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パイナップルと化粧


恋人のためにパイナップルを買った。

恋人に「可愛いね」と言われたくてメイクをした。

冷蔵庫にパイナップルがあるよ、と言ったらどんな顔をするかな。メイクをした私を見て、なんて言ってくれるかな。

想像の中の彼はとびっきり喜んで、抱きついて、可愛いねと笑っていた。


全てを壊した。私が。

たった1時間、恋人が上司につかまり予定時刻に帰ってこれなかった、たったそれだけのことで、右腕に無数の傷を作った。

私が彼を想っていた全ての時間を私が壊した。

「冷蔵庫にパイナップルがあるから好きな時に食べてね」と言ったら、言葉もなくグーサインを出された。

私たちは他人であり、尚且つ恋人であり、友達ではない。


人間のことがわからない。

彼のような人間がいるんだな、と認識しようとしても、心が追い付かない。私が知っている彼は私から見える彼でしかなくて、その逆も当然ある。

彼に私がどう見えているのか分からないけど、きっとそのことで討論すればまた私は自責の念に駆られるだろうし、そこに彼の悪意はない。


生きていていいのだろうか、とさえ思う。

こういう場合恋人は決まって言う。

「君がいなくなったら寂しいし、きっと僕はそれでもなんとなく生きていくだろうけど、それでも生きていてほしい」と。


恋人というものは、私にとって良くも悪くも「呪縛」である。

依存体質なだけだろうか、過去に囚われて未だに愛を欲張ってしまっているだけなんじゃないか、本当は恋人もうんざりしてるんじゃないだろうか。

答えはわからずとも、これだけは言える。

睡眠薬や安定剤が効いている最中に、新しいコンテンツをはじめるのは、本当に良くない。


もう寝ましょう。

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