャーター代は往復24,000円
定員は4名まで

人を集めて、日にちを合わせたのが2023年の10月30日。

天気予報はあいにくの曇りのち雨。
晴れを待っていたら今年は間に合わない。

雨天決行!!

民宿六方に7:30のボートを依頼。
到着した際にはすでに雨がしとしと降りガスが掛かった奥只見湖。

六方さんには日本一83cmの巨大岩魚の剥製がある。
奥只見ダムが出来て十数年は、樹木の栄養分が水に溶け出し、魚が極端に巨大化したらしい。

いよいよボートに乗り込み白石沢へ向かう。
曇っているが、紅葉がちょうど見頃で綺麗。

白石沢から歩き出しは平坦。
名前の通り白い石で水の透明度が半端ない

途中高巻きする箇所もあるが、踏み跡がしっかりある。
薮もそこまで濃くはない

徐々に白い岩肌が見えてきた
順調に進む

大きな岩を超えて

後ろを振り返ると見事な紅葉
沢の難易度は低く、沢登りを全くやらない人でも楽しくアドベンチャー気分を味わえる。

何度か高巻きして進むといよいよスラブがはっきり見えてくる

最初の取り付きは少し急
雨で濡れているとき靴によっては滑るかも

少し登って来た道を振り返る
この時点で凄すぎる。紅葉と白い岩のコントラストが綺麗

上の方はまだまだ広大なスラブが
凄い凄いしか言葉が出てこない

少し上がった平らなところで一休み
見ていて飽きない広大な景色

上に向かって歩き出すとガスが濃くなってきた
下に広がる紅葉をぼんやり眺めながら進む

最後は少し急なので慎重に上がる

尾根に出ると晴れていれば反対側に奥只見湖が見える
今回は残念ながらガスの中

ゆるやかなところを選んで下るとガスが抜けて景色が広がった
持ち寄った食材で焼肉して、下山の準備へ

安全なルートを探して斜めにトラバースしながら来た道へ戻る

沢筋に沿って進み、降りられないところは高巻きし、藪を掻き分け高度を下げていく

あっという間にスラブは遥か後方に
六方さんにお願いした1時より30分早い12時半に下山。
身体を冷やさないよう着替えを済ませ、舟を待つ

おわりに
今回向かった白石沢スラブ。最初にどこで知ったか忘れたが、会津駒ヶ岳から見える白い影はなんだろうと話題に上がった。
その中から行きたい人を募って行った訳だが、すごいすごいと皆が口を揃えて、逆にそれしか言えないほど凄い場所だった。

白石沢スラブはここ2、3年で紅葉時期の週末になると予約で埋まるほどの人気となり、遊歩道の整備なんて話も持ち上がっているらしい。

知られざる秘境が明かされ始めた今、この先どうなっていくのか、立場や人によって意見は様々だが、行く末を見守りたい。

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