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Ver3.6「盛典と慧業」のカーヴェさんについて

副題:虚像の自尊心、俺たちを映す鏡

※当然の如くイベントのネタバレします
※わりとカーヴェさんに対してずかすが物言いをしてるので不快になったら申し訳ねえ

(2日目競技までのイベストを読んでかいています)
(3日目を見たら追記するかも)
→5/17キャラストも読んで追記しました

ただの「お人好し」では済まされない


こんにちは、原神楽しいですね(唐突な挨拶)
前々から魔神任務やアルハイゼン伝説任務で存在をチラ見せしてたカーヴェさんがついに期間限定イベントに登場しました。
言い方を変えますと、「アルハイゼンと絡んでない時のカーヴェ」がたくさん見られる機会が得られました。

状況を軽く整理すると、
学院祭のイベントで優勝すれば不動産も手に入るだけの金が得られる。そうすれば後輩のアルハイゼンの家から出て行くことができる。
今カーヴェには多額の負債があり、そのため後輩の家に転がり込むしかない状況である。
ナヒーダのスキルで彼の心を読んでも、「アルハイゼンの家から出て行きたい」という思いは嘘ではないように感じます。(スクショを撮り損ねましたが、「これでやっとアルハイゼンの家から出ていける!」的なことが心の声になっていました)

アルハイゼン以外に対しては一見すると穏やかで、賞金を争うライバルでもあるファルザンやレイラに対して紳士的な振舞いも見られました。
ここまでは良かった。

1日目のなんかやたら飛ぶのが速い蝶(名前忘れました)を捕まえる競技ではファルザンと組んでいました。ファルザン視点も彼と組む価値があるというくらい彼の才能については他者から見ても申し分ないということでしょう。

しかし、3位までがポイントを得られる競技でファルザンとカーヴェは3位になってしまいます。しかもどちらか片方しかポイントが得られない。
一体どうするか…彼は自分だけがポイントを貰ったらファルザンの苦労が無かったことになるだのなんだの言い、くじ引きにしようと言い出しました。そして結果はハズレ。ポイントはファルザンの物に。

2日目の競技ではファルザンからまた組まないかと誘われますが砂漠は僕の得意分野だから、と言いお互い単独で行くことに。結局はファルザンと同時に3位入賞。普通に考えたら昨日は貰ったから今回はどうぞ、になるしファルザンもそのような提案をします。しかしカーヴェは今回もくじ引きにすると言い出します。アルハイゼンにめちゃくちゃ遠回しにくじ運ないから辞めたら?と言われますが辞めません。結果としてはカーヴェが勝ったのでいいと言えばいいのですが、ポイント争いとしては普通に他の参加者に負けています。

ここが違和感ポイントなのですが、というか違和感の塊がデカすぎる。
①優勝狙いのはずなのにポイントに対する執着が薄いように感じられる
②負けていることへの焦りがそんなに感じられない
③↑を差し置いても2日目のポイントを素直に受け取らないのはおかしい

なんでかなあと思いましたが、2日目の競技中の出来事である仮説を思いつきました。

「カーヴェはプライドが高く、しかし精神が未熟で、目的よりもその場の体裁を気にする性質がある」

その2日目の出来事とは、
競技の内容は広い砂漠の中から限られた水と食料の中で地脈干渉機を早く見つける、というものでした。
カーヴェは砂漠の道中、1匹のコサックギツネ(砂漠に適応したキツネの一種)に出逢います。まあ砂漠にはコサックギツネなんてたくさんいるのでそれは大したことではないのですが、カーヴェ選手、何故かキツネに自分の分が無くなるほど餌をあげてしまい、結果キツネ3匹に付き纏われるようになります。
旅人がカーヴェの様子を見に行くと「こいつらにやれる餌はもうないのにずっとついてくる」とブチギレています。完全にキツネに足元見られてる。
キレるのはまあわかるのですが(お前のせいだけどね)、旅人と話しているうちに急に態度を変えます。
「こいつらも地脈のせいで混乱して困っているのかもしれない。安全な場所まで送ってってあげよう。」と何の脈絡もなく言い出します。
お前10秒前の自分の発言忘れたのか?
競技は機械を見つけた先着順の勝負なんだが?

