見出し画像

電動機で動く船

電気自動車に電動バイクと、脱炭素社会に向けて電動化の動きは加速。この波は海運にも広がり、電動機で動く船が登場している。プレジャーボート(海洋レジャーに使われる船)などの船外機の市場では、ヤマハ発動機を含む日本のメーカーが世界シェアの5割を占める。メーカーは、EV化の時代をにらんで市場の開拓を始めている。

1923(大正12)年に完成した埋め立て式運河をおよそ40分かけて巡る「小樽運河クルーズ」では、7隻ある観光船のうち1隻で「HARMO(ハルモ)」と呼ばれる電動操船システムを使用。2020年8月7日から実証運航を開始した。定員42人のボートに搭載するバッテリーの容量は20キロワットアワーで、充電には家庭用の100Vの電源を使っている。クルーズでは、船長が運河の歴史や見どころなどを案内するが、エンジンで動く船のような大きな音が出ないため、乗船客は解説を聞き取りやすいという。

小樽運河クルーズの観光船で使われている電動操船システムは、ヤマハ発動機が10年余りをかけて開発した製品「HARMO」。最高出力は3.7キロワット(エンジンの船外機では9.9キロ馬力に相当)で、全長10メートル未満のボートや漁船を、時速5キロほどの速度で動かすことが出来るレベル。2016年にオランダ・アムステルダムで開催された見本市「METS」で、2020年にはドイツ・デュッセルドルフの「boot 2020」で参考出展し、大きな注目を浴びた。低速で短い距離を航行する船をターゲットに、2022年の春から世界に先駆けて環境規制が厳しさを増すヨーロッパで販売を始めた。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?