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ねこのとなりでかんがえる その後|2024.5/12

ぶちちゃん(性別は分からないけどそう呼んでみる)に会いに、1月ぶりに連れていってもらった。


1月時点では口内炎のせいで涎が止まらず、しんどそうな姿にもう会えないだろうと思っていたけれど、この子のファンの方がお世話をしてくれて調子が良くなったと、3月に猫の展示を一緒にしたharuさんが教えてくれたのがきっかけだった。

ぶちちゃんがまだとても調子の悪かった1月、私のところに寄ってきて「にゃー」と鳴いたあの時、勝手に一人悲壮感の中に潜って悲しい気持ちになっていたけれど(今だから思う)この子はたくさんの人に愛されていた。
haruさんがこんな風にお世話してもらっているよ、元気になっていたよ、と写真を送ってくれた時、とても嬉しかった。嬉しかったというのは烏滸がましいけれど、本当によかったと心から思った。

なんとかしようと動いてくれた人たちがいることがすごいことだと思うし、自分はそうあれなかったから尊敬しかない。

ぶちちゃんのいる場所に向かう途中、会えるかなと少しどきどきした。
到着してはじめは姿が見えなかったものの、水飲み場からさっと出てきてくれてわあ!となる。
なんだか心なしか小さくなった気がした。

私が久しぶりだねと顔を覗き込むと、腕に向かって擦り寄ってきてくれて、撫でたら目の前でごろんとお腹を見せてくれた。
あくびした口の中はまだ赤くて、確かに口内炎は治りきっていないようだったけれど、前よりも調子は良さそうだった。
耳の淵や手足は相変わらず汚れてしまっている。匂いもする。
背中を撫ぜると背骨のボコボコがはっきりとわかった。1月にも撫でたけれど、こんなに痩せていただろうか。
毛ももっとふわふわしていたから分からなかったのかな。
今日よりも恐る恐る触っていたのもあったかも。

鼻詰まりがあるのだと思うけど、甘えながら時折グフッと言う。
それでも嬉しくて可愛くて、終始話しかけながら撫で続けた。
途中ざらざらとした地面に耳を擦り付けるために、瘡蓋のようになってしまったところから出血してしまって焦ったけれど、本人は痛くはないようだった。
haruさんにもらった紙ナプキンで拭ってなるべく綺麗にする。
ビニールのがガザガザという音に、可愛い声でご飯をくださいと鳴いた。
他の野良猫も寄ってきた。みんなお腹が空いたよね。
haruさんが申し訳ないという声で「ごめん、ごめん」と言う。
私はぶちちゃんにビニールの匂いを嗅がせた。食べ物じゃないよと分かってもらうために。

そんなやりとりを少ししていたら、諦めたのか水飲み場に行って水を飲み始めた。
結構長く飲んでいた気がする。そのあたりも心配になった。
(猫は水を飲まなすぎるのもいけないし飲みすぎてもいけない。)

水を飲み終えて、仲間と同じように地面に座る。
「またね、ぶちくん」と言うとちょっとムッとしたように見えたので、
「ぶちちゃん」と付け加えた。
ぶちちゃんとこんなに触れ合ったのは初めてだったので、家にいる小雨の姿が重なって見える。ぶちちゃんは綺麗な黄色の目をしていた。

服やズボンに付いたぶちちゃんの毛や汚れを拭きつつ、本当はそんなの気にしないで撫でまくりたいのにと申し訳なく思う。
でも家に何か持ち帰らないためには大事なことだから複雑な気持ちだけれどちゃんと拭き取った。

家に帰った後は、小雨と盆と会う前に服は洗濯、私はお風呂に入って、靴にはアルコール消毒を徹底する。

盆ちゃんが8kgなので小雨を小さく感じていたけれど、背中の肉のつき方がぶちちゃんとは全然違う。野良猫の過酷さを思い知った今日だった。
でも会えて本当に嬉しかったなあ。

今、13日の午前3:37。結構な雨が降っている。
ぶちちゃんがちゃんと雨宿りできていますように。


ぶちくん、ぶちちゃん。こっちを見てくれた。



ぶちちゃんに会ったあと、1月に会った綺麗な長毛の白猫を見かける。冊子にも写真を載せた子だ。あの時、撮っていいよと言う感じで前に出てきてくれたそのきれいな白猫は、今日はとても調子が悪そうにじっとしていた。仲良しだというキジトラは近くにいない。

地域猫や野良猫たちを見つめるharuさんが言っていた、命との距離について今回も考えずにはいられなかった。


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