私は「こいつ怖い」と思いました。怖くない?アンガーマネジメントもびっくりの豹変っぷりだよ。
あの優しいレイラにも一連の行動を突っ込まれています。

普段からずけずけな物言いのパイモンじゃなくてレイラにここまで言わせるのある意味すごいよカーヴェ
しかも本当にキツネを送ってきたようで、ファルザンにも突っ込まれてる

本当にファルザンの言う通りで、先述の通り食料はキツネにあげてもう尽きてるのに、砂漠の中で水だけで行動することそのものが危険ですよね。
しかもカーヴェは自身の納得のためにそのようなことをしたと説明します。

これだけを聞くと行き過ぎた自己犠牲精神の表れとも取れます。実際そのような考察の方もたくさんいらっしゃいますし、私もそうであるとも思います。
だけど、私はそれだけではないと思います。

カーヴェにはお金がありません。正確に言えば、入ってくるお金はあるのに、使う量が多過ぎて結果収支がマイナスになっています。
お金がないのに可哀想な子供たちのために寄付をする、困っている人を見過ごせないなどのエピソードがあります。
困るのが自分だけならまだいいのですが、こいつの場合後輩の家に居候しており、あげく後輩の金で酒を飲みまくっています。めちゃくちゃ後輩に迷惑をかけています。マッチ売りの少女だって自分が持ってるものしか施さないんだよ。

本当にこれはただの自己犠牲か?
後輩に世話になっているのにやれうるさいだの話が合わんだのケチだのめちゃくちゃ言ってます。本当に慈悲の心があるなら言えるセリフではない。私がアルハイゼンならすでに家から追い出していますが、アルハイゼンは私じゃないのでカーヴェを家に留め続けています。聖人か?

カーヴェの理想と現実は遠く離れています。よりにもよって後輩の世話になっていることは彼にとって嫌なことでしょう。パイモンがカーヴェとアルハイゼンが同居していることを口を滑らせようとして慌てて止めることもありました。彼にって周りに知られたくない事実なのです。

誰しも理想と現実のギャップを抱えています。私だってそうです。
でも普通の人間はそれに対して理想に見合うよう努力したり、悩んだり、時には諦めたりしてなんとか対処しています。
でもカーヴェの場合、困っている人を助けられる、というよりそれくらい余裕があって力のある自分が理想であるから、現実的に難しくても、そのように振る舞おうとしてしまう。一言で言えば身の丈に合ってない行動をしている。
理想と現実のギャップが大き過ぎて、もはや一日一善程度の善行ではギャップが埋まらない。
その埋まらない怒りのコーピングがアルハイゼンに当たり散らすか酒か更なる慈善行為になっている。
嫌な悪循環ができている。

アルハイゼンが助けていなければカーヴェは今ごろ本当に野垂れ死んでいますが、助けられたのがアルハイゼンというところがカーヴェにとって気に触ることでした。
カーヴェは天才であるし、だからこそアルハイゼンは彼と一緒にいようとしましたが、アルハイゼンもまた彼に劣らぬ天才でした。
アルハイゼンはお金があり、賢く自分に無い才能があり、安定した職がある。
言い換えれば、カーヴェがアルハイゼンに明確に勝てることなんて「自分が先輩であること」だけ。嫉妬しかない。だからことあるごとにアルハイゼンに「先輩」マウントを取る。
アルハイゼンに「出て行け」と言われた時、「待ってくれ」でも「話し合おう」でもなく「卑怯だぞ」が真っ先に出てくるのは、アルハイゼンが自分より上の立場にいると認めているような物です。

