見出し画像

統合失調症、妄想症

19世紀後半、ドイツのクレペリンが名付けた早発性痴呆症は、1911年にブロイラーによって精神分裂病と改名され、現代日本では統合失調症と呼ばれている。後にシュナイダーが挙げた「一級症状」は以下の通りだ。

  1. 思考化声:自分の考えが反響して聞こえる。

  2. 対話形式の幻聴:複数の人が自分のことを話している声が聞こえる。

  3. 自己批評の幻聴:自分の行動を批判する声が聞こえる。

  4. 身体への悪意:常に監視されたり、命を狙われたりしていると思い込む。

  5. 妄想知覚・関連妄想:無関係なものに妄想的な意味を見出す。

  6. 思考奪取:会話中に自分の考えが突然奪われる感覚。

  7. 考想伝播:自分の考えが周囲に漏れていると感じる。

  8. 「~させられ体験」や被影響体験:他者に自分が操作されているという感覚。

特に6, 7, 8の症状は、自己と他者の区別がつかなくなる自我意識の障害を示している。これらの症状を含む多様な妄想、滅裂思考、緊張病症状、奇異な行動などを「陽性症状」と呼ぶ。

一方で、妄想や幻覚のように目立つわけではないが、エネルギーの低下からくる感情の鈍麻や平板化、意欲や自発性の欠如、疎通性の障害、社会的ひきこもりなどを「陰性症状」と呼ぶ。統合失調症では、「陽性症状」「陰性症状」に加えて、記憶力や注意・集中力などの低下といった「認知機能の障害」も見られる。

妄想とは、患者が病的に確信している考えや信念であり、他者からの訂正が不可能な点が特徴である。一次妄想は事実的根拠を持たず、「自宅を盗聴され、ビデオを撮られている。電波で攻撃を受けている」といった被害関係妄想などを指す。二次妄想は何らかの経験と関わりがある妄想で、「私の病気は罰によるもので不治の病だ」「私が醜いから夫に迷惑をかけている」といった考えを指し、重症うつ病や双極性障害、認知症の併発症状でも認められるものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?