摂津弁

今回は大阪の方の方言の話題です。「大阪の方」と書いているのは意図してです。

私は学生時代以来、かれこれ10年以上ウィキペディアの色々な記事をいじってきました。ちょっとした誤字脱字の修正から始まり、やがて記事の新規作成にも手をつけるようになりました。

作成した記事の一つが「摂津弁」。摂津弁とは、旧摂津国である大阪府北摂から兵庫県阪神間にかけての方言の総称です。

・・・ほんまかいな?

当時は
 「泉州弁」「河内弁」があるなら「摂津弁」もあるやろ、記事作っとかな〜。
ぐらいの気持ちで「摂津弁」の記事を作成しました(ちなみに「大阪弁」「泉州弁」「河内弁」の記事はそれ以前からありました)。

しかし、実際に北摂や阪神間の方言を指す場合には、単に「関西弁」や「大阪弁」と言うことがほとんどだと思います。


今Googleで「摂津弁」と検索すると
 ・大阪府内の泉州や河内との方言の違いを取り立てて説明する場合
 ・阪神間の方言を呼ぶ時に「ここは大阪府やなくて兵庫県やし、大阪弁と呼ぶのはちょっと……」みたいな場合
などに使われているのが見受けられますが、数はあまり多くありません。
しかも、私がウィキペディアに「摂津弁」の記事を作成する以前の期間に絞ると、ヒットするのはたった数件。「泉州弁」「河内弁」は期間を絞っても結構な使用例がヒットするにもかかわらず。

私がウィキペディアに記事を作成したことで、使用実態のほとんどない方言名を、あたかも一般的な名称であるかのように広めてしまったのではないか。

以前「滋賀県の方言には元々『江州弁』という名称があったのに、ウィキペディアに『近江弁』として記事が作成されたせいで、『近江弁』という呼び方が拡散されたのでは」という話題をしたことがありますが、それを私自身がしていたわけです。

これまでも薄々「このまま『摂津弁』の広まりを放っとくのはどうなんやろ」と思いつづけていましたが、YouTubeの方言解説動画で「摂津弁」が使われていたりするのを目にする中で「やっぱり、種を蒔いた者が後始末せんとあかんな」という思いを固め、近江弁の改名も済んで次は、ということで先程ばっさり「摂津弁」の記事を「大阪弁」の記事に統合してきました(賛否募集期間を1週間設けていましたが、結局1件も集まらず)。

阪神間は大阪府ではありませんが、気にせず「大阪弁」と呼べばいいと思うんですよね。大阪の衛星都市・郊外住宅地として発展してきた地域がほとんどですし。神戸の「〜しとぉ」「〜しよぉ」のような「大阪弁とはちゃうなぁ。兵庫の方言らしいなぁ」と感じられる特徴がありませんし(私の認識不足ならすみません)。阪急沿線を中心に「大阪市内ほどコテコテやない」みたいな話も聞きますが、それは方言の特徴というより、共通語化の進み具合の違いですし。

……ほんでも、阪神間の人に「それはそうかもしれんけど、やっぱり大阪と一緒にせんといて」て言われそうやなぁ……。

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