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片親疎外症候群

「片親疎外症候群」という言葉を聞いたことがありますか?

本稿では、離婚や別居後に親子関係がどのように複雑になるかを探ります。時には、子どもから拒絶された親に「何もせずに待つこと」を勧める人もいます。しかし、この待機期間が、子どもが親を拒絶するきっかけとなり、深刻な影響をもたらすこともあります。 

親が子どもとの健全な関係を維持するために持つ力と、その力をいかに迅速に行使すべきかについて考察します。子どもと離ればなれになった親に「お子さんは元気ですか?」と尋ねると、「わからない」という返答が返ってくることがあります。この状況は、片親疎外症候群の典型的な例である可能性があります。

この問題を知らない人が親子関係が断たれたことを知ると、自分に親としての重大な欠点があるのではないかと不安になることがあります。拒絶された親は、この問題の本質を理解するまで自分自身を責め続けます。彼らは子どもの拒絶の引き金となった過ちを探し、過去のやり取りを執拗に反芻します。離れた親や子どもは、日常的な言い争いや感情の表現といった、過去の些細な出来事を挙げて、拒絶を正当化することがよくあります。

しかし、これらの出来事は通常、片親疎外が始まった数年前のもので、どんな家庭にも起こり得ることです。それでも、これらの指摘によって、拒絶された親の自己批判は深まります。通常、これほど強烈な個人攻撃はめったに目にしないため、周囲の大人たちは、これを子どもが親を拒絶する合理的な理由として受け入れてしまいます。さらに、離れた親や子どもは、多くの場合、子どもの声を代弁するセラピストや弁護士を味方につけます。専門家が、拒絶された親の行動が片親疎外を引き起こしているわけではないことを見落とし、子どもの拒絶行動を正当なものと見なすとき、専門家も問題を大きくすることに加担しています。

子どもの拒絶が妥当なものなのか、それとも拒絶された親との関わりを再び持たせるべきなのか、判断は時に難しいものとなります。以下の三つの質問が、その判断の指針となり得ます。

(1)拒絶が生じる以前、子どもと別居親との間には通常の健全な関係が存在していたか。
(2)以前の関係が良好であった場合、拒絶された親が子どもに対して行った何らかの重大な行動が関係の悪化をもたらしたのか。
(3)子どもの拒絶的な態度の背後に、同居親の影響があるのか。

特に三番目の問いは、答えを見つけるのが難しいでしょう。子どもが両親間の緊張を乗り越えるために、同居親の意向に従い、別居親と対立することを受け入れるべきだという意見もあります。しかし、この考え方が誤っていることを理解するためには、子どもの人生における重要な移行期を考慮する必要があります。例えば、幼稚園に入園したての頃、家の安心感から離れて教室に足を踏み入れることに抵抗を感じる子どもがいます。しかし、健全な親は、子どもが新しい環境に適応することを支援することが、育児の役割であると理解しています。幼稚園に対する子どもの不安を煽り、幼稚園との適切な関係を築くことを妨げるようなことはしません。

同じことが、離婚する両親と子供の関係にもいえます。別居親を不合理な理由で拒絶する子供の態度を受け入れることは、健全な発達を妨げることになってしまいます。結婚生活が続いているときは、そうした拒絶は決して黙認されないでしょう。子どもが、別居親を拒絶する時、その主張をよく検討せずに受け入れることは、子供が離婚に適用するために果たすべき同居親としての責任を、放棄していることになります。それは子供が。人生の移行期や困難な出来事に適用することを支えないのと何ら変わりがありません。

結婚していた時、父親は家庭より仕事を優先していたかもしれません。そして、そのことに対して、子供は不平をこぼしていたかもしれません。しかし、子供はそばにいてくれなかった父親であっても、愛し続けます。子供は父親ともっと一緒にすごしたいのです。けれども、母親が離婚毒を投与している場合、子供は父親と関係を続けても意味はないと思い込みます。 

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