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次の夢の舞台の話

はじめに

2023年2月11日(土)、2月12日(日)、東京ドームにて「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」が開催された。私も両日とも現地にて鑑賞することが叶い、夢のような時間を過ごした。湧き上がる歓声。乱れ舞うペンライトの光の海。降り続く雨の如く鳴りやまない拍手。46,755平方メートルのおもちゃ箱の中身はまさに夢の世界だった。予想は裏切り期待に応える。始まって2ヶ月にして既に2023年最高のイベントの座に君臨してしまったのではないかと予感させる、そんなイベントだった。

この夢のような時間を過ごした身として、溢れる感情を怪文書にして吐き出さなければもう現世に戻ることができないと思い。1年以上埃を被っていたnoteのページを開くことにした。埃が堆積し過ぎてログインパスワードを問い合わせるのも無理のないことだった。さて、ようやく開いたこのnoteに何を書き記そうかと考えた。ネットの海には素敵なイラストに彩られたイベントレポや、旅行記もセットで楽しめるブログ記事や、海千山千の怪文書製造機の皆さんが生み出した怪作傑作が溢れている。この中に自分如き矮小な存在の駄文を紛れ込ませる意味なんてあるのだろうかと。

無理だ、やめよう。そう思ってnoteを閉じそうになった弱い心を奮い立たせた。今回の夢の時間を振り返る記事がネットの海に溢れているのなら、興奮冷めやらぬうちに既に次の夢の舞台を思い描く怪文書が一つくらいあってもいいのではないか。叶った夢もあればまだ見ぬ夢もある。最高の時間には続きがある。最高は塗り替えるものだと相場が決まっている。最高の景色が未だ色濃く瞼に焼き付いている今だからこそ、心が文京区に不法滞在したまま一向に帰ってこない今だからこそ書ける怪文書がある。もう迷わない。まだ見ぬ次の夢の舞台がどんな景色になっているのか、感想と予想と妄想を撚り合わせた糸を紡いでいきたいと思う。

5W1Hの純情な妄想

皆さんは「5W1H」という言葉をご存じだろうか?When(いつ) Where(どこで) Who(誰が) What(何を) Why(なぜ)How(どのように)の頭文字をとった言葉で、伝えたい内容をこの要素に沿って構成すると情報を整理しやすいと言われているものだ。

私の脳内から排出される毒電波の如き怪文書ではあるが、ネットの海に放流するからには間違ってこの文章を目にした人間に私がどのくらい理知的で冷静な人間かを伝える必要がある。

その為にも、次の夢の舞台をどのくらい現実的に捉えているかを明確に伝えていこうと思う。夢は夢で終われない。現実になってもらわないと困るのだ。具体性をもった現実的な意見が必要なのだ。

When(いつ)


