stencher

起立を乱す不適合なわたしが立ったまま、地面に揺られ続けている。当たり前のように適当に散りばめた秘密を時間を空けて裏返してみたら、そこにあったのは真実でも嘘でもなかった。ただ、そんなことよりもわたしは、ずうっと笑っている影が付いてくる大禍時、揺らぐ声に乗せて弾むおばけみたいなそれを確かめていた。波間に溶けるきみの肉片に一つ一つ名前を付けて、他のどんなものを呼ぶ時より痛く愛おしい声で、花占いをする時みたいに俯いて座ったままたくさんたくさん呼んでいる。自らが発する苦しそうな息遣いを耳から直接聞いてようやくわたしは疲れ切っていることに気づく。そうだ、これは私の夢で光だった。人知の及ばない所にある、変えることの出来ない、深い悲しみのオマケがついた小さな完結だった。痛い程の眩しさが先を暈し、潰れた遊園地のような物悲しさを直接告げてくる。

悴んで赤くなった指先で打つ生産性の無い文章は、顔も知らない誰かのいいねで何となく重みを増す。くたびれたぬいぐるみに付いているタグの文字がもうすっかり読めなくなっていて、時が経つって残酷で笑えるかもって溜め息をつく。雪の降らない町の、しんと静まる一瞬を探して歩いているんだ。じわりと暖かくなった目元に浮かぶ逆さまの景色だけは確実にわたしを迷わせている。道が消えて、足がふやけて、空が触れるようになる。結婚しようかって言ってもらった。

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