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大きな励まし

「Sちゃんのこと」

泣いたり笑ったりなどの
感情をだすことは、本来
人間がもっている
傷ついた気持ちを癒す力であると
「親の時間」を通して知ってから、
そのことが本当なのか
確かめてみよう、と何度か試しています。

泣いたり笑ったりするのを
ただただ聞いてやさしく注目するだけで、
相手がだんだんと、生き生き
していくのがわかり、その相手が
こどもだと本当にびっくりするほど
変化することもあります。

最近また試す機会があったので
そのお話です。

3歳のSちゃんのお母さんは
8月に赤ちゃんを産んだばかりで、
私はSちゃんを保育園にお迎えに行き、
Sちゃんのお家まで一緒に
歩いて帰るサポートを始めました。

最初のうちSちゃんは、私の語りかけに
うなづいたりするくらいでしたが
日を追うごとに慣れてきて、少しずつ
お話をしてくれるようになりました。

ある日のこと。
保育園からの帰り道に、
歩道に高さ40センチくらいの
コンクリートの柱が等間隔に
並んでいる道があり、
その柱の上部は平らではなく、
丸くなっています。
(車両が歩道に乗り上げないように
するための装飾のようです。)

Sちゃんは「ここにのぼる」と言って
私の手をしっかり握りながら
よじのぼりおそるおそる立ちました。
その顔はとても緊張して
こわばっていました。
そしてジャンプして降りると
「こっちものぼる」といって次の柱へ。

いつも手をつないで、
歩いて帰るだけだった
Sちゃんが初めて遊びだしたので、
今日はSちゃんの遊びに
注目してみようと私は心に決め、
にこにこしながらじっと
危なくないように見守りながら
手をつないで一緒にすすみました。

8個くらい登ってはジャンプを
繰り返して交差点までくると
右手にさらに20個(!)くらい
同じ柱が並んでいます。

「あっちのはしっこにいく!」
あ、やっぱり?(笑)

最初のうちは、立つことも
おぼつかなかったのに
次第につなぐ手は
ゆるやかになっていき、
こわばっていた顔から
笑いがこぼれはじめ、
おなかの底からケラケラ
笑うようになっていきました。

そして最後にはSちゃん自ら
私のつないでいた手を離し、
両手をひろげて突起物の上に
ひとりで立ったのです。

Sちゃんの顔は自信に
満ちていてピッカピカ!
無言で立つその姿に
私はとても感動していました。

私はその時仕事でうまくいかなくて
少し落ち込んでいたのですが、
Sちゃんが自信をつけていく様は、
私にとって大きな励ましとなりました。

私もSちゃんのように見守ってもらい
話を聞いてもらえることで
乗り越えられるんだって。

こういう発見は、「親の時間」を
続けてきて良かったと思うことのひとつです。

あっこ

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