見出し画像

いつまで投資先の経営に携わるの?_サーチャーへの質問⑦_コラム033

はじめに~久々の投稿です~

先回の投稿からずいぶんと時間が経過してしまいましたが(約2か月くらい)、これから徐々に投稿再開しようと思います。

おかげさまで今年7月~10月に行われたセミナーには多くの方にご参加頂き、㈱サーチファンド・ジャパンや私が普段行っている活動について認知頂く機会となりました。

現状は行っていませんが、また折をみて(ファンドの皆さんとも相談して)開催することになると思いますので、その際にはご案内いたします(ご興味ある方、お申し込みをお待ちしています)。

ということで、セミナーで繰り返しいただいた質問への回答を文章として残すシリーズをもう数回投稿してみます。当日説明しきれなかった要素も補足しております。

今回はサーチャーCEOの在任期間についての大事なポイントです。イグジットを前提にするファンドですから、それがどのくらいの時間軸になるのかというのは避けて通れない論点です。

画像1

よくきかれる質問 :いつまで経営に携わるの?

これもよく質問されたポイントでした。

サーチャー(買い手側)よりも、オーナー経営者様/FAアドバイザリー様(売り手側)からのご質問が多いように思います。

サーチ「ファンド」とういう以上、ファンド(投資家から集まった現金)を運用して=増やして、出資してくれた投資家に再び戻す必要があります。現金を投資先の株式に換え、株式価値が上昇したら再び現金に換え(イグジットして)、その現金を投資家に戻すという流れで、個人がネット証券経由で行う株式投資と基本的に同じです。

答え:「ファンドが投資先の株式を持っている期間中が、サーチャーCEOの在任期間なのですが、何年間務めるという決まったスパンが事前には決まっている訳ではありません。ただし、ある程度の目安はあり最低5年が目安です。」

ちょっと長くなりましたね。

5年後に必ずイグジットすると確定させてスタートする訳でありませんので、そのあたりの事情を補足すると説明が長くなってしまいます(少々分かりにくいかも知れません)。

これはあくまでも目安です。なぜ「目安」としか言えないかというと、5年という期間がイグジットするのに最適な時間軸かどうかは、その後の経営状況やファンドの運用状況によって変わってくるからです。あくまで目安として5年間を下限として、少なくともその間は投資先の経営に専念することを事前に取り決めます。

実際には5年後のオプションはいくつかありますが、サーチャーCEO本人によるMBO(マネジメント・バイアウト)によるイグジットというものもあります。

一方でMBOは5年後に必ず実行しますと確約出来ないのが実情です。例えば、売り手側となるファンド(投資家)との交渉がどうなるのか、何よりサーチャーCEOによるMBOの資金はどこから調達するのか。これらが決まらないとMBOというゴールを確定させることが出来ません。

またこの点は、サーチャーCEOによって意見がバラバラのように思います。実際、知り合いのサーチャー仲間にも「投資先には期限を決めずに携わりたい。ファンドがイグジットしても自分は残りたい」と明言される方もいらっしゃいます。逆にファンドと共にイグジットして、その後別の企業の承継を目指したりという方もいるでしょう。何より、投資先の業績・リターンはかなりマチマチになると思われ、その結果によって取れる選択肢が大きく変わるでしょう。

画像2

海外では保有期間は7年?

残念ながら、そしていつも通り、私を含めた日本においてはこのトピック(サーチャーCEOは何年在籍し、イグジットはいつになるのか)を一般論的に話せるほどの事例がありません。

こんなときの頼みの綱、海外ビジネススクールの文献を最後にみてみましょう。シカゴ大学のBoothビジネススクールによる2016年の「買収型起業の進化」というレポートから抜粋します。

サーチファンドが買収した企業の平均保有期間は7年で、一般的なプライベート・エクイティの保有期間よりも長く、強い資産を長期的に保有しようとする投資家の意欲を反映しています。しかし、出口のタイミングは大きく異なり、最終的には取締役会とサーチャーCEOに委ねられます。この決定に最も影響を与える要因は、市況と投資家のプロフィールです。通常、機関投資家が多いサーチファンドは、一定の期間内にリミテッド・パートナーに資本金を返還しなければならず、5~7年以内に何らかの流動性イベント(株式を現金に換えること)が発生します。一方、より柔軟な資本を持つファンドは、無期限に保有することができます。最も高い業績を上げているいくつかのケースでは10年以上保有しているものもあります。 出展:"THE EVOLUTION OF
ENTREPRENEURSHIP THROUGH ACQUISITION" (Chicago Booth Business School, 2016 )

買収した企業の平均保有期間は7年」という記述が出てきました。

他の情報源をあたると少し異なる数字が出てくると思いますが(以前そういう数字をみた記憶があるのですが、出所元がどこだったか覚えておらず・・・)、一般的なPEファンドよりも保有期間が長いのは恐らく事実だと思います。そして、これからの日本においても保有期間が長めになるのは恐らく同じだと思います。少なくとも私の知り合いのサーチャーの話などをきいていると、平均7年よりもっと長くなる可能性があるでしょう。

画像3

SNSでも発信しています

Facebook: /takashi.oya.104
ツイッター: @Oya_SearchFund

#サーチファンド #事業承継

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?