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キンドル出版の今昔

キンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)で3冊のペーパーバックを2023年6月に出版して4カ月、ようやく銀行口座に最初のロイヤリティが入金された。数万円であるがまあほっとしたし、嬉しかった。
入金までに4カ月もたったのは紆余曲折がある。そもそもキンドル・ダイレクト・パブリッシングは月末締め翌々月末払いであり、最短でも売上が発生してから60日後にしか入金されない。そんなことも調べもしないで、毎月末銀行に記帳に行って「おかしいな、入金されてないな」ともやもやしていたのである。

業を煮やして9月、Amazonのサポートセンターにメールで問い合わせたところ、1日も開けずに丁寧な返事がきた。どうやら登録した口座名義が間違っていたらしい。姓名に半角スペースが入っていなかったことが原因らしいが、ミスはミスである。訂正した。
ところが9月末になっても入金されない。再び問い合わせたところ、今度は小切手での入金を選択するというミスだったらしく、Amazonは親切にも文面から判断して銀行口座の振込に変えて下さり、「小切手が送られてくると思いますがそれは破棄してください」と伝えて下さった。そして数日後、無事銀行口座に入金となったのである。

ところが話は終わらない。小切手のアメリカドルの金額と、口座の日本円の金額が、どう換算しても合わないのだ。よく調べたら、アメリカの源泉徴収額30%が小切手では引かれている。ところが、ことの経緯から推測すると、Amazonさんが入金する際に、アメリカの源泉徴収額(ADJUSTMENT=調整額)を引かないで、入金してくれたのだと思う。というわけで、これも慌ててアカウントから納税者番号(日本ではマイナンバー)を入力、送信すると、その場で源泉徴収は免除となった。

さっぱりわからない方はさっぱりわからないだろう。銀行員が助けてくれるわけでもなく、小切手の英語を読んでくれるわけでもなく、推理に推理を重ねて、ようやくたどり着いた。そもそもアメリカのサービスを日本でやること、電子商取引を個人で行うのは、ややこしさが伴うのだ。
それも含めて、10年前の2013年に初めてキンドル出版をした時からのKDPの改良点を挙げてみたい。

  1. なんといっても納税者番号を取得するためにアメリカの国税庁に郵送で申請するという、むちゃくちゃ高いハードルがなくなったことである。10年前はアメリカ国税庁からダウンロードした申請書に英語で記入して、納税者番号を取得、記憶が正しければその上で日本国内に在住しているので源泉徴収は引かれないという証明をしなければならなかったと思う。ほとんどの日本人はそんなわずらわしいことは回避して、おとなしく高額の源泉徴収を支払っていたのではないだろうか。今はアカウントからマイナンバーを入力すると申請書に変換されて、送信するだけで承認がおりるようである。

  2. 電子書籍の場合は横書きのワード入稿でも縦書きに変換して組版してくれる(らしい)。昔は記憶が正しければ、テキストデータをEPUB3のソフトで変換して入稿していた気がする。プレビューもプレビューソフトで変換してやっと見れた記憶がある。10年前はEPUBとか言われても分からない人は分からなかっただろう。

  3. 紙の書籍でも出版できるようになったことである。日本ではペーパーバックのみで、ソフトカバーにも上製本にも対応してくれないようだが、それでもペーパーバックで現物を手にした時は嬉しかった。私は紙の書籍が大好きだし、読者にも紙の本で読んでほしいという思いがある。

いっぽう改善すべき点は1つだけである。表紙のデザインをJPEGかTIFFで入稿するなんて、プロの仕事である。テンプレートもなくなってしまった(ようだ)。今回は数万円で知り合いの印刷会社にデザインを頼んだが、プロである印刷会社も、サイズを間違ったり、仕切り線をはみ出しちゃったり、はみ出した部分の文字にアウトラインを掛けてやっぱり駄目だったりと試行錯誤した。

もっともAdobeのfireflyのように、画像生成AIが進化しているので、近い将来表紙デザインをAIでやってくれる時代になるだろう。そうなるとお気軽に出版できるが、印刷会社の出番もますますなくなるなあ。

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