レイラやファルザンに紳士的で優しいのはある意味下に見ているからではないか?とも思います。(だからファルザンからの指摘を指図呼ばわりする)
そもそも参加者の中で優勝することに意味があるのは冠と金が欲しいカーヴェとカードが欲しいセノだけです。
最初から誰かと共闘するなら「優勝したらカードをあげる」と約束してセノと組めばいいんです。セノは金はそんなに要らないでしょうし。
アルハイゼンのPVでティナリとセノと仲良く話している場面がありましたが、2人はカーヴェ的に同じくらいの位置の相手であり、そしてカーヴェの対処が上手いから仲良くやっていけるのでしょう。並の人間がカーヴェと付き合っていくのは精神が持っていかれそうです。
ファルザンとポイント争いをする時に運任せの方法を提案したのは、万が一実力が出る決め方で決めて負けたら居た堪れなくなるから(運なら負けても運のせいにできる)でしょうか。

それでも、カーヴェはカーヴェ自身ちゃんとした実績もあるし、だからこそ周りからもそれは認められているし、建築の才能があるわけです。
でもそれだけじゃ満足できない。

おそらく最初はそんなに大きな額じゃなかったのに、繰り返すうちに段々事が大きくなっていったのでしょう。
過度のストレスやお酒は現実検討能力を下げてしまうので、「わかってるけどやめられない」状態かもしれません。アルコール依存症と同じです。そもそも併発してそうな気もします。
カーヴェ、医者に行け。メンヘラとかそんな次元じゃない。

そんなわけで、「優勝しなきゃいけないのに、目の前の困っている相手を見ると助けずにいられない」という状態だから、客観的に見て不審な行動に映るのではないでしょうか。
少なくとも、これはただのお人好しではないと言う事だけ伝われば嬉しいです。

アルハイゼンの善行

カーヴェのプライドが高い高いなのはアルハイゼンも理解しています。だからこそアルハイゼンはカーヴェを傷つけないよう立ち回っています。
アルハイゼンにはお金があります。カーヴェを養ってても懐は痛みません。痛んでたらこの関係は続いていません。破綻してます。
アルハイゼンはカーヴェに家賃や酒代を払えと言います。しかし現にカーヴェは未払いや滞納しており、そもそもアルハイゼンは払ってもらわなくても大丈夫なはずです。
それでも払えと言うのは、カーヴェへの配慮であると思われます。
アルハイゼンが「全部養うから気にしなくていい」と言えばそれで済みます。でも「後輩に養ってもらってる自分」をカーヴェのプライドが許すはずはありません。
だからこそ金を払えと言う事でカーヴェを「被扶養者」ではなく「ルームメイト」として何とか彼のメンツを立たせる事ができる。

アルハイゼンの声かけがカーヴェに対してだけやたら遠回りで煽り口調なのも、それが1番カーヴェを傷付けないからかもしれません(それはそうと正論しか言わない男なので、正論で刺されたカーヴェはキレる)

唯美主義者

スメールの著名建築デザイナー。多くの物事に対し、行き過ぎた思いやりの心を持つ。唯美主義者だが、現実に悩まされている。

原神公式Twitterより

唯美主義者とはなんぞや?めっちゃ簡単に言うと「美」こそが1番!って言う思想です。
美しさがどうとかは彼の口癖の一つです。
ここからさらにめちゃくちゃに妄想なのですが、
彼にとって「行き過ぎた思いやり」も「美しいもの」なのでしょう。
そして「可哀想な物に施しをする自分」は「美しい」のでしょう。
そんな「美しさ」は彼にとって何よりも優先すべきものであるので、たとえ施すための蓄えや余裕がなくても、「美しい自分」であるためにそれを止めることができない。
でも蓄えがなく後輩に頼るしかない自分は「美しくない」、理想とのギャップを埋めるために「美しい行為」をして、お金を無くして、さらに頼るしかなくなって………という悪循環。
書いてて泣きたくなってきた。

理想に向かって努力を止めない、と書くと聞こえはいいですが、あまりにも現実を見ていなさすぎる。
彼に自己肯定感があれば、努力できる自分はそもそも美しいと自分を認めることができる。そもそも美しくある方法は他にもあるって気がつける。でもそれが無いから、無理矢理「美しい自分」でいることしか自分の自尊心を満たすことができない。
自己肯定感が低い他者がカーヴェを見ると、まるで鏡を見ているような気になる。
天穹の鏡とかいうからさ、「なるほどアルハイゼンの対概念なわけね」とか思ってたのにさ、本当は俺たちを映す鏡だった。
アルハイゼンと鏡合わせになるには、真の意味で対等になるには、理想だけでデカくなっていってる自尊心の虚像を壊して、等身大の自分を愛せるようにならなければならない。

