大宅壮一文庫索引班の日々困惑日記(2)「織田信長って他殺?自殺?」問題
大宅壮一文庫の雑誌記事索引は大きく分けて人名項目と件名項目に分かれています。雑誌記事が多い人物については人名の箱を個別に作り、そこにその人の記事を入れていくというイメージです。
さらに、人名索引についてはその記事の内容に応じてキーワードを付記しています。例えば“趣味”“恋愛”“ファッション”“家”など、その数は21。このキーワードをつけることによって、例えばある人物が趣味の釣りの話、読書の話、音楽の話をしていた時、雑誌記事のタイトル中に「趣味」という言葉が入っていなくても、趣味関連の記事をまとめて検索することができるわけです。
その人名キーワードの中に“訃報”があります。死亡記事、葬儀・法要の記事などの時に付記するのですが、死因が事故や事件に巻き込まれた場合は“受難”というキーワードを、自殺だった場合は“自殺”というキーワードを併記しています。
新しい訃報記事はいいんです。たいていの場合死因は記事に書かれていますから。問題は歴史上人物の場合です。
本能寺の変で死んだ(とされている)織田信長って、他殺ですか?自殺ですかね?明智光秀に襲撃されたのだから、とりあえず“受難”のキーワードは付記することにしよう、でも、最期は自害したらしいじゃないですか。だとしたら自殺じゃない?じゃあ“自殺”も付記しておく?でも、武将の自害は自殺って考えていいの?
っていうような話し合いを索引班の中でするのですよ、真面目に。歴史上人物、特に戦国など乱世の時代の人の死因なんて謎も多いし、死の概念も違うでしょうから、現代の基準で決めることは無理があると思うのです。
でも、キーワードはちゃんと付記しなきゃいけない。とりあえず“自殺”を付記するのはやめておきました。あ、でも「織田信長は自殺した!」という記事タイトルだったら、“自殺”も付記しますよ。だって雑誌がそう言っているんだから。(ぐるぐるねこ)
※(1)(2)は2020年「図書館総合展」Onlineで掲載した分を加筆・採録しました。
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