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カントリーマアムの歴史

わけがあって近現代史の記事ばかり書いていますが、殺伐としてますねえ。すみません。今日は箸休めに、不二家のカントリーマアムの歴史について書きたいと思います(唐突)。

noterさんにカントリーマアム研究をされた方がいて、触発されたのもありますが、私、記者時代にカントリーマアムについて不二家に取材にいったことがあるのですね。今日はその時に伺った話。

不二家は1910年に横浜・元町に洋菓子店として開業します。名前は藤井さん(藤井林右衛門)が開業したからとも、「二つとない存在でありたい」という藤井さんの思いからとも、外国人が富士山を連想するから覚えやすいためともいわれています。ショートケーキを考案したのも不二家といわれています。戦後は「ペコちゃん」のキャラクターや「ミルキー」などの大ヒット商品で、一躍大手洋菓子メーカーに飛躍します。

時は下って1980年代、不二家はある悩みを抱えていました。洋菓子総合メーカーとして、チョコレート、キャンディ、ビスケットのそれぞれの分野でしっかりとした柱を作りたいと考えていたのですが、「ミルキー」というキャンディ分野の大黒柱に比べて、ビスケットの分野は他社に後れを取っていました。そこで不二家は社運をかけて、「ミセスガレット」「プチガトー」「カントリーマアム」の3つのビスケット商品を開発します。「カントリーマアム」は今でこそ大ロングセラーですが、3商品のうちの生き残った商品なのですね。

「外はサックリ、中はしっとり」という食感が一番の売りだったのですが、当時アメリカから上陸してヒットしていたお店の焼きたてクッキーをイメージしました。当時の開発者は2人で、毎日100枚以上のクッキーを食べては、ああでもない、こうでもないと試行錯誤を重ねたそうですよ。当時「大草原の小さな家」というアメリカのホームドラマがあって、同作のお母さん役の女優さん(カレン・グラッスル)をテレビCMに起用したのが見事に商品とマッチして大ヒット、現在まで続くロングセラーになります。商品名も「田舎の貴婦人」(カントリーマアム)ですからね。

当時取材して一番驚いたのは、発売から年に1回以上のペースで品質改良を行なっているということです。消費者は気が付いていないだけで、味もだいぶ変わっているそうです。例えば赤福とか、かたくなにレシピを守っていれば老舗は守れるとかそういうわけではなくて、常に改良を重ねていないと飽きられてしまう。しかも必ずしも消費者の味覚のトレンドを追いかけているわけではなくて、常に品質改良を仕掛けているのですな。インタビューした担当部長の方が「外はサックリ、中はしっとり」という食感も、ひょっとしたら変わるかもしれない、とおっしゃっていたのが印象的でした。菓子メーカーではよくある「ブランド拡張」も結構やっていて、チョコレートやアイスなどにも横展開しています。攻めてますね、不二家さん。私は流行に疎いのですが、「チョコまみれ」とかもその例かな。

いま、カントリーマアムというと、小さくなったとか、値上げになったとか、そんな話題で持ち切りだそうですね。どのメーカーも共通していると思いますが、ロングセラーに胡坐をかくことはなく、原材料高にも負けず、果敢に挑戦を続けてほしいですね。

おしまい。

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