はやかって

ロシア軍のウクライナ侵攻ですっかり吹き飛んでしまいましたが、今週、滋賀県民の間で話題沸騰になったニュースがありました。

コストコ、東近江出店の方針(2022年2月21日 滋賀報知新聞)
東近江市に会員制スーパー「コストコ」 滋賀県内で初出店へ(2022年2月21日 NHK)

うちの家族の会話でもコストコが話題になりましたが、「出店時期はいつか」という話で母が

 [はや]かって にせん[に]じゅー[よねん

と言っていました。

「早かって」という活用形は関西特有のもので、共通語だと「早くて」に相当します。「早くて」を関西弁に訳したら「はよーて」になるというのは関西以外の人もイメージしやすいと思いますが、実は「はやかって」という言い方もあるんですよね。
方言文法研究会が出している京都市方言大阪府方言神戸市方言などの文法活用解説でも、形容詞の「過去中止形」として「〜カッテ」は取り上げられています。

「はよーて」と「はやかって」はどちらも「て」に接続する連用形ということになりますが、「はやかって」は「はよーて」よりも「過去の話題」ということを強調する言い方とされます。
例えば「昔、バナナは高くてねぇ」という文を関西弁に訳すと、厳密には地域差や世代差もありますが、大まかに言うと「昔、バナナはたこーて(たかーて)なぁ」と「昔、バナナはたかかってなぁ」の2種類あり、後者の方が過去の話だということがより明確化されます。


と、ここで疑問。「はやかって2024年」って、全然過去の話題じゃないですよね。関西弁の「〜かって」は、単純に「過去中止形」と言い切れないところもあります。
今回話題に出している「早くて2024年」は、「早ければ(早けりゃ)2024年」や「早かったら2024年」などとも言い換えができます。「早かったら」という似た意味の言い方に影響されて「早かって」という活用形が選択された・・・のかもしれませんね。

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