見出し画像

ドギョム:アーサー王への軌跡 ~韓国ミュージカル『エクスカリバー』感想メモ

注意書き

※拡大解釈・内容のネタバレを含みます

挑戦をやり遂げたドギョムくんがかっこいいという話

アイドルがミュージカル。
畑違いの分野に飛び込む、しかも主役なんて大役に挑戦していくだなんて、どれだけの困難があっただろう?
映画鑑賞後、私の胸を占めていたのはこんな気持ちだった。

恥ずかしながら、私は今回の作品が実現した経緯やカンパニーのことを何も知らない。
あまりに無知なので鑑賞後に少しネット検索してみたけれど、韓国ミュージカル自体が一般的にもレベルが高いと評判のよう?
今回のミュージカル『エクスカリバー』を手掛けた、EMKミュージカルカンパニーも規模が大きい会社だったらしい。

そんな背景も知らなかったけれど、普段からそこそこ劇団四季や2.5次元の舞台を観に行く人間の目で鑑賞しながら「結構大がかりな作品だな」と感じていた。
想像するに、キャスト、スタッフ、舞台装置etc全てにおいてミュージカルのプロが集まってできている場のはずで、そんな中でドギョムくんは既にアイドルとして素晴らしい功績を持っていても相当な苦難に直面したんじゃないかな……と。
挫折感を味わうことも少なくなかっただろうと想像してしまう。

特に、彼の一番の武器であろう、歌。
アイドルとしての歌とミュージカル俳優としての歌では、求められる技術が全く違うだろう。

MVやライブのパフォーマンスの中で、ダンスやカメラを意識しつつ、(これも当然相当難しいことを最高のクオリティで届けてくれるけど、)歌のパートとしてはワンフレーズに限られることがほとんど。
一方ミュージカルでは、舞台上では常に「役」として表情も含めて全身を使った演技の中、演じる人物の感情を表現して歌う必要がある。
しかも、主役でソロや出番も多い。当然歌唱パートも多い。

発声の仕方も違う。
完全生歌で劇場の箱を満たす空気を震わせて、音として声を観客に届けるあの感じは、ミュージカルの歌唱の特徴だと個人的には思っている。

彼の周りを固めるのは、歌が上手くて当たり前のミュージカル俳優たち。
私が特に印象に残った敵の親玉やモルガナをはじめ、画面越しにも圧倒的に歌が上手すぎる……
歌で場を制圧させられそうなくらいパワーと迫力があって、とても良く響いて本当に気持ちいい。
これこれ~!!これがミュージカルの醍醐味!!って感じの歌声。大好きです。

ドギョムくんにとって未開の、ハイレベルな領域で、きっと彼は様々な壁にぶつかり、揉まれながらも、その技術をどんどん磨いてかけがえのない財産を手に入れたんだろうな。
彼自身も劇中で「ミュージカルは一人ではできない」と語っていて、それは芝居や殺陣を含め、多くの人が関わって成立している作品だからだろうけど、他者の中で歌を研鑽していけたことも、ミュージカルだからこそ得られた経験に含まれるんじゃないかな、なんて考える。
自らの努力をもって能力を広げ、さらに周囲のレベルに引き上げられて彼自身に昇華し、以前から輝いていた歌唱力をさらに強い武器にしてきたんだろうな……かっこいいなあ……

冒頭のレコーディングの場面で様々な発声練習を披露してくれたとき、
「ああ、彼は間違いなく、歌を生業にしてるプロなんだよなあ……」
って改めて実感したことが心に残ってる。
「歌う」こと自体は誰にでもできる身近な表現方法だけど、それで生計を立てる程に熟練された技術となると、声帯や肺や唇の使い方や息の処理やタイミングなど解像度を高めて歌い分けて表現できるんだろうな……完全に素人の想像だけど……はあ……職業人としてメチャメチャかっこいいなあ……

ミュージカルというアイドルの活動とは別の角度から歌と向き合い、研鑽を積んだことで、彼が表現できる幅はさらに広がったはず。
そんな彼の技術が詰め込まれる、SEVENTEENの曲を形作る珠玉のワンフレーズ……非常にありがたい気持ちを持って拝聴できそう……

総じてドギョムくんがかっこよかったです。観に行けて本当によかった。

いちCARATとして嬉しかったところ


SEVENTEENのメンバーがグループを離れた活動をしているのを見ると、彼らはいつもよりちょっと余所行きな顔で、いつもと違った一面が見えて、毎回不思議な気持ちになる。
今回のドキュメンタリーも、私はSEVENTEENファン・CARATとしてというよりは、ドギョムくんという素敵な個人に深く興味をもって観ていた感覚だった。それはそれでとても楽しい鑑賞体験だった。

それでも最後、千秋楽を迎えてついキャストと抱擁して涙を溢してしまう姿を見て、
「ああ、私たちがよく知ってるSEVENTEENのドギョムくんだな」
って思えてあたたかい気持ちになったし、最後にはCARATに向けてメッセージをくれて嬉しかった。

ドギョムくんのことがたくさん知れてよかった!
ますます好きになりました。
これからも応援しています。

おまけ:ミュージカル「エクスカリバー」について


※とてもネタバレ
※オリジナルのアーサー王物語もミュージカル本編全編もきちんと観れてない人間のお気持ち脳直感想

元々アーサー王物語はざっくりしたあらすじと主要人物をうっすら知ってる程度だったので、ストーリーも初見の気持ちで純粋に楽しめてとっても面白かった……
今回はドキュメンタリーだから、ミュージカル本編から重要シーンだけ切り取って扱われてるためにストーリーの繋がりがわかりにくいところも正直あったけど、それらは仕方ないものとして。通しでも本編ちゃんと観たいな~と思いました。それくらい引き込まれた。

剣を引き抜いたアーサーが王になるシーンから親友と妻の不倫と、象徴的なシーンが展開されて、この舞台だとどの展開で幕引きになるんだろう?と思って観てたら、まさかの大切な人たちを全て失うエンディング……
そんな過酷な境遇から王としての務めを果たしていくの?そんな未来を残して孤独に戦っていくというの……そんな……アーサー王……

義父を失って親友と衝突したときも、怒りで目が眩んで王の権威を振りかざして従わせようとしていたけれど、アーサーはこの時点ではただ運命に選ばれただけの、家族と仲間と幸せに暮らす平凡な青年だったんだよなあ。
そりゃあ突然王にされてしまっても精神的な未熟さがあって当たり前だよ……

そんな彼が厳しい戦いに身を投じ、大切な人たちとの別離を経て、王になっていく。そんな試練を描いたのがこの作品だったんだね……

感情を揺らされる良い作品に出合わせてくれたドギョムくんにまた感謝……

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?