結構原神のイベントはキャラクターが成長していくことが多いので、今後を期待したいと思います。
最後に唐突に原神やってないけど情報だけ吸わせてる友人のツイートを貼り付けます。

それと今回の記事の内容を一緒に話してまとめてくれた友人のツイートも貼ります。感謝感謝。


3日目のイベント見ての追記

カーヴェ、思ったよりまともでよかったーーー!!!!!!
「優しいカーヴェ」はプライドの虚像ではなさそうでした。2日目の怖さは消えたわけじゃないけどね。

冠叩き壊しちゃうし。
「普通の人じゃできないこと」をできる人なのは2日目も3日目も変わらない。
キツネを助けたのだって、優しい人なら「可哀想だな」ぐらいは思うでしょう。でも「餌を全部あげよう」とか「送ってってあげよう」とはならんのです。

アルハイゼンもそうだそうだと言っています


自己肯定感の無さは家庭環境にあるんじゃないか、と予想しキャラストを読んでみました。
何というか、自己肯定感が無い、というより罪悪感が強いですね。
意思強め思い込み激しめなのは元来の性格っぽいですが、それが最悪のハーモニーを奏でていらっしゃいますね。
なんだろう、自分の発言のせいで周り回って父親が亡くなってしまった、というのは「後悔」はすると思うんですよ、言わなきゃよかったって。でもそれは「自分のせい」になってしまう。

色々言いたいことはありますが、一つ確かなのはこの男、本当に「自我」が強い。
「この責任は僕が負えばいい」が顕著ですけど、ある種傲慢ですよね。父が砂漠で亡くなったのも、悪いのはもちろんカーヴェじゃなくてそもそも父親を騙したやつなんですが、言い換えれば要らん責任を感じてしまってる。全て、は言い過ぎだけど大体のことは「自分」に帰結する。
だからそうである限り、彼の人生は最悪のまま。

アルハイゼンはなるべく他人に干渉しない主義ですが、カーヴェにはバリバリに干渉してる。
想像ですが、アルハイゼンは干渉こそしないけど冷淡なわけじゃないので、彼からして見てられないレベルなんでしょう。
彼の思考の癖もプライドの高さも理解しているから、彼の内に内に向かう感情を外に発散するようにしてる。
友人がアルハイゼンのことを「理解ある彼くん」と言ってましたが、わりと冗談抜きでそうなんじゃないかな?
アルハイゼンもカーヴェも、初見の時から印象が二転三転してる。

やっぱ原神、面白いですね(雑まとめ)
1凸したカーヴェを螺旋に連れ回してたらめちゃくちゃ愛着湧いたので、今後の彼の動向に注目していきたいです。


以下おまけ

ナヒーダと笠っち、カーヴェとメラック


「笠っち」はナヒーダが放浪者に名付けた名前で、本国版だと「阿帽」といい、どっちもあだ名っぽいが阿帽は「頭がチャームポイントのかわいい子」ぐらいの意味合いがあるそうです(ちうごくごわからん)
放浪者は口にこそ出しませんがこの名前をかなり気に入ってる様子です。あまり人名っぽい名前で呼ばれてこなかったのもあると思いますが。

対してカーヴェはメラックという機械生命を連れています。喋りはしませんが表情があるので意思の疎通はなんとなくできます。
しかし、カーヴェのスタンスは「便利でうるさくない工具箱」です。
普通の人間はただの工具箱に名前をつけません。カーヴェはメラックと名前をつけるくらいには「個」があると認識している。表情をつけるということはメラックに感情があると理解している。それなのに。
ペットでもなく、下手したら私たちで言うアレクサ以下の扱いです。
この辺すごく対比されてそうで怖いなあと思いました。おまけでした。

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