現実的な線で考えると、ここまでの規模で開催されるイベントが毎年行われるとは考えにくい。となるとアイマスというコンテンツの節目になる年こそ合同イベントにふさわしいタイミングであると考えられる。具体的な時期を挙げるとすればアイマス20周年となる2025年、または25周年となる2030年ということになるだろうか。
この二案、それぞれにメリットとデメリットが想定される。
2025年案。メリットとしては何と言っても現在から近いタイミングかつ区切りの良い時期という点がある。今回のライブも8年ぶりの合同イベントを盛り上げるべくバンナムが仕掛けたいくつもの企画も奏功し、終了後1週間経っても連日熱の冷めやらない盛り上がりを見せている。2年後という比較的近いタイミングであればこの熱量がある程度維持された状態でイベントに臨むことができるというのは開催において大きいと考えられる。言い換えれば合同イベントの楽しさが記憶に新しいうちに、勢いが持続された状態で開催してしまった方が盛り上がりやすいのではないかということだ。
デメリットとしては、矛盾する言い方になるが2023年からわずか2年しか間が空かないこと、が考えられる。本来であればアイマス15周年を記念した2020年に5ブランド合同の全国プロミツアーが計画されていたことは皆の知るところである。そのタイミングと重なって地球規模のパンデミックを引き起こした疫病が発生、イベントは中止を余儀なくされた。それどころかエンタメ業界は感染拡大防止という名の自粛の鎖に縛られ、アイマスに限らず軒並みイベントは休止され、世界が重苦しい雰囲気に包まれてしまった。
制限付きながらも世間でようやく大型イベントが復活し始めたのが2021年。人数制限や歓声制限といった様々な縛りはあったものの少しずつイベントの形を取り戻し、合同ライブ直前には遂に政府のガイドラインに基づき、アイマスとしても約3年ぶりの声出し解禁ライブとなった。
これでもかというくらいに貯めこんだ鬱憤を爆発させることができたのが今回のライブである。所謂「溜め」の時間が大きかった分ライブに好影響を与えたことは想像に難くない。これがあまりに次回の開催が近い場合、今回ほどの熱量を同じように巻き起こせるかは不透明な部分があると考えられる。
2030年案。こちらのメリットは年号の切りがいいこと。は大した問題ではないが2015~2023と同じくらいのスパンがあるとより待望のイベント感が強まることだろうか。期間の広さは飢餓感に繋がる。その飢餓感はイベントへの熱量に繋がるということだ。また、今回のセットリストは各ブランドでも指折りの人気曲を惜しみなく投入している。2025年にも同じような選曲をしてしまうといやが応にも2023年の巻き直し感を連想させてしまう。かといって今回歌唱した曲をどこまで除外して盛り上がりを作れるかという課題に向き合うのも至難の業だ。その点で言えば冷却期間ともいうべき時間が置かれれば連続で投入される曲たちへのマンネリ感を和らげる効果はあると思う。
問題点としては、7年後に自分も世界もどうなっているか想像がつかないところ。アイマスは生きているのか。生きていたとして自分はまだアイマスが好きでいられるか(これは多分大丈夫)。生きていたとしてイベントが行えるような世界なのか(大丈夫……だよね?)。そもそも自分は生きているか(大きな病気とかは今のところないけど、明日隕石が降ってくるかもしれない。プリウスミサイルの直撃を受けるかもしれない)。2020年2月のシンデレラ7th大阪の後、次回の声出しライブが3年後になるなんて予期していた人間は世界中探しても一人もいないと思う。7年という時間は決して短くはない。そこまで先を見据えられるかどうかが一番の難点だ。

Where(どこで)


文字通り舞台がなければアイドルの歌い踊る姿を見届けることができない。今回の合同ライブの会場は東京ドーム。収容人数5.5万人を誇る日本に名だたる大型会場である。東京ドームを超えるキャパシティを保持する会場となると最早ふもとっぱら(静岡・約10万)、日産スタジアム(神奈川・7.2万)、国立競技場(東京・6万)くらいしかない。一回当たりの集客力として考えるとほぼほぼ上限のレベルである。
となると、一度に今回のライブ以上の客数を動員することは非常に難しい。それならばどうするか。簡単なことである。一度が動員するのが無理なら回数を分ければいいのだ。よって私が提唱したい次回の夢の会場は1か所での公演ではなく「全国ツアー」だ。
すでに全ブランドが単独でツアー形式の周年ライブは達成済みである。ならばノウハウは既にあり、毎回数万人単位の集客を見込めるツアーも実現できるのではないだろうか。前述の通り、アイマス15周年に計画されていた合同プロミツアーを踏まえて考えても、複数会場でのイベント開催は可能性の高い予想であると考えられる。会場を分割するメリットには客数の問題だけではなく、出演キャストの増加も見込める点もある。今回も2日間合計で100名以上の出演者が登場した大型イベントではあるが、単純に会場が5か所、1か所に登場する出演者が30人だとすると合計で150人、今回の参加者の1.5倍近い人数が参加する計算になる。一回の登場人数が増えることによる大迫力は非常に大きな魅力ではあるが、その分一人一人に当たるスポットライトの数はどうしても少なくなってしまう。各人の見せ場を増やすことでより個人個人への満足感をも増加させる働きが見込めるのではないだろうか。そして何より、地方民としては地元開催のイベントに参加できる可能性は捨てがたい。都会民にはわからないだろうが、労働を回避するための根回しは当然としてライブの度に飛行機のチケットを取って宿を手配して以下略。
勿論、懸念材料もある。会場を分割させることで集客も分散される。その為全ての会場で運営側の想定通りの動員が得られるのかどうかは検討が必要である。興業である以上利益を発生させることが運営には必要になってくる。儲けが出せなければそのイベントだけでなく、それ以降のイベントにも影響を及ぼす。そのリスクを踏まえての複数会場開催に踏み切れるかどうか、その場合どこの土地で、全部で何か所になるのか。一極集中開催にはない負担が発生する点でも、可能性の一つという段階に留めておきたい。

Who(誰が)


