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子どもの味方のおとなになる

「親の時間」の託児をしていると、
あと10分くらいで託児終了という頃に、
それまで遊んでいた子が待ちきれない様子で、
時には半べそをかいて、
託児の部屋のドアに手を掛けて、
お母さんの所へ行きたそうにすることがあります。

そんな時、「あと10分したらママ来るよ。
今はまだ会えないの」と説明していました。
悲しい顔になったら「泣いていいよ」
と伝えていました。

でもある時、違うやり方を試してみました。
こんな風に言ってみたんです。

「ママに会いたいんだね。
『ママ早く来て』って一緒に呼んでみようか?」

そして、小さい声で「Hちゃんのママー」
と呼んでみました。
そうしたらHちゃんも小さい声で
「ママー」と言い始めました。

2人で何回も「ママー」と呼んだら、
最初は必死で泣きそうだったHちゃんは
だんだん元気が出てきたみたいで、
声を合わせてママを呼ぶのが
ちょっとうれしそうです。

それを見ていたFくんも寄ってきて、
一緒に「ママー」と呼び始めました。
2人が並んで私の膝に座って、
ドアをトントンとやさしくたたきます。
そして、3人で一緒に「ママー、
はやく来てー」と呼びつづけると
まるで合唱しているみたいな楽しさで、
10分があっという間に過ぎたのです。

「終わったよ〜。待ってくれてありがとう」
というの声とともに託児室のドアが開くと
合唱はおしまいです。

2人は大好きなママにぎゅっと
してもらいたくて走っていったり、
待っていたりで、託児もおしまいです。

以来この、ママを呼びながらママを待つ、
というやり方が恒例になって、
託児の最後がみんなにとって
楽しみな時間になりました。

ちょっと前の私だったら
『子どもの頃の私も、寂しいときに
こんな風に誰かが励ましてくれて
「ママー」と呼べていたらよかったのになぁ』
と、うらやましくなってしまったと思います。

でも今は「親の時間」のみんなが、
うらやましがっている子どもだった私
〜私の心の中にいるのです〜を
いつも励ましてくれます。

そして今は、この心の中にいる子どもの私が、
成長した大人の私を応援しているのを感じます。

『子どもの味方でいる、
すてきな大人になってね、できるよ』と。

いっこ

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