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尾鷲:『尾鷲の雨』

尾鷲は全国的に『雨が多い地域』として知られています。

どれくらい雨が多いのかというと.....

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上の写真は、『県立熊野古道センター』に展示棟に展示されているものです。

日本の平均降水量は年間1600mmに対し、尾鷲は約4000mm の降水量です。

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過去30年間の日本の年降水量平年値、上位5位ランキングです。


さて、先日、新聞紙上にて、「2年ぶり、尾鷲が降水量日本一」という記事を見ました。

2021年の年間降水量第1位が尾鷲市だったそうです。
(2年ぶりに)

ちなみに『日本の多雨地域』というワードで検索をかけてみると、

1位:鹿児島県屋久島
2位:宮崎県えびの
3位:高知県馬路村
4位:三重県尾鷲市

というデータが出てきます。

順位の多少の変動はあるようですが、だいたい上位はこのあたりのようです。
尾鷲は2年ぶりに年間降水量が1位だったそうです。



個人的に注意すべきは『1年間を通しての総降水量が日本一』という点です。

『降雨日数』や『降雨時間』が日本一ではありません。

尾鷲市は日本でも有数の降水量を誇りますが、意外にも降雨日数が多いわけではありません。
平均日照時間も、日本の平均よりも多いくらいです。

尾鷲の『降水量日本一』はよく知られていることですが、この事実(『降雨日数が多いわけではない』『日照時間は平均より多い』)は意外と知られていません。

つまり、雨の日が多いわけではなく、『短時間に降る雨の量が多い』、ということです。


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『降水量日本一』と聞くとてっきり『雨の日が多い』『雨がしょっちゅう降ってる』と思われるかもしれませんが、そうではなく、晴れの日も多く(特に冬の日は晴れがよく続きます)、『降る時はめっちゃ降る』という感じです。

繰り返しになりますが、晴れの日は全国平均よりも多いのです。

ただ、尾鷲で降る『短時間の雨』の量が尋常ではなく、他所でその同じ量が降ると、山間部では土砂崩れが発生し、都市部では浸水被害に遭うことは確実だろう、というくらいの量です。

裏を返すと、都市部では甚大な被害が出てしまうような雨の量は、尾鷲では大したことない、ということです。

尾鷲は長い時間において形成された地形によって、雨の被害に遭いにくい構造になっているだと思われます。

尾鷲で降る短時間降水量は凄まじく、『雨が下から降る』と形容されるほどで(あまりに強い降雨のために、地面からの跳ね返りの雨で足が濡れてしまうのです)、それは今日昨日に始まったことではなく、歴史上ずっと、降雨の凄まじい地域なのです。

三方を山に囲まれ、一方が海に面している尾鷲。
海側から吹く暖かい風によって、湿った空気が大台山系に滞留し、急速な雨雲を形成すると説明されています。

山側に急速に発達した雨雲が降らせる雨は、山を伝い、川を伝い、すぐに海に流れる地形となっており、故に浸水被害などはほとんど発生しません。
(広くなだらかな平地が少ない、とも言えます)

車を運転していてもワイパーが追いつかず、視界がほぼゼロになってしまうような豪雨でも、雨による被害が最小限に抑えられています。

『降水量日本一』はよく知られていることではありますが、個人的にはそれと同時に『雨による被害が少ない地域』であることも合わせて知っておいてくれたら、と思います。

注意:とは言え、雨による被害が全くのゼロ、というわけではありませんので悪しからず。

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