非常に難しいところ。一点豪華主義でできる限りの大人数に参加してもらえる贅沢を味わいたいという気持ちはある。人は増えれば増えるほど可能性は無限に広がる。かと言って仮に200人が同時に出演すればどうしたって一人一人の印象が薄まることは回避不可能だ。今回の合同ライブでも、ほぼ同等の人数が登壇したシンデレラ10thファイナル公演でも参加者総登場のタイミングは終盤のごくごく限られたタイミングのみだった。4時間前後のイベントで捌ききれるキャストの人数には限度があるし、キャストの負担以上に膨大な人員のスケジュール管理をする運営の負担が凄まじいものになるだろう。(それはそれとしてシンデレラ190人全員集合してalwaysを歌唱するステージを目撃する夢は別腹なのでバンナムはどうにかしてやってくれ)。
そして前述した複数会場でのイベントが開催されたとすれば全く話は変わってくる。今回の合同ライブのようにユニット単位を基本にするやり方だけでなく、属性別に参加する会場が分かれたりであったり、規則性に縛られることの無いメンバーが各地に散らばるのもいいだろう。一会場当たりのキャスト数を抑えることでより一人一人にフィーチャーした公演内容になることは間違いない。この後でまた触れることになるが、会場分散とイベント内容次第で参加するキャストの選びかたにもかなり幅を持たせることが可能だ。

What(何を)


合同ライブの直後に発表する怪文書の内容においては恐縮ではあるが、これに関しては個人的には2つの可能性を挙げたい。想定されるイベント内容はすなわち「ライブ」か「プロミ(プロデューサーミーティング)」か、だ。
合同ライブの楽しさは今更語る必要はないだろう。特に今回はMOIWの冠に恥じない新鮮さと濃厚さを共存させたセットリストであったと思う。オリメンによる安定の人気曲。テーマに沿ってオリメンに加わる他ブランドのメンバー。ブランドにも出演者にもこだわらない驚きのシャッフル曲。ブランドごとに彩り豊かな全体曲と全ブランドが合わさった豪華絢爛な合同曲。これらが組み合わさることでブランド単独のイベントでは味わうことのできない特別なライブを魅せてくれた。今や1600曲を超えるアイマス曲と全ブランド合計で200名超えるキャスト陣の組み合わせは数えきれないほど。正直な話、何回ライブをやってもネタが尽きることはないだろう。
ではプロミの魅力は何か。まずは内容の多彩さである。ライブだけでなく、トークパートは勿論、ブランド越境の朗読劇、キャスト陣からもたびたび話題に出る運動会イベントなど、出来ることはライブ以上に色々考えられる。客席側からもイベントに参加しやすい催しなども実現しやすいだろう。
また、出演者の融通が利きやすいのではないかという点も考えられる。長時間にも及び歌って踊って衣装を替えてと慌ただしいライブは本番までのレッスンという点でキャスト陣にも決して少なくない負担を強いることになる。その点プロミという体制でイベントを開催する場合、事前準備の負荷はライブと比較すれば多少なりとも軽減できる。ここにおける負荷とは肉体的な面や時間的な面、複数にわたる。大所帯のキャスト陣のなかには身体に慢性的な故障を抱えて参加している人もいれば、出産から間もないタイミングで参加してくれる人もいる。また多忙な中レッスンで時間的な拘束を強いられる人もいるのは想像に難くない。そういった要因からライブイベントへの参加が難しいキャストが参加してくれる余地が広がるのは非常に大きいだろう。
また純粋な興味として、本来企画されていた合同プロミツアーはどんな内容だったのかを見たい、という部分も非常に大きい。当時想定していたものと全く同様の内容を実施するのは難しいことだというのは言うまでもないが、翻って合同ライブで成功を収めた今だからこそ実現可能になった企画も生まれるかもしれない。

Why(なぜ)


なんで合同イベントが必要なのかって?ブランド単独イベントで得られる栄養と合同イベントは別物なんだよ。
普段ブランド単独でお腹いっぱいの栄養を摂取してるけどたまに色んな栄養をあれもこれもとまとめて手を伸ばして腹パンパンになって滅茶苦茶になってしまいたい時があるんだよ。
専門店の食事とホテルビュッフェを一緒くたにして語るのはおかしいだろ。どっちも美味い料理出してくれるんだよ。どっちも必要なんだよ。
カレー食べたいときはカレー屋行けばいいよ。他のもの食べてたらカレーの匂いもしてきてそっちにも手を出しちゃうことってあるだろ。
手に入るしあわせの数を一つにしなきゃいけないなんて誰が決めたんだよ。
そういうことだよ。分かれよ。

