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海外のサーチファンド動向が分かる情報源3つ_コラム005

はじめに

このコラムは事業承継先のサーチ活動を続ける筆者が、日々感じたことを徒然に記録するものです。サーチファンドについて体系的に知りたい方はこちらの連載を御笑覧下さい。

サーチファンドは圧倒的に米国先行

サーチファンドは1980年代にスタンフォードGSBで生まれたということもあり、同大学やその後を追うハーバード大学の2トップを中心とした米国発情報が圧倒しています。また米国にはアクセラレータも多く、それらのサイトを覗いてみるだけでも色々と情報が集まったりします。

私は国内限定でサーチャーをしているためこうしたネット情報は勉強以上の意味はあまりないのですが、先行者のフィードバックは海外発でも参考になるものが多いです。何より、2010年代半ば以降は世界各国でサーチファンドの実証実験をしているような流れが続いており、そういった意味で"仲間"の動向チェックをしたいということもあります。

ということで、今回は私が普段みているWEBサイトなどをご紹介します。

①スタンフォード大学GSBのサイト

サーチファンド発祥だけあって、同大学のサイトはダントツで充実しています。また実際のサーチファンドの事例を資料にまとめた個別のケーススタディも、2020年の1年間だけで6件アップされており、次に充実しているハーバード・ビジネススクールが同じ期間にアップした1件と比べて違いが分かります。

ちなみに個別のケーススタディはThe Case Centre に登録すれば、購入できるものも多く(1ケースたいていは£6.45≒1,000円で、PayPalもしくはクレジットカードで購入ダウンロード可能)、実際に世界中のMBAの講義で使われているのもスタンフォードかハーバードのケースであることが多く、こうした資料を読み込めば、MBAで学んでいる学生と(サーチファンドという点だけに絞れば)それほど遜色ない知識を得られるはずです。

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②アクセラレータのサイト

優秀なサーチャーをどれだけ集められるかが、サーチファンド・アクセラレータの成否を分けるため、ウェブサイトにはサーチャー"候補者"向けの情報が充実しています。

こちらの Endurance Search Partnersというアクセラレータのサイトには、有名MBAのサーチファンド関連のHow Toガイドやビデオ動画、新聞や雑誌の記事など沢山のリンクが貼られています。

リンク先の多くが入門編的な内容で、これらにざっと目を通してみるだけでも基礎的な内容は学べると思います。

例えばリンクの1つ「Isn’t it risky to put someone with no track record in Charge?(未経験者に経営を任せるのはリスキーでは?)」はYouTubeにアップされている動画です。Pacific Lake Partnersという有名アクセラレータのパートナーがFAQ自分の考えを述べているを視聴できます。

またSFA Seaech Fund Acceleratorというサイト、トップの「Be a CEO」という表現はなかなかインパクトあります。

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このサイトは、サーチファンド関連の情報や説明がそれほど充実している訳ではありませんが、下記のように2020年に契約したサーチャーが顔写真付きで紹介されていたりと、まさに「顔」がみえるサイトになっています

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③コミュニティサイト "Searchfunder" 

サイト上に世界のサーチファンド関係者向けの情報を集約し、サーチャーや投資家が出会ったり、現在売りに出ている企業の情報が登録されていて、コンタクト取ることが出来たりと、サーチファンドの投資実行までに必要なネットワーキングが出来るようになっています。

具体的に投資家や企業にコンタクトを取ったりするには有料になっており、クレジットカードを登録する必要があります。例えば以下のような画面。

売りに出ているサイト

上記右側のEコマース企業はアパレル雑貨屋のようです。Revenue(売上)が$4,750,668ですから5.2億円(1㌦=110円換算)、EBITDAは1.6億円です。サーチファンドのEV/EBITDA倍率は3~5倍が相場と言われており、企業価値は4.8~8億円といったところでしょうか。具体的な企業名など詳細を知りたければ「See deal $2」で、クレジットカードを登録して2ドル支払う必要があります

現時点(2021年6月)では日本の企業などは登録されていないようです。私も一度登録した後、あまり内容を精査していないのですが、世界にどんなサーチャーが活動していて、どんな投資家がいて、どんな企業が売りに出ているのか、実例を知ることが出来る貴重なサイトです。有料ではありますが、こうした情報に自分のネットワークだけでアクセスすることを考えればお得な値段設定だと思います。

#サーチファンド #事業承継 #経営承継 #searchfund #entrepreneurshipthroughacquisition #ETA

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