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Softube Console 1 mk2 レビュー

Softube Console 1 mk2のレビューです。今回は付属のSSL 4000Eを使用してのレビューになります。

Console 1は、フィジカルコントローラで専用プラグインを操作できる、ハードとソフトの良い点(アナログの直感的な操作性、デジタルのリコール性)を融合させた製品です。
製品自体はずっと前から知っていたのですが、このたびセールで安くなっていたので購入してみました。正直なところ、ミキシング時にマウスからわざわざ手を離して、ハードウェアに手を伸ばすかな?という懸念がありましたが、いまのところ全く違和感なく使用することができます。これ中心のミックスも2、3曲やってみましたが、プラグイン自体の質が高いこともあり、自然と使用できている気がします。

ミキシングの流れがある程度決まっている方に強くお勧めします。逆に、ミキシングで迷いやすい方、流れが確立していない初心者の方には向きません。これを使用することでミキシングが上達するといったこともあまり期待できないと思います。音は素晴らしいのですが、あくまで効率を上げるためのツールです。

Console 1はフィルター、ゲート・トランジェント、EQ、コンプ、ドライブのセクションに分かれています。どれも完成度が非常に高く、このプラグインだけでかなり色々なことができます。

・フィルター
EQと独立しているのが便利です。アナログっぽい緩めなかかり方です。カットの緩さは変更できない仕様です。

・ゲートとトランジェント
ゲートは今のところあまり使用していませんが、リリースの長さを設定できるのでカットアップのようなパキパキしたサウンドも作れます。
トランジェントが常駐しているのは素晴らしいです。ドラムのアタックを抑える時など、コンプで叩くよりトランジェントを使って抑えたほうが早い上に自然だったりします。コンプやディエッサーでどうにもならなかった問題が、トランジェントで一発で解決したということがよくあるので、いつでもトランジェントが使えるというのは心強いです。ベースなどの存在感を調整することもできます。

・EQ
アナログらしく、広めにかかるEQです。自然にかかりますがピンポイントの補正は苦手。そういうものと割り切りましょう。シェルフは気持ちよくかかるのでつい多めに回してみたくなります。ローミッド、ハイミッドはデフォルト位置がよく使う2ポイントなのがさりげなく嬉しいです。慣れるとかなり早く音作りできます。楽しいです。
実はけっこう回したつもりでもディスプレイで見るとそんなに上がってなかったりするので、感覚的にEQを使ってみたいという方は一度ためしてみるといいかもしれません。普段いかに画面の情報でミックスしていたのかを知らされることになります……
その他、普段あまり上げていなかった部分を上げたら意外とよかった、といった発見があります。

・コンプ
モデリングなのでアタックやリリースタイムは最速でもやや遅めですが、不自由は感じません。リダクションされた音量を戻すゲインのノブがありませんが、スレッショルドを回すとオートメイクアップされるので、音の質感の変化のみに集中できます。
コンプセクション上部のメーターでリダクション量がリアルタイムに表示されます。アナログ機材のようにメーターが動くので驚きました。
質感はファットな感じでドラムバスコンプなどとも相性がいいです。極端な値にしてもあまり破綻しません。使いやすいです。

・ドライブ
サチュレーションです。12時の位置くらいまでは緩くかかり、それよりも右に回すと強くかかり始める印象です(かかり方はノンリニアな増加に感じます)。Characterのノブで張り出すポイントを上下させられます。これはEQのように使用することもできるので、太く存在感を出したいサウンドはまずDriveセクションから触り始めてもいいかもしれません。
音がかなり大きくなるセクションなので、右下のVolumeツマミを併用したいところです。

・その他
DAWとの連携、連動するパラメータを確認しておいたほうがいいです。
僕はCubaseを使用しているのですが、トラック番号の連動と、トラックコントロールの連動(Console1のPanとVolumeがDAWのミキサーのPan・Volumeに連動する設定)を解除しました。この辺りは好みがあると思いますので、自分に合った設定にすることをおすすめします。

Cubaseの場合は現在使用しているトラックの設定に自動的に切り替わるので、上部にたくさん並んだトラックセレクトボタンはあまり使用していません。Displayボタンを押せばいつでも現在立ち上がっているトラックがどれなのか見ることができるので、間違ったトラックの設定を変えてしまう心配はありません。


ここからは良い点だけでなく気になった点も書いていきます。

・アンドゥ・リドゥやA/B比較できない
一瞬で設定を元に戻すことができないので、前後の比較がしにくいことがあります。アンドゥがあれば、後述するEQのバンドごとのオンオフも解決すると思うのですが……

・バイパスが若干面倒
Console1を一時的にバイパスするためにはシフトボタン+フェーズ反転ボタンです。バイパスは非常によく行う動作なので、1つのボタンでできるようにしてほしかったですね。

・EQのバンド数、バンドごとのオンオフ
4バンド(うちQ幅が変更できるのは中央の2つのみ)だと若干物足りないことがあります。EQすべてをバイパスするボタンはありますが、特定のバンドのみを一時的に無効にする動作はありません。そのためゲインの位置をゼロに戻さなくてはいけません。シフトボタン+ツマミを回す、といった動作でオンオフできてもいいのではないでしょうか。

・マルチティンバー音源で使用したときの操作感
複数チャンネルのMIDIを受けることができ、複数のアウトプットを持っている音源では、現在選択されているトラックと、音が出力されるトラックの番号が異なる状態になります。このような場合、Console1はどこから出力されているのかを自動的に見つけてくれません。
たとえばDAW上でトラック番号1のMIDIトラックによって、トラック番号2の出力チャンネルから音が出ている場合、トラック番号1のトラックを選択してもConsole1は出力されているトラック2を自動的に見つけてはくれません。僕はこの動作に違和感があったので、トラック番号の連動を解除し使用しています。トラック番号連動を解除すれば、Console1のトラック選択番号は起動した順番に並んでいくので、比較的トラック番号を見失わずに済みます。

なんか最後に不満点を書いてしまいましたが、かなり気に入っています!
ツマミの質感と見た目があまり好きじゃなかったので、SSL風に改造しました。
回しやすくなったので、みなさんもツマミ交換にチャレンジしてみてください!

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