How(どのように)

ここでは具体的な公演内容を深掘りしていきたい。合同ライブだとするなら、次回はコンセプトライブが見てみたい。「かわいい曲メインで頭をバカにされるセトリ」「カッコいい曲メインで男も女も落とされるセトリ」「ハイテンションな曲メインで頭も体もボロボロにされるセトリ」「聴かせる曲メインでひたすら心揺さぶられるセトリ」などなど。山ほどある曲からテーマを持ったセトリを組んでみるのも面白いと思う。ライブツアー形式を採用するなら、公演ごとに異なるテーマをもって開催されたシンデレラ7thLIVE TOUR Special 3chord♪をイメージしてもらえればわかりやすいだろうか。
あとは5ブランド合同曲の尺がもう少しもらえると助かる。今回のセトリを表現するなら、「食べたいメニューがすべて揃っていたわけではないけれど、並んでいたメニューは全部めっちゃ美味いバイキング」みたいなものだと思っている。そんな中、もう少し食べたいと感じたメニューの一つが5ブランドの合同曲である。今回の二日間で5ブランド全メンバー合同歌唱の曲は両日披露の「CRYST@LOUD」、DAY1の「アイ MUST GO!」とDAY2の「M@STERPIECE」のみである。恐らくこのイベントに臨んだ多くの人が2022年のバンナムフェス2ndでも「THE IDOLM@STER FIVE STARS!!!!!」名義で披露された「VOY@GER」「POPLINKS TUNE!!!!!」「なんどでも笑おう」あたりの歌唱を予想していたのではないだろうか。合同曲を最小限に抑えた判断自体を非難するつもりはない。単純に好みの問題でもあるし、今回のライブを機に複数のブランドに興味を持つようになったという声は多く見かけるので、次があるならより多くの人の琴線に触れる可能性が高まったことはチャンスともいえる。全員歌唱ではないにしろ、全体の半分ずつのメンバーで歌うなどの方法も考えられる。
プロミを開催するなら、という話は前述の内容と重なる部分があるため簡潔にまとめるが、ライブと比較すると心穏やかに観覧できるような企画が中心になってくると思う。それでも、普段は所属ブランドの異なるキャスト陣がその垣根を越えてトークをするというだけでも十分に楽しめることは既に同時試聴上映会で立証済みであるので、この場合は企画云々よりも夢の組み合わせといった側面に重きを置いてみるのも面白いかもしれない。アイドルの個性ごとに集まった座談会。「小学生アイドルを演じる難しさ」「アイドルと中の人とのギャップ」「他ブランドの気になるアイドル」などなど、トークテーマと参加者を想像するだけでもいくらでもイメージは膨らんでいく。
リアルイベントの花形がライブであることは間違いないが、MCパートの楽しさもライブの醍醐味の一つでもある(そういえば今回は尺をライブパートに極振りしてたであろうMCパートの少なさも仕方ないとはいえちょっぴり寂しかったり。越境トークがちょいちょいあったらなーって)。だからこそ、次があるならいろいろな「繫がり」の部分をライブパート以外の見せ方でも楽しんでみたいものだ。

おわりに

今回の合同ライブは個人的には間違いなく「成功」のお墨付きを与えていいものであると思う。勿論人それぞれ物足りなさや不満を感じる部分があるだろう。イベントへの賞賛と一緒にそういった声を公演のアンケートに届けられれば、少しは運営への労いと応援の一助に繋がると思う。つまりツイッターでうれしい楽しい大好きを発散させるだけじゃなくてちゃんとアンケートに回答しようねってことだよ言わせんな恥ずかしい。
現時点でアイマスが用意できる「M@STERPIECE」、最高傑作を見せてもらえた2日間ではあるが、ここはあくまで現時点での「最高」である。ここで歩みを止めてしまえば最高は維持できたとしてもこれ以上の成長も前進もない。最高は更新していくもの。現在は明日からすればもう過去だ。次に見る景色はどんな世界なのかはわからない。今を越えた先に広がる空が澄み切った青空か、はたまた先の見えない暗雲の立ち込めた空なのか。ずっとずっとその先の夢、夢の先の次の夢を今は楽しみに待ちながら今日もアーカイブを垂れ流すのだ。1週間じゃ足りないから早く12月になあれ。

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