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褒める文化の話

私はアメリカの褒める文化が大好きだ。

人に褒められると、嬉しいし気持ちが良い。

アメリカの人は褒め上手だ。

本当にサラッと、ストレートに、かるーく褒めてくれる。
とても自然に、本音で、馬鹿にした様子や下心もなく褒めてくれる。
例えばクラスで、コーヒーショップで、道端で、電車で、スーパーで。
知ってる人も知らない人も、おじさんもお姉さんも小さい子どももおばあさんも。

例えば、

「その髪型超好き!」

「これどこのペン?すごく書きやすいね!」

「今日のバッグ可愛い!」

「あなたに接客してもらえて良かったわ」

「リップ似合ってる!」

自分のことを褒められるのも、自分の物を褒められるのもとても嬉しかった。
最初は本当に慣れず、とても照れ臭かったのでありがとうと言ってニヤニヤしていた。

一度あるコーヒーショップで飲み物を受け取る時、可愛らしいお姉さんに

「あなたの手、とても柔らかいですね」

と言われたことがある。

その時私は仕事で嫌なことがありクタクタで、なんだかすごく落ち込んでいたのだけれど、お姉さんのその一言で一気に心と体に力が戻ってきたのを感じた。
お姉さんの優しい笑顔と言葉が、表現出来ない程すっごくすっごく嬉しかった。

アメリカの褒める文化に慣れてきた頃、私はまず何か褒められたら相手を褒め返すようにした。
褒められる瞬間は本当に突然くるので、心の準備が出来ず戸惑う事も多くあったけど、頑張って褒め返してみた。
知ってる人も知らない人も、皆みーんな嬉しそうにしてくれる。
小さな幸せの循環を感じた。

自分発信の“褒める”はなかなか難易度が高めだったけれど、それにも挑戦してみた。
接客するお客さんやクラスにいる女の子を褒めてみた。
アメリカの人は褒めるのも上手だけど、褒められるのも上手だ。
嬉しい感情をきちんと出して、喜んでくれる。
その様子を見て私も嬉しくなった。


日本に帰ってきてからも私は“褒める”習慣を続ける努力をしている。
知らない人に声を掛けてまで褒めるのは、さすがに驚かせてしまうこともあると思うので、知ってる人や会話をする人に。

数ヶ月前から働いている銭湯で番台をする時、私は褒める。
お客さんの持っているお財布や巻いているスカーフ、着ているセーターの色を。
すると、お客さんはとっても喜んでくれる。
そうする事で、ただのお客さんと番台のやり取りではなく、ぐっと距離の近い人間同士のコミュニケーションになるのを感じた。

「これ孫が買ってくれたの」

「息子のおさがりだけどね」

「私この色大好きなの」

少し照れくさそうにしながらも、「ありがとう」と言ってくれるお客さんを見て過去の自分を思い出す。
そんな人を見て、自分も嬉しくて幸せな気持ちになる。
そうか。アメリカの人は、人を褒めると自分も気持ちが良いという事を知っていたのかと思った。

人に褒められると気持ちが良い。

人を褒めるのも気持ちが良い。

単純だけど、なんだか人生においてすごく大切で役に立つ事をアメリカで学んだ気がした。


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