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雑誌記事索引紹介「ナオミ・クライン」

6月のNHK『100分de名著』で取り上げた書籍は2007年(日本版:2011年)に出版された『ショック・ドクトリン』でした。今回はその書評と著者でカナダ生まれのジャーナリストであるナオミ・クラインさんに関連する雑誌記事索引を紹介します。
※過去の索引紹介は大宅壮一文庫HP内でも紹介しています。
※ご希望の記事のコピーを取り寄せることができます。詳しくはHPの資料配送サービス案内をご覧ください。
『ショック・ドクトリン』の書評です。
No1
書評
覇権国家アメリカの凋落~〈9・11〉10年の現実~ 「自由」の劇薬がもたらす破壊と荒廃 ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』に寄せて
執筆者 西谷修
雑誌名 世界
発行日 2011年10月
ページ 112-125
『ショック・ドクトリン』の日本語版には副題があり「惨事便乗型資本主義の正体を暴く」となっています。地震や津波などの自然災害、クーデターやテロや戦争などの惨事に人々は大きなショックを受けます。政治家や市場主義者はそのショック状態を好機ととらえ、これに便乗して復興の名のもとに普段はできなかった過激な経済政策を進めてしまいます。ナオミ・クラインさんはこれらの政策を精神科医が執り行うショック療法のように捉え、その事例をいくつも上げて解説しています。
No2
書評
Book Review ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン(上・下) 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』岩波書店 市場主義者の謀略に満ちたカラクリを看破
執筆者 中尾茂夫
雑誌名 週刊エコノミスト
発行日 2011年11月22日
ページ 58-59
過激な政策に用いられたのは経済学者:ミルトン・フリードマンが提唱する「新自由主義」です。
2005年ニューオリンズがハリケーン・カトリーナに襲われた時には、復興した後でも多くの低所得者が住みづらい街になってしまいました。以前から低所得者の住む地域の公営住宅は整備や補修が必要とされていましたし、インフラや教育の面で公共サービスが不可欠でしたが、ハリケーンによって壊滅的な被害を受けます。
市場主義者たちは市民がショックを受けているそのすきを狙ってきます。大きな利益が出ることを理由として建物が倒壊してまっさらになった土地に、公営住宅を建て直すのではなく新たな高級住宅を建設し、その地域の公共サービスを端から民営化しました。社会保障を必要とする低所得者は大きなダメージを受けました。
また2001年に起きた9.11の同時多発テロの後には街中に監視カメラが多数設置されました。普段は監視されることを好まない市民も、「街にテロを計画する犯罪者が多数いる」「監視カメラが必要だ」と言われると、そうかもしれないと思ってしまいました。その時設置されたカメラは3000万台。「テロとの戦い」をスローガンに国民の支払った税金は民間企業に湯水のように流れていきました。
『エコノミスト』2011年11月22日号で中尾茂夫さんはこの本を「政治と経済にまたがる至上主義者の担った謀略に満ちたカラクリを描く迫力に満ちた筆致に、政治経済学の本領を見る思いがする」と絶賛しています。
No3
書評
AERIAL BOOK 読まずにはいられない 民主主義の下で格差が広がる理由 ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』岩波書店
執筆者 森永卓郎
雑誌名 AERA
発行日 2011年11月07日
ページ 66
大変恐ろしいのは、『AERA』2011年11月7日号で森永卓郎さんも指摘していますが、このような経済政策が民主的な選挙が機能している国でさえ起こるということです。「規制緩和」「民営化」「社会保障の削減」といった政策の必要性を極めて論理的に解説され、気が付くと弱者を切り捨てるような政策を受け入れてしまうことがあるようです。
No4
書評
Bookwormの読書万巻 ベストセラー街道をゆく! ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』岩波書店 コロナ拡大という“国難”に視界を曇らせない…
執筆者 倉本さおり
雑誌名 週刊新潮
発行日 2020年03月26日
ページ 128
『週刊新潮』2020年3月26日号では『ショック・ドクトリン』が5年ぶりに重版されたことが記載されています。きっかけは新型コロナウイルスです。『ショック・ドクトリン』には日本の事例は取り上げられていませんでしたが、災害大国であり、パンデミックがあり、隣国に軍国主義の国家がある日本でもショック状態はいつ起きても不思議ではありません。担当編集者は「本書は冷静に物事を分析するための武器になり得ると思う」と語っています。
かつて大宅壮一は「一億総白痴化」と言ってテレビを批判しましたが、本書は人々が冷静でなくなるのはいつか、冷静でない時にどのようなことを注意すべきかを指摘しています。ショック状態の中で正しい政策がとられているか読者自身が判断できる一冊です。
『ショック・ドクトリン』の書評、その他です。
No5
書評
書闘倶楽部 この本はこう読め ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』岩波書店 惨事便乗という弱肉強食の資本主義
雑誌名 SAPIO
発行日 2011年12月28日
ページ 77
No6
書評
クーリエ・ビス Books ヨコモジ書評 ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』岩波書店 左派ジャーナリストが自由主義経済の横暴を断罪する
雑誌名 クーリエ・ジャポン
発行日 2011年12月
ページ 94
No7
書評
Books&Trends Review ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』岩波書店 ネオリベラリズムがもたらした荒涼たる世界
執筆者 中岡望
雑誌名 週刊東洋経済
発行日 2011年11月12日
ページ 114
ナオミ・クラインさんに関連する雑誌記事索引、その他です。
No8
書評
話題の本 ナオミ・クライン『地球が燃えている 気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』大月書店 困難だが、まだ間に合う 温暖化阻止への熱い檄
執筆者 橋本努
雑誌名 週刊東洋経済
発行日 2021年03月20日
ページ 100
No9
書評
きんようぶんか 本 ナオミ・クライン『地球が燃えている 気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』大月書店 地球の危機への提言 鍵は「正義」の感覚
執筆者 高原到
雑誌名 週刊金曜日
発行日 2021年01月08日
ページ 55
No10
対談
違う世界に通じる入口へ 誰ひとり取り残さない ※聞き手:アサド・レーマン、不可視化される人びと,資本主義の脆弱性,ファシズムの国際主義,共同のビジョンを紡ぐ,他
執筆者 ナオミ・クライン/アルンダティ・ロイ/アサド・レーマン
雑誌名 世界
発行日 2020年09月
ページ 29-40
No11
書評
きんようぶんか 本 ナオミ・クライン『NOでは足りない トランプ・ショックに対処する方法』岩波書店 ケーキを食べて攻撃を命じる 異形の大統領に対峙する力作
執筆者 戸田清
雑誌名 週刊金曜日
発行日 2018年10月19日
ページ 50
No12
気候変動…人類最大の脅威にどう立ち向かうか “今そこにある明白な”危機 気候変動の脅威から目をそむけてはならない
執筆者 ナオミ・クライン
雑誌名 世界
発行日 2015年12月
ページ 64-73
No13
インタビュー
いのちか、金か 気候変動市民運動の展望 ナオミ・クラインに聞く ※化石燃料企業からの資本引き揚げ運動、赤木昭夫による解説あり
執筆者 ナオミ・クライン/メイ・ボーヴ
雑誌名 世界
発行日 2015年05月
ページ 118-128
No14
世界恐慌は回避できるか? ウォール街を占拠せよ 世界で今いちばん重要なこと
執筆者 ナオミ・クライン
雑誌名 世界
発行日 2011年12月
ページ 124-128
No15
インタビュー
神と運命に見捨てられた国 Q&A 作家ナオミ・クラインが語る国民不在のハイチ支援の危うさ 「災害資本主義の搾取を許すな」
執筆者 ナオミ・クライン
雑誌名 ニューズウィーク日本版
発行日 2010年02月03日
ページ 39
No16
ナオミ・クライン講演録 もうひとつの可能な世界 弾圧から蘇る希望 ※訳者・安濃一樹による解説あり
執筆者 ナオミ・クライン
雑誌名 世界
発行日 2007年12月
ページ 129-140
No17
台頭する災害資本主義 ※「(津波は)我々に大きな利益をもたらしてくれた素晴らしい機会」(コンドリーザ・ライス) 「復興」という名の「洗練された植民地主義」
執筆者 ナオミ・クライン
雑誌名 世界
発行日 2005年08月
ページ 85-90
No18
バグダッド零年 ネオコンのユートピア幻想に奪われたイラク イラク武装抵抗勢力の増大を招いた最大の原因は何か?女性ジャーナリストが斬るイラク戦争最前線!
執筆者 ナオミ・クライン
雑誌名 世界
発行日 2005年01月
ページ 230-244
Copyright (C) OYA SOICHI LIBRARY 2023

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