山神カルタが歌ってくれたから


別の人の彼女になったよ coverd by 山神カルタ 感想


まずは聴いてもろて。
にじさんじ所属Vライバー、見習い烏天狗の山神カルタさんが投稿した歌ってみた動画の感想やら、どうでもいい個人的な思いやら何やら。

①さっくり感想


 
 ガラスの瓶、まだ明るい空とたくさんの星、雲海、首に手を添えて物憂げな表情の山神、手書き(風フォント?)で浮かび上がってくる、印象的な歌詞。
聴き手にまっすぐに感情を運んでくるような、透明感がありながらも力強い歌声。
めっちゃすき。


②ごく個人的なこの曲へのネガティブな思い



 この曲を初めて知ったのは、にじさんじのVライバーの歌枠でした。誰の配信だったかは覚えていません。
『別の人の彼女になったよ』
この曲名を初めて見たとき、歌い出しの詞の言葉を聴いたとき、心底気持ち悪いと思ったのを覚えています。眩暈がするほどでした。


 いわゆる「元彼」に自分が新しい恋を見つけたことをわざわざ報告するように語り掛ける奴は一体どこの誰で、それは一体どういう感情で、どういう意味でその言葉を発するのかということを否応なしに考えさせられるようでした。


 とはいえ初めて聴く曲だったので、歌を聴きながら歌詞を確認しました。
最後とか、もう最高に酷いと思いました。
あなたも早くなってね 別の人の彼氏に 私が電話をしちゃう前に
?????????????????????
歌を聴きながら激しく頭を掻きむしる程でした。


 歌詞で語られている「元彼」は活動的で、感動屋で、口下手で、化粧をせずに自然体で接することが出来て、目の前で相手の愚痴を言えるような親密さがあって、語られている限りは付き合っていても決して悪い人ではないだろうという印象を受けました。
二人がどういった理由で別れてしまったのかは語られていませんが「自分」は終始未練タラタラであり、あわよくば拠りを戻そうとしていて、ほんとコイツなんやねん…って感じでとても嫌でした。
今まで生きてきて、こんなに嫌な気持ちにさせられた曲に出会ったのは初めてでした。


 この曲との初邂逅からその後、何度かVライバーの歌配信で歌われているのに出くわしました。正直やめてくれって感じでした。
ですが、その度に歌詞の意味を咀嚼して自分なりに考えたのは、社会的な地位の変化なのか年齢を重ねた結果なのか「自分」の価値観が変わった後、若しくは自ら変えようとしている最中の心情を描いているようだ、ということでした。


 将来についてしっかり現実を見つめる必要がある大人同士の恋愛と、漠然と夢や希望を語るような子供同士の恋愛とが全く違うことを一度は悟ったけれど、何も考えることはなく全てが心地良かった頃に戻りたくなったり、後戻りできるはずもないのに願い続けてしまう徒労や、それが無駄だとわかっていても思うことをやめられない愚かさを描写しているのかなと、自分の中に落としどころを見つけて納得することにしました。


③山神カルタの歌唱を聴いて


 今回の歌ってみた動画を視聴して、山神にごめんねって言われたらそれはもうごめんねじゃん許すしかないじゃん…って思いました。
同時に、「山神カルタ」というフィルターを通して聴くことで今まで自分の中で全く理解できなかった曲がポジティブに受け止められて、自分の中のもやもやとした気持ちがすっと晴れていくような感覚がありました。
自分にとってネガティブな感情を呼び起こす曲であったはずなのに、きらきらと輝いて聴こえました。


 過度なアレンジやリミックスが無ければ、誰が歌ったかとか誰が演奏しているかとかそういうことで、メロディーそれ自体が持つ音の響きやハーモニーの気持ちよさ、歌詞のコンテクストの本質は変わらないと思います。
ただ、創作物や芸術を享受する側の人間は、その時その場の精神状態、今までの人生で培ってきた価値観、作った誰かに対する印象など、様々な個人的な要素に左右されながら、自分の中に自分が最も気持ちよくなる解釈を生み出すんだなと思いました。


 今回は、普段の活動・配信で山神カルタの個性や性格・パーソナリティをある程度知っていたからこそ、いつも沢山楽しませて貰っていて好意的な印象があったからこそ、嫌いだった曲をポジティブに受け止めることが出来たんだと思います。


話は変わりますが、この後にメリッサ・キンレンカの解釈を聴いて(以下動画)

また、シスター・クレアの曲の解釈を見て、

元々の自分の解釈はとても狭量で捻くれているものだったんだな、と再認識したのはまた別の話。


 そういったことをあれこれ考えていると、自分は山神カルタに対してどういった印象をもっているのか、どういった存在として彼女を認識しているのか、ということを見直したくなったので以下に駄文が続きます。


④山神カルタの印象


 山神カルタの感情表現の方法とそこから発せられる言葉は実に多彩で、どんな配信でもその都度新鮮な驚きがあると思っています。
具体的に明言はしませんが、配信中に突如束縛や嫉妬といった独特な愛の形を示すムーブを繰り出したり、普段は内に秘めている強い思いがきっかけを得て膨れ上がる瞬間があったりなど、感情の閾値を超えた瞬間に想いが爆発するイメージがあります。


 ギャルゲーの実況配信では、キャラクターの行動の描写から感情の機微を察する場面があったり、物語の展開とキャラクターの心理描写をまっすぐ受け止めて、声が震えてしまうほど深く没入して感極まる場面もありました。
他人の行動の意味・意図を理解しようと努めることが出来て、相手の気持ちに寄り添って共感できる優しさがあると思いました。


 バンドのライブ映像の同時視聴配信では目の前の音楽とステージの映像に向き合いながら感想をリスナーと共有しようとする場面がありました。
言葉の選択や扱いに苦悶しながらも、自身に生まれた感情を言葉に変換してアウトプットを試みていることがよくわかる瞬間でした。


 山神カルタは、リスナーからしばしば重い女と評されます。
重い女ってどういうことだろうとか、そこから読み取れる山神カルタの強みや個性は何だろうって考えると、それは嘘のない素直な感情表現なのかなと思いました。
他人との会話もおぼつかない感情表現苦手マンからすると剥き出しの感情を露にすることができる所はとても魅力的に見えていて、いつもすごいなぁと思っています(語彙貧弱)


⑤セクシーサンキュー



 ネガティブな感情を抱いていた曲を聴いて、一転してポジティブな感情が溢れてくるような経験なんて中々あるものではなく、今までの自分の価値観をまるっと反転させられるような経験で、自分にとって貴重なものでした。
日々の修行や配信準備などで多忙の中、また一つ素晴らしい作品を生み出して聴かせてくれたことに感謝しています。セクシーサンキュー。
今回のことで、山神カルタに対して、そして彼女の歌う歌について強い思い入れがあると改めて自覚しました。
次回以降の歌ってみた動画も楽しみです。
山神カルタのこれからの活動に期待するのも、悪くないだろう…!


𝑩𝒊𝒈 𝑳𝒐𝒗𝒆____


あと、最強にかわいい山神カルタの幸福安心委員会を全人類聴いて。


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