OWCモノローグ) キスの距離 by ササキタツオ
彼女を目の前にして俺は怯えていた。
キスをするか、しないか、それが問題だ。
大丈夫だ、怖気づくな。
夜の公園、人通りもまばらな中、いま目の前にいる彼女は瞳を閉じていて、
こちらに顔をそっと向けている。
これは、合図だ。間違いない。
彼女は俺を求めている。
だが、俺には自信がなかった。
昼飯にニンニク増量の餃子をお腹いっぱいに食べたことを、いまさらながら後悔した。
今になって口臭が気になる。臭くないか。きっと臭い。彼女に臭いと思われたくない。
でも、ダメだ、ここで弱気になる