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恥ずかしい記憶

割かし 後悔のない人生を
送っているほうだと思うけど

それでも ひとつだけ たった一度だけ
後悔していることがある

致し方なかったと言えば
言い訳がましいことだけど

あの日は 不覚にも 涙が止まらず

あろうことか いい歳をして
二人の息子達の前で
醜態をさらしてしまった

あなたは 記憶がなくなるほどに
泣いたことがありますか?
声を上げ まるで子供のように

12年前だった
今よりもはるかに
毎日の生活のペースが早かった

当時 中学生の子供達を抱え
それなりに忙しい会社に勤め
食べ盛りの男子の朝夕の食事から
土日の部活の遠征の支度
はたまた 道場と塾の送り迎え
残業が続く日々と
おぼつかない給料を補うための
休日のアルバイトまで

今の私には 絶対に無理だと思うけど
何故か当時は 頑張れた
例えば クタクタになって
家路に着いても
そこには 美味しそうに
ご飯を食べてくれる 息子達が
夢中で 一日の出来事を話す
息子達がいた
笑顔があふれる日々があった

そのむかし
私達家族は
私の中学校入学を待って
祖父母の家に引っ越してきた
当時 おばあちゃん子だった私には
とても 嬉しいことだった

大好きな祖母と
いつでも一緒にいられる

好き過ぎるあまり
いつも眠る前に
おばあちゃんが
いなくなってしまう日を想像しては
眠れなくなるほどだった


私が40歳になった歳だった
その日も残業を終えて 着替えようと
更衣室のロッカーを開ける
携帯を見ると
珍しく叔母の家から着信があった
私の番号を知っているはずはないし
と 思い すぐにかけ直すと
それは 重く悲しい知らせだった

叔母は
たった今 祖母が 息を引き取った
と言った

晩年は痴呆症になってしまった祖母を
父と母が介護する日々だった
2週間前に 実家に行った時は
家の中で転んでしまって 骨を折り
ベットに横たわっていた祖母
その日も私は
祖母の寝顔を見てから 家路に着いた

その日のうちに
息子達を連れて 実家に向かうと
仏間に横たわり
顔を白い布で 覆られた祖母がいた
そっと それを外してみると
まるで眠っているような
死んだなんて
信じられないような感じがした
きっと生きているに決まってる
ちょっとボケちゃってるけど
きっと今に起き出して
私に向かって 微笑む...きっと...
いつまでも その場で
祖母を見ていたい私だった

セレモニーホールにて
葬儀の日の朝に
祖母と最期のお別れをした
棺に入っている祖母の周りに
親戚全員で それぞれが 花を手向ける
私も 静かに眠っているような祖母の
肩の辺りに 静かに花を置いた

皆が手を合わせ 祈り
いよいよ 棺に蓋をする直前になり
私は急に喉元から悲しみが込み上げ
低く声を出してしまった
涙は 後から後から押し寄せてくる
身体中の水分が
出尽くしてしまうくらいで
自分の身体なのに
どうすることも出来ない感じに
襲われた

すぐに息子達が 私の異変に気づき
肩を両方から しっかりと支えてくれた
2本の足で立っていることすら分からなくなっているそんな状態だった

その辺りからの記憶がない
火葬場には行った感じだったけど
どうやってたどり着いたのか
まるで 分からない
とにかく 無事に葬儀をあげることは
できたようだった

何日が後に
息子達に 恐る恐る聞いた話では
ずっと泣き続け 妹に叱られていた...
らしい(笑)

恥ずかしいと言うより
心配だったと言われた...スマン(笑)

今は もう 多分
あのようなことは 二度とないだろう
いや😫もう 二度としないと
心に誓っています

noteに書いて置けば 大丈夫かな...(笑)

また 今年も お盆の8月が
やって来ました
大好きな人を思い出すお休みです😊

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