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【総合商社】住友商事決算。なぜ三菱商事、三井物産は、減損していないのか。

1.住友商事1Q決算

さて、住友商事が1Q決算を発表しましたので、コメントします。

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第1四半期決算は、最終的損益410億円の赤字でした。また、2020年度年間見通しは、1500億円の赤字。

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新型感染拡大の影響で、マダガスカルでのニッケル生産が停止。油価下落やアメリカ鋼管事業低迷によるものと。

2.本当に減損はこれだけなの??

今回の減損は以下の通り。

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さらに今年度では

早期の成⻑軌道への回帰に向け、不採算案件の整理など、構造改⾰を断⾏することに伴い、損失が発⽣する可能性があり。これらの合計で2,500億円程度の⼀過性損失を織り込んでいるものです。

ということで、まだまだ出てくる。
2020年度は一過性損失を除くと1000億円の黒字ですので、2,500億円の特損を引くと、最終損益は1500億円の赤字となります。

3.なぜ三菱商事、三井物産は、まだ減損していないのか。

資源の三菱・三井よりも、住商が減損を出しました。なぜなのでしょうか。
暫し住商はフライデーランチと揶揄されることがあります。良い資源案件が出ると、月曜にオイルメジャーに、火曜日に三菱・三井に。そして各社転々として、金曜のお昼頃に住友商事に話がくるつまり良い案件を掴めない。逆に三菱・三井は比較的良い案件を抱えている。

マダガスカルの案件は、ちょうどニッケル価格が最高値をつける2007年、ニッケル鉱石生産のメジャープレイヤーではなかった住友商事がチャレンジした案件でした。当初世界最安と言われた同事業の操業コストも、技術革新により次第に競争力が失われ、16年3月期に770億円、20年4~6月期にも約550億円の減損を出しました。

本件に関する顛末はこちらに詳しく書かれています。良書です。

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その様に揶揄される住商が、今後も多額の減損を吐き出す可能性は十分あります。資源投資はエクスポージャーが価格変動に常に晒される新規参入は非常に難しい事業です。来週の三菱の決算を見守りましょう。

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