空也上人立像に関する雑誌記事索引紹介

現在、東京国立博物館で「特別展 空也上人と六波羅蜜寺」が開催中です。唱えた「南無阿弥陀仏」が6体の阿弥陀如来になった姿を現した「空也上人立像」は社会の教科書にも載っている重要文化財です。今回は、「空也上人」に関連する索引を紹介します。
※掲載内容は大宅壮一文庫HP内の雑誌記事索引紹介と同一記事です。
※今回紹介した索引の雑誌記事のコピーをご希望の場合は、遠隔地の方は資料配送サービスで取り寄せることが出来ます。 どうぞご利用下さい。
Web OYA‐bunkoで検索した最新から2件目の『芸術新潮』2021年12月号が、今回の展覧会の紹介や空也上人像の解説がよくわかる記事でした。

No1
これだけは見ておきたい 2022年美術展 市聖・空也上人のリアルとレジェンド 「特別展 空也上人と六波羅蜜寺」東京国立博物館
雑誌名 芸術新潮
発行日 2021年12月
ページ 70-71

この記事によると空也上人は延喜3年(903年)生まれ。出自は不明です。21歳頃に尾張で見習い僧になり空也と自称。46歳のとき比叡山延暦寺で「光勝」の名を得るが生涯「空也」と名乗る。京都では疫病や貧困に苦しむ人々を扶け、井戸掘削など社会事業も展開し、48歳で六波羅蜜寺の前身である西光寺を開創。70歳で入滅した、となっています。
「空也上人立像」は運慶の4男・康勝が製作。空也上人の死から200年ほど後に作られたものだそうです。康勝はリアルな造形が特徴の「慶派」と言われる仏師の流派で、「空也上人立像」は今にも歩き出しそうな雰囲気を持っています。
展覧会では像の後ろにも回れる展示になっていて360度鑑賞できますが、記事の写真も背中から写したものが掲載されています。背中の衣には、服の折れ目が際立って表現されています。東京国立博物館 研究員の皿井舞さんによると、元の衣の材質は革製で、慶派の写実性がよく表れている部分だとのことです。
国宝級の像ですが、雑誌記事索引では割と軽く扱った記事を見つけることができます。
『オール読物』2010年8月号では柴門ふみさんのエッセイに「妖しい仏像」の1つとして紹介されています。

No2
特集 京都の魔力 京都の仏像は妖しいのだ ※東寺、三十三間堂、広隆寺の弥勒菩薩像、永観堂のみかえり阿弥陀、泉涌寺の楊貴妃観音、神護寺の薬師如来立像、六波羅蜜寺の空也上人像など
執筆者 柴門ふみ
雑誌名 オール読物
発行日 2010年08月
ページ 272-277

また『週刊大衆』2021年4月5日号の連載「日本史ミステリー捜査隊」では出自不明なことから醍醐天皇の落胤だった可能性や、その関連で「皇室が活動支援した説」まで掲載されています。
No3
卑弥呼から坂本龍馬まで1600年の謎を解く! 通説を覆せ!日本史ミステリー捜査隊 441回 念仏の始祖と称される伝説の僧侶 空也上人に「皇室が活動支援」説!
執筆者 跡部蛮
雑誌名 週刊大衆
発行日 2021年04月05日
ページ 110-111

さすが『週刊大衆』です。空也上人さえゴシップ的な視点で捉えていておもしろいですが、この記事の中で、没後に源為憲が記した書物「空也上人誄」についてふれています。展覧会でも一部展示されていますが、この「空也上人誄」に「天禄3年(972年)9月11日、空也上人、東山の西光寺に没せり」と書かれ、末尾に「行年70」とあることから生まれた年は逆算して延喜3年(903年)とした、とあります。出自不明なのに生まれた年が分かるのはこのためだ、という説明は探した限りこの記事にしか掲載されていませんでした。
索引を見て驚いたのは、「空也上人像」というのは1体ではないということです。

No4
グラビア
ニッポンの神仏 52回 愛媛県松山市 もう1体の空也上人像に出会う 自らの名を捨てた「念仏の始祖」が目指したものとは ※浄土寺
執筆者 白洲信哉
雑誌名 週刊ポスト
発行日 2011年04月08日
ページ 166-167

この『週刊ポスト』2011年4月8日号の記事によると愛媛県の浄土寺にも「空也上人像」があり、国指定重要文化財となっています。写真ではやはり口から6体の阿弥陀仏が現れた像になっていますが六波羅蜜寺の像とは表情がずいぶん異なっています。
 「空也上人」に関連する雑誌記事索引、その他です。
No5
インタビュー
仏をたずね、京都・奈良へ 惹かれる理由は人それぞれ、会わずには帰れない京都の仏像 8人に聞いた、「京都では、この仏さまと過ごしたい」 麻生圭子さん [六波羅蜜寺・空也上人像]
執筆者 麻生圭子
雑誌名 クロワッサン
発行日 2017年04月25日
ページ 30

No6
大ブーム! なぞるだけでストレス解消 京都の仏像なぞり描き ※田中ひろみ『京都の仏像なぞり描き』より「阿弥陀如来立像」「空也上人立像」「如意観世音菩薩半跏像」
執筆者 藤後野里子
雑誌名 サンデー毎日
発行日 2017年01月15日
ページ 165-171

No7
グラビア
美を見て死ね 83回 康勝 薄いゾーリの上で ※「重文 空也上人立像」六波羅蜜寺蔵
執筆者 堀越千秋
雑誌名 週刊朝日
発行日 2015年10月30日
ページ 141

No8
グラビア
気鋭の万葉学者が案内する温故知新の仏像の見方 ほとけを旅する 14回 市井に生きるということ 空也上人像 京都府・六波羅蜜寺
執筆者 上野誠
雑誌名 週刊新潮
発行日 2015年08月20日
ページ 186-187

No9
ならべてみればナルホドわかるアート特集! 日本美術×現代アート ※康勝「空也上人像」とヤノベケンジ
雑誌名 BRUTUS
発行日 2002年09月01日
ページ 40

No10
グラビア
癒しの旅 古仏巡礼 12回 六波羅蜜寺・空也上人立像 声を形にした彫刻芸術としての革新性に感嘆
執筆者 山本容子
雑誌名 週刊現代
発行日 1998年08月01日
ページ 18-19

最初に紹介した『芸術新潮』の記事には「現世の苦しみをやわらげ、後世はともに浄土へ行かん。いにしえのスーパースター、空也上人が京の六波羅からお出ましに!」と書かれています。この数年、感染症が流行り苦しんでいる人も多く、何かを頼りにしたくなる昨今、空也上人はスーパースターと言っても大げさではないかもしれませんね。
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