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無料部分しか読まない人

週刊誌でスキャンダル記事が出ると、ネット上でその話題に関する議論が盛り上がります。いろいろな人がSNS上で自分の意見を言ったりします。

そこで最近よく思うのは、ここで騒いでいる人のうち、話題になっている記事の中身を全部読んでいる人はどのぐらいいるんだろうな、ということです。

というのも、週刊誌の記事がウェブで配信される際には、無料で公開される部分が限られていたりするからです。記事の一部しか出ていなかったり、要約された記事しか公開されていなかったりする。元の記事を読むためには、紙の週刊誌を買うか、その電子書籍版を購入するか、有料ウェブサービスに加入するしかない。お金を払って、手間をかけて、それをやっている人が果たしてどのぐらいいるのでしょう。

私の感覚では、たぶん100人に1人もいないんじゃないでしょうか。ほとんどの人は、何かが話題になったときに記事そのものを読まずに、自分の意見を持って、それを大々的に発信していたりする。変なシステムだな、と思います。

記事をウェブで無料公開しない出版社側の事情はわかります。労力をかけて作った記事をすべて無料で簡単に読まれてしまったら、商売が成り立たないですからね。

でも、皮肉にも、そういうやり方をしているせいで、記事を読まずに意見を持って意見を言う人の割合が史上最高レベルで増えている気がします。

Amazonで本のレビューを読んでいると、たまに本を読まずにレビューを書いている人を発見することがあります。「まだ読んでないけど」とか言っていたりします。自分の著書に関してそれをやっている人を見たときは驚きました。本を読まずに本の感想を言うなんて!誰がどう見ても「おかしい人」ですよね。

今の世の中はどうなっているかというと、推定100人中99人がこの「おかしい人」として自分の意見を発信している状態であるわけです。恐ろしいことです。でも、出版社もSNS運営会社も、経済合理的に考えて自社の利益のためにこの状態を保っているだけなので、もはやここから逃れる術はありません。

地獄へようこそ。