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久しぶりのnote!

こんにちは、ご無沙汰しております。
前回の投稿から9カ月、大分開いてしまいました。
余り代わり映えの無い作業写真ばかりになるので、一旦更新をサボったら途端に更新頻度が下がってしまいました。
常に記事を作る事を頭の片隅に置いていないと難しい・・・。
ブログを続けてる人は凄い(・ω・;)!
取り合えず気が付いた事、代わり映えしない作業写真でも上げて行かないとと思いました(何度目であろう反省

さて、今日は久々という事ですが、ある依頼で作ったスマホケースについてです。
最近また少し手帳型のものが増えて来たように思うので、これはチャンスかも!と密かに思っております。
でも、カービングの本革ケースはどうしても真ん中で綺麗に曲がるようになるまで時間が掛かってしまうので、ホックを付ける必要性があります。
そうなると、頻繁にスマホを使う人には煩雑な物になってしまいます。
マグネットを使う(IC系カードが駄目になりますが・・)とか、革の漉きで上手く曲げ癖をつけるとか、試してみないとですね。

さて、今回のケースは普段から彫っているタイプのノーマルなカービングになります。
デジタルの図案はこんな感じです。
※同じような図案ですが、実際に打っているのは別バージョンです。

携帯のケースを作る際は、カメラの穴位置なんかをきっちり取って、その周りに蔓や葉を配置する事で、オーダーメイド感が凄く出ます。

私は余り書き込みはせずに、最初のカットラインだけがわかるようにしています。何故なら、どれがトレースする線だっけ・・となるからです。
フィニッシュカットまで描き込む事も考えたのですが、その段階だと彫りが入っているので、二次元平面上の図面では想像が出来ません。
刻印の上から入れるカットもあるし、その場の判断と感性で入れた方が結果良かったので、図面は単純なものです。
それ故、私の作品は同じ図面でもカットの入り方が違います。

ーーー<余談です>ーーー
こういう再現性の無い作品を商品にしてよいのか、という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょうし、正直私もそれは迷います。
ただ、同時に、以前作ったものと全く同じになるように作るという、コピーするような作業が果たして「彫り」という作品にとって良い事なんだろうかとも思うのです。

私は元々機械加工の仕事に就いていて、同寸法で同荒さの製品を作る事をしていました。ある意味で、一番再現性を求められる仕事だと思います。
今、機械加工の現場では人間の手ではなく、マシニングと呼ばれる完全自動切削が主になっています。
人間の手よりも遥かに寸法上は精密に作る事が出来ますし、同じ機械で作ると全て同じように出来ます。その上、時間で言えば誇張は無しで30倍は早いです。物によっては100倍早いかもしれません。
そんな業界で、私は手動の方(フライス盤)の工員をやっておりました。
プログラムを組めば、服や手を汚さずに圧倒的な速さで作ってくれる機械を横目に作業しながら、人間の力で作る事の利点や意味をずっと考えてきたという経緯があります。

ですので、人間が作業するのに、ただただそっくりそのままコピーする、という作業に思う所があるのです。
これはハンドメイドの物に限った話かもしれませんが、再現やコピーといった作業の過程で、人間が作っている意味が薄れていくんじゃないかと恐れているというべきでしょうか。
(再現性やコピーを否定している訳ではありませんので悪しからず・・)

全く同じ位置に同じ深さの線があり、全く同じ強さで打刻をしていく、という再現性の高さを目指すよりも、揺らぎがあったとしても、培った技術や感性を駆使して最終目標とするクオリティを目指す事で、自動的に同じような製品が出来る、という事を優先しています。

勿論基本的な図面は同じですし、打刻の種類も同じです。具体的には、花の凹凸とフェニッシュカットのラインが違います。

※尚、実際の商品ページでは、販売するその物の写真を毎度掲載しなおしておりますので、写真と実物が違う事はありません。御安心下さい。
元々機械加工員ですから「これ、全く同じじゃないな・・」というのは、本人が人一倍気にしてます(汗

ーーー< 余談ここまで >ーーー

話がそれましたが、この図案を革にトレースします。
私は革を濡らして、サランラップで巻いて、その上に図案を張り付けて、その上をボールペンでなぞっております。
何一つ専門の道具を使っていない(汗

耐水のトレースペーパーを使い、鉄筆を使ってなぞるのが良くある方法だと思います。それはそれで悪くはないのですが、私はトレースに下手したら30~40分かかるので、合間に革を濡らさないといけなくなります。
そうすると、図案がズレたりするんですよね・・・。
鉄筆は滑りが良すぎて図案の上で滑ったり、図案に跡しか残らないので、どこをトレースしたかわからなくなって写し残しが良く発生します。

その点、サランラップを巻くと、大分長い時間水を保持してくれる上に、手の汚れも移らない!
ただし、弱点もあって、ずっと湿っている事で革の繊維がふやけてしまう事があり、そうなるとカットの時に綺麗に刃が入らなかったりします。この辺りは何かしら良い方法を模索したいところではありますね・・・。

さて、お次は輪郭のカットです。
カットワークは常に課題です。
私はデザインにおいて「正円に見える事」を重視するので、どうしても蔓の最外周部は超慎重になります。
強弱とか全然出ません、不器用というかビビりというか・・・。


お次は図案自体の輪郭線と、花の輪郭線をチェックのベベラで打ちます。

カービング中で好きな段階その1です(´ω`)
アールヌーヴォーを思わせる輪郭線の太さに変な満足感を感じます!
何ならカットをもうちょっと考えたら、この状態で作品を作っても良いかも、なんて思ったりもします。

私は図案全体の輪郭はチェックの刻印でベベラを使うのですが、これをすると正面から見た時にも陰影を感じられるのが好きで好んで打っています。
以前はベベラ打ちはフラット・チェックで固定してたのですが、それぞれに良い点があるので、勿体ないなと思って使い分けするようになりました。

チェック:革のタンニン成分が茶色くなるので、打刻ならではの陰影が出る
フラット:革をプレスしているので、シボが無くなって光沢が出る

カービングに使う革は、フルベジタブルタンニンのヌメ革しか使わない、ある意味で最上級の革なので、それ自体が持つ特性を折角なら活かしたいのです。
これを使い分けると、見る角度によって違う表情が出るようになります。
彫り物なので、いろんな角度から見る楽しみは元々ありますが、これをすると、より色んな表情が見られます!
皆様もカービング製品を手に取ったら、クルクル回したりしながら見るとより「良さ」を感じられると思いますので、是非やってみてください!

カービング後の画像になりますが、真上と斜めではこれだけ表情が違います。


真上から
斜めから

真上から見ると平面の絵のような表情が見られて、斜めにすると彫り物の印象がぐっと強くなりますね。
カービングの「ここ見て!」な部分は沢山あるので、今後も記事の間に挟めたら良いなと思っております( *´艸`)

比較画像を張り付けたところで今日の記事はここまで!
余談も挟みましたが、お付き合いくださってありがとうございました。

次回はフラットのベベラ打ちから染色終わりまでを記事に出来たらなと思っております。
良ければまた見に来てください!

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