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エレキソルトって何?

日本人の1日当たりの食塩摂取量は、20歳以上の男性で10.9グラム、女性は9.3グラムで、WHO(世界保健機関)が掲げる食塩摂取基準と比較して非常に多いことが知られている。健康志向の高まりから、日本の減塩・無塩食品市場は拡大し、2015年から2020年にかけての5年間で約26%成長した。キリンホールディングスが実施したアンケートでは、塩分を控えた食事を取っている、または取る意思がある人のうち、約63%が減塩食に課題を感じ、そのうちの約8割が味に対する不満を抱えていることが分かった。

キリンは2019年から、明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室と共同で、人体に影響しない微弱な電流を用いて、疑似的に食品の味の感じ方を変化させる「電気味覚」の技術の活用について研究を行ってきた。その研究成果として、減塩食の味わいを増強させる「電流波形」を開発。減塩をしている、またはしていた経験のある人を対象に臨床試験を行い、減塩食を食べたときに感じる塩味が約1.5倍に増強されることを確認し、この技術を搭載したスプーン、お椀型の「エレキソルト」デバイスを開発した。スプーンは柄にあるスイッチで、お椀は側面にあるスイッチで電源を入れて好みの強度(4段階)を選択。通常と同じように使用することで、スプーン先端・椀内部に微弱な電流が流れて効果を発揮する。

キリンは2022年9月から11月にかけ、エレキソルトデバイスを用いた実証実験を、減塩・無塩食品や調味料を提供する専門店「無塩ドットコム」を運営するノルト社、レシピ提案など生活情報を発信するオレンジページ社と共同で実施。各企業の会員を対象に、共同開発したおいしい減塩食とデバイスをセットで提供し、満足度を評価する。キリンは、この実験でエレキソルトデバイスの有用性を検証し、2023年の日本国内での発売を